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内部告発 ケースから読み解く組織の現実

内部告発 ケースから読み解く組織の現実

企業への告発というと最近では国内大手芸能事務所である「ジャニーズ事務所の性加害告発」「ビッグモーターの保険金不正請求告発」などのニュースが思い浮かぶのではないでしょうか。特にジャニーズ事務所の問題に関しては、今まであのような加害が年端もいかぬ子ども達に対し「暗黙の了解」として行われていたこと。BBC(英国放送協会)が取り上げたこの告発が世界中で報道されるまで、国内メディアが沈黙を貫いていたことなどに、驚きと怒りを感じた方もいらっしゃることでしょう。では企業内で告発や通報があった場合、企業としてどのように対応していくべきなのでしょうか。

【目次】

内部告発、内部通報は「裏切り」ではない

2.内部告発に対する企業の正しい対応とは

3.今回のまとめ

 

内部告発、内部通報は「裏切り」ではない

日本では内部告発者、通報者は、とかく「裏切り者」として批判される傾向にあります。今回のジャニーズ事務所の性加害を告発した被害者たちも「売名行為」「金目当て」など、様々な批判にさらされています。そもそも金銭での補償を検討するのは至極当たり前のことなのですが・・・。本来、しっかりした企業であれば組織の問題は内部通報機能が働き、外部に出る前に改善できることが多いのです。日本においては2004年に内部告発者を保護する「公益通報者保護法」が法制化され、2022年にはさらに改正法が施行されています。社会的には不正そのものより、それを隠す行為の方が強く糾弾されます。よって不正への対応、それによる内部告発者への対応は企業の命運を左右する危機管理事項であるといえるでしょう。「内部告発、内部通報は、社会にとって有用であり、内部通報者を差別せず、保護して守ろう」という法整備の流れも、企業が不正の内部告発者に対して真摯に正しく対応すべきであることを物語っています。しかし実際はというと、企業によっては不正のもみ消し、告発者へのパワハラ、不当解雇、報復人事、などが行われているのが現状です。

内部告発に対する企業の正しい対応とは

「公益通報者保護法」は企業不祥事情報を外部発信することを奨励する法律ではありません。しかし、企業に内部通報を受け入れる体制が整備されていないのであれば、外部にそれを発信しようとするのが被害者側の感情でしょう。不祥事情報を外部発信されたくないのであれば、しっかりと受入体制を整備することが必須となります。

企業側が準備すべき受け入れ態勢

受入体制に関するポイントは2つです。1つは、内部通報を受け付けた場合通報内容について調査を行うこと。もう1つは、通報者に対して進捗状況を報告することです。企業で何か不祥事が発見された場合、社内調査を行うことが通常かと思われますが、公益通報者保護法は、通報者に対して一定の報告を行う必要があると定めています。しかし、肝心の従業員が内部通報制度の存在を知らない場合、従業員は外部の者に対して企業不祥事を情報発信してしまうかもしれません。企業不祥事情報が外部に発信されたとなると、行政からの制裁、マスコミからの質問攻めなどで、企業の信用は一瞬にして失われてしまい、場合によってはその企業の存続さえ許されないという事態にまで陥ってしまうこともあります。つまり、通報者である従業員に対して制裁を加えたところで、何も解決しないのです。

外部発信未然防止のために

①従業員に対して、内部通報制度が存在することへの周知、利用の呼びかけ

②内部通報制度の具体的な内容として社内規程の整備を行う

社内規程を作成する上でのポイントは、①通報窓口が、社内のどこに属するのか明らかにする ②通報者は通報によって不利益を受けないことを明らかにする ③通報者の秘密は守られること ④通報によって社内調査が開始されることを宣言することです。公益通報者保護法が保護している内部通報・内部告発は、実は法律上列挙されています(公益通報者保護法第2条第3項)。ただ、通報者自身が、「自分が行おうとしている内部通報は法律上の対象になるのだろうか」と検討することを期待するのは現実的には難しいでしょう。そして、こういった検討が必要になることが内部通報を控える原因となってしまうのであれば、逆に企業不祥事情報が外部に発信される動機にもなりかねません。企業不祥事を内部で自浄することで健全な会社にするためには、広く従業員が企業に対して不自然に感じる情報を通報してもらうような運用が望まれます。

今回のまとめ

2022年の公益通報者保護法改正では、公益通報者の範囲に「企業の役員」が追加されました。また事業者の体制整備の強化の義務化、また内部通報担当者の守秘義務が課され、違反した場合には罰金が科せられることになりました。企業では万が一のこのようなトラブルに備え雇用慣行賠償責任や、役員個人への賠償請求があった場合への備えを補償していくと共に、何よりも健全でクリアな企業経営を心がけましょう。

 

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