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【あっせんとは何か】パワハラを受け解雇をめぐる事例とは
タクシー会社の乗務員として勤務していた従業員が、納得のいかないパワハラを受け、その後精神障害による体調不良で結果的に解雇となった。この従業員が解雇をめぐって行ったあっせん申請とはどのようなものか。事例を用いつつ解説していきます。
【目次】
1.あっせん申請とはなにか
2.タクシー会社の乗務員が受けたパワハラ解雇の事例とは
3.今回のまとめ
あっせん申請とはなにか
皆様はあっせんという言葉を聞いたことがありますでしょうか?
斡旋【あっせん】とは、裁判外紛争解決手続きのひとつであり、当事者双方の主張の要点を確かめ、事件が解決されるように努める話し合い手続きの事。あっせん員が両者の間に入り、紛争解決にあたる方法をいいます。
このあっせんのメリットは、手続きが簡易だということです。またあっせんは短時間『通常、両当事者が出頭した当日』で終了となり、手続きの費用も無料です。
裁判等とは異なり、両当事者が直接顔を合わせてお互いの主張をぶつけ合うこともないし、法令解釈のみでは白黒はっきりつけがたいグレーな事案についても柔軟に合意による解決を目指すことができる制度です。
タクシー会社の乗務員が受けたパワハラ解雇の事例とは
では実際に起きたあっせんの事例を見ていきましょう。
労働者Xは5年前にタクシー会社Yで乗務員として採用され、勤務していました。Xは部長から「挨拶がなっていない。売り上げをもっと上げろ」などとたびたび怒鳴られるというパワーハラスメントを受け、体調を崩してしまった。仕事を休みがちになったために、Y社から解雇を通告されたが納得できず知人に相談しながらY社に意見を伝えていました。するとY社の社長から連絡があり、話し合いを行った結果、解雇を撤回する代わりに体調が良くなったら職場へ戻るように、と言われたため、Xはこれに応じ、休職しました。その後11/3に部長から連絡が入り、11月末までに退職届の提出と健康保険証の返還を命じられたが、もちろん納得できず、これを不当な解雇と受け止め、Y社でそのまま働き続けるつもりはないが、通院する必要があるので今後の生活補償を要求し、あっせん申請を行いました。
あっせん申請とは両者の主張をあっせん員がなかに入り、解決に導く方法です。
両者の主張はこのようなものでした。
申請人X(労働者)の主張
部長からの「挨拶がなっていない、どういう仕事の仕方をしているんだ。売り上げをもっとあげろ」など、パワーハラスメントにより精神的苦痛を受け、体調不良により休みがちになってしまった。売り上げを伸ばすよう客待ちする場所を変更するなどの努力はしたが競合のタクシー会社も多かったためなかなか難しかった。このような状況で勤務を続けていたが、徐々に体調は悪化し、主治医からは休業するよう命じられました。解雇は一旦撤回されたはずだが、傷病手当金の支給を受けながら休職していた11月に再び解雇ととれる通告を受けました。
解雇予告手当相当額30万円、年次有給休暇の残日数15日分の買取として20万円の支払いおよびパワーハラスメントによる精神的苦痛に対する慰謝料50万円の合計100万円の支払いを求め、更に会社都合の退職を認めることを求めます
事業主Yの主張
就業規則には「休業期間は3か月を限度とし、回復しない場合には自主退職とする」と定めています。Xに対しては就業規則に規定する休職期間をさらに3か月延長して様子を見ていたが、いつまでも延ばすことはできなかったため、「復職出来ない場合は11月末で退職すること」と説明し、合意を得ていた。その後Xからは何も連絡がなく、また連絡が取れない状態が続いたので退職するよう求めただけであり、解雇をしたわけではありません。なお部長からパワーハラスメントを受けたとのことで、社内調査を実施したがその事実は確認出来ませんでした。一定の金銭解決には応じるつもりだが、会社都合の退職に応じるつもりはありません。
あっせんの内容
労働契約を終了するという点では両者に争いがなかったため、被申請人Yが支払う解決金の額と退職理由についての調整が必要となった。あっせん委員はパワーハラスメントの事実の有無の証明にとらわれることなく解決に向けた歩み寄りを双方に促し、Yには金額面での譲歩を求め粘り強く説得を行いました。
あっせん委員が調整を行った結果、Xが辞表を提出することとなり、Yも金銭的な歩み寄りを見せ、合意が成立しました。
結果
あっせんの結果、申請人Xは11月30日付の自主退職とし、被申請人YがXに45万円を支払うことで合意となりました。※労働新聞社 記事参照
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今回のまとめ
今回はパワハラから不当な解雇につながった事例をもとに取り上げました。このような出来事は企業の中では起こりうることと考えるべきです。経営者である社長のお考えと中間管理職である部長とで行動が食い違っていたり、社内規定がそもそも従業員に告知されていなかったりと、あらゆる側面でのリスクが潜んでいます。保険の備えを検討するだけでなく、社内態勢や組織。規定を見直してみるのも良いかもしれません。
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