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認知症への備えは万全ですか?

認知症への備えは万全ですか?

日本では高齢化とともに認知症患者が増加しています。厚生労働省「認知症高齢者の将来推計」によると、65歳以上の認知症高齢者は増加傾向であり、2012年には462万人(65歳以上の15%)となっていた認知症高齢者数が、2025年には約700万人(65歳以上の20%)、2060年には1,000万人(65歳以上の33%)を超えるという推計結果が出ています。高齢化とともに発症リスクが増加する他人事ではない「認知症」について今一度おさらいしておきましょう。

【目次】

1. 認知症とは

2 認知症と要介護認定

3. 今回のまとめ

 

認知症とは

「認知症」とは、さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたす状態のことで、65歳以上の高齢者では、平成24年度時点で7人に1人程度となっており、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まります。今後も認知症となる人は増加し続けると予想されており、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人、2060年には3人に1人となるとの推計結果もでています。このように今日、認知症は誰もがなりうる病気として考えられているのです。

厚生労働省のサイト内にも「認知症施策」として様々な情報が公表されていますが、「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」の違いについて触れていますのでご紹介します。

【加齢による物忘れ】

・体験したことの一部を忘れる(朝ごはんのメニュ-など)

・物忘れの自覚がある

・日常生活への支障はない

・症状は極めて徐々にしか進行しない

【認知症による物忘れ】

・体験したことの全てを忘れている(朝ごはんを食べたこと自体など)

・物別れの自覚がない

・日常生活への支障がある

・症状が進行する

また、厚生労働省「都市部における認知症有症率と認知症の生活機能への障害の対応」(平成25年5月報告)によると、認知症の原因となる病気の第1位は「アルツハイマ-型認知症(67.6%)」であり、第2位が「血管性認知症(19.5%)」、第3位が「レピ-小体型認知症(4.3%)」となっており、「前頭側頭型認知症(1.0%)」、「アルコ-ル性(0.4%)」と続いています。

【アルツハイマー型認知症】は認知症の原因としては最も多いといわれ、長い年月をかけて脳に、アミロイドβ、リン酸化タウというタンパク質がたまり認知症をきたすと考えられています。記憶障害から始まり、失語や、失認、失行(今までできていた動作を行えない)などの症状があります。

【血管性認知症】は脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって、一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり認知症をきたすものをいいます。

【レビー小体型認知症】は脳にαシヌクレインというタンパク質がたまり、認知症をきたすと考えられており、記憶障害などの認知機能障害が変動しやすいことのほか、幻視(実際にはないものが見える)や転びやすい、歩きにくいなどのパーキンソン症状、睡眠中に夢をみて叫んだりするなどの症状を伴うことがあります。

【前頭側頭型認知症】は脳の前頭葉と側頭葉が病気の中心として進行していき、同じ行動パターンを繰り返したり、周囲の刺激に反応してしまう「行動障害型」と「言語障害型」があります。

認知症と要介護認定

では、認知症の要介護レベルはどのようになっているのでしょうか?公的介護制度は「介護保険法」に基づく介護保険制度のことで、軽い順に要支援1・2、要介護1~5となっています。要介護認定は介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものですが、認知症の進行に伴って周辺症状が発生することがあるため、同じアルツハイマー型の認知症であっても、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする周辺症状のために介護に要する手間が非常に多くかかる。身体的な問題が発生して寝たきりの状態に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していても徘徊等の周辺症状は発生しないため介護の総量としては大きく増えない。というように、病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があるとしています。

【介護サービスの必要度の判定】

介護サービスの必要度(どれ位、介護サービスを行う必要があるか)の判定は、客観的で公平な判定を行うために、

  • コンピュータによる一次判定(最終判定ではない)
  • 保健医療福祉の学識経験者が行う介護認定審査会での二次判定

の二段階で行われます。

一次判定は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に要支援1~要介護5と判定されます。

【要支援1】

要介護認定等基準時間25分以上32分未満または相当と認められる状態

【要支援2】【要介護1】

要介護認定等基準時間32分以上50分未満または相当と認められる状態⇒問題行動や理解の低下がみられる

【要介護2】

要介護認定等基準時間50分以上70分未満または相当と認められる状態⇒物忘れや直前の行動の理解の一部低下がみられる

【要介護3】

要介護認定等基準時間70分以上90分未満または相当と認められる状態⇒いくつかの問題行動や理解の低下がみられる

【要介護4】

要介護認定等基準時間90分以上110分未満または相当と認められる状態⇒多くの問題行動や理解の低下がみられる

【要介護5】

要介護認定等基準時間110分以上または相当と認められる状態⇒意思の伝達がほとんどできない

※厚生労働省サイト「要介護認定はどのように行われるか」より

今回のまとめ

認知症は年齢とともに誰もが発症する可能性があります。現在の医療では、進行を止めることはできても改善することは難しいと言われています。アルツハイマー病の進行を抑える目的の新薬として8月21日に厚労省専門家部会が製造・販売を承認した『レカネマブ(アルツハイマー病の原因となる異常なたんぱく質「アミロイドβ」を脳内から除去し、認知症の進行を抑制する効果が期待されている新薬)』も、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や発症後、早期に投与することが重要だとされています。認知症をはじめとした要介護状態に備えるための保険も増えてきており、「要介護1」から保険金が支払われるプランを取り扱っている保険会社もございます。個人としてだけでなく事業者としても備えておきたい「認知症対策」について気になる方は、お近くの保険代理店までお気軽にお問合せください。

 

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