名古屋市の損害保険・生命保険代理店なら保険ポイント「お知らせ・コラム」ページ

お知らせ・コラム

建設現場で相次ぐ死亡災害

建設現場で相次ぐ死亡災害

2023年9月19日、JR東京駅八重洲口近くにある高層ビルの建設現場で鉄骨とともに作業員5名が落下しそのうち2名が亡くなるという悲惨な事故が発生しました。また、7月には静岡県で高架道路の橋げたが落下する事故が起きておき作業員ら8人が死傷し、5月にも東京・品川でクレーンが転倒し2人が死傷しています。厚生労働省がまとめた2022年(令和4年)の1月~12月の間の労働災害発生状況によると建設業全体の死亡者数は281人で全産業の36.3%をしめており、業種別で最も死亡者数が多いのが建設業です。2023年に入り事故数が減少するどころか、逆に増加しています。近年、事故が増加している背景として資材の高騰による建設現場経費の増加、人手不足、長時間労働の問題などが考えられます。今回は、建設現場での万一の重大な労災事故について触れていきたいと思います。

【目次】

1.ゼネコンの現場でも事故が発生

2.2億8000万円の労災訴訟の事例

3.今回のまとめ

 

ゼネコンの現場でも事故が発生

9月19日午前9時20分ごろ、東京都中央区八重洲口に近い再開発工事現場で、「3階部分に鉄骨とともに人が転落した」と119番通報があった。警視庁によると、作業員の33歳と43歳の男性2人が鉄骨の下敷きになって死亡し別の40代の男性が重傷を負い20代の男性2人がケガをした。警視庁は業務上過失致死の疑いで調べている。事故が起きたのは、2021年に着工し、25年度に完成予定の地上51階建て地下4階の商業ビルの建設現場。大手ゼネコンの大林組と大成建設の共同企業体が工事を請け負っている。大林組によると亡くなった2人を含めて5人は同じ会社の下請け会社の社員という。同署によると5人は事故当時、7階部分にいて、クレーンのワイヤにつるされた鉄骨の梁(はり)を取付ける作業をしていた。この鉄骨がワイヤから外れ、その際にすでに7階部分に設置してあった別の鉄骨も落下したという。亡くなった男性2人は鉄骨と命綱で結ばれていたといい、鉄骨と一緒に落下し3階部分で下敷きになったとみられる。他の3人も7階部分から3階部分に落下したという。(朝日新聞 DIGITAL 2023年9月19日)

労災保険の上乗せ補償

安全管理が徹底されている大手ゼネコンの現場でも悲惨な事故は発生してしまいます。また安全管理に不備があった場合、元請けをはじめ1次、2次の会社も含めて使用者責任を問われる可能性があります。上記のような重大な労災事故が発生した場合に政府労災だけで十分なのでしょうか?今回の事故では、ゼネコンから亡くなった作業員の家族に対して何らかの補償があると考えられます。また、大手ゼネコンの現場では、下請け企業は労災以外に民間の労災上乗せ保険に加入しなければ現場に入ることは出来ないので民間の上乗せ労災も支払い対象になると考えられます。

2億8000万の労災訴訟の事例

実際に建設現場で重大な労災事故が発生し、労災訴訟にまで発展した事例のご紹介になります。(AIG損害保険事故事例集参照)

事故概要

仮設足場工事業で、作業現場の足場解体中に従業員A(20歳)が高さ5mから墜落しました。その結果、頚椎骨折、頸髄損傷、両大腿骨骨折、右膝蓋骨骨折等を受傷しました。髄損傷により四肢麻痺が残り後遺障害1級に認定されました。

事故内容

早朝の事故で現場にいたのは足場作業主任者と従業員Aの2名だけでした。足場を上から解体していく作業で一番上の横の鉄棒部分を解体するよう足場作業主任者が指示し作業員Aが上がりました。下からハンマーでたたけばすぐに解体できるもので特殊な作業ではありません。従業員Aは足場の5段目に上って手すりを解体した際、片方の手で支えていなかったため勢いあまってバランスを崩し、アスファルト補装の地上に墜落してしまった。

解決までの流れ

治療期間は4年以上の長期間かかり、従業員Aは頸髄損傷により四肢麻痺が残り後遺障害1級に認定。従業員Aは弁護士に委任し、会社に対して書面で1億8000万円超を請求、さらに和解案提示の直前に訴えの変更申し立てがあり、請求額が2億8000万。訴訟開始から4年後、1億5000万で和解が成立

 高額請求の内容

従業員側からの請求額で高額だった項目は、逸失利益9100万円、将来介護費6800万円、後遺障害慰謝料2800万円、家屋・自動車等改造費用2400万円、休業損害1300万円等です。逸失利益は基礎収入×労働能力喪失率(死亡・後遺障害1~3級は100%)×労働喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算されます。なお2020年4月1日以降の事故ではライプニッツ係数が高くなっています。上記の例では、逸失利益9100→1憶2376万円に将来介護費用は6800万円→9656万円に上がり合計で6132万円高くなる計算となります。慰謝料は死亡・重度後遺障害では2800万円が基準となっております。

今回のまとめ

従業員が仕事中に重大な労災事故で死亡や重度後遺障害を負ってしまった場合には、会社は使用者責任として慰謝料や逸失利益、将来介護費用などを請求される可能性があります。万一に備えて、高額な使用者賠償補償が付帯されている労災の上乗せ保険に加入しておく必要があると思います。気になる方は、ぜひお問い合わせください。

 

株式会社保険ポイントは、損害保険、生命保険を取り扱う保険代理店です。

TEL>052-684-7638

メール>info@hokenpoint.co.jp

 

お電話、メールでお気軽にご相談ください。