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出血性胃潰瘍で死亡の男性を労災認定

出血性胃潰瘍で死亡の男性を労災認定

富山市の電気設備工事会社に勤める男性(当時62)が2021年、出血性胃潰瘍(かいよう)を発症して死亡したのは長時間労働などが原因だとして、富山労働基準監督署が5月、労働災害と認定しました。消化器系の病気で過労による労災が認められるのは異例とのことです。国の労災認定の基準が脳や心臓の病気、精神障害に限られている現状への課題を指摘する声もあります。労災について、今回のケースからも見ていきましょう。

【目次】

1.労災について

2.病気で労災が認められる!?今回のケースとは

3.まとめ

 

労災について

労働災害とは一般的に「労災」と呼ばれ、会社での業務中に病気やケガを負ったり、死亡事故が発生した場合や、通勤・退勤途中に交通事故などでケガをした場合のことを指します。
会社のお仕事中に大ケガをされ、入院などで業務ができなくなった場合、通院費をはじめ、ご自身の生活のことなど、経済的な不安を抱えることになります。このような負担を抱えることのないよう、万一仕事で災害に遭われた場合でも申請が認められると、労災保険制度により治療にかかる費用や、お仕事ができない期間の休業補償を一定程度受けることができます。労災の対象となるのは、正社員やアルバイト・パート・派遣といった雇用形態及び年齢や性別、国籍に関わらず、一部例外を除いたすべての労働者です。万一の事故に備え、業務上の事故や災害に遭った従業員を守る観点から、労働者を雇用している企業は、原則として労災保険の加入と保険料の納付が義務付けられています。さらに企業は労働者が安全に働くことができる環境を整える「安全配慮義務」を負っています。2008年(平成20年)3月に施行された労働契約法第5条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定され、会社は職場の安全や労働者の健康を守る義務があります。業務災害とは、会社でのお仕事の中で事故に遭い、大ケガをしたり、病気になったり死亡したケースを指します。あくまで業務中による事故が対象ですので、勤務時間内であっても業務に関係のない、私的な行動による事故やケガは対象になりません。
また、ケガを負った労働者の事故原因が「業務上」であると認定されることが必要で、仕事のなかでの業務が原因で起きた事故の場合、業務状況「業務遂行性」とケガの原因「業務起因性」が密接に関わっていると判断されれば、「業務上」と認定され、労災給付を受けることができます。

病気で労災が認められる!?今回のケースとは

男性は1986年から技術者として勤務し、2019年8月の定年後も再雇用され、嘱託で働き続けていました。大手ゼネコンから受注した放送局の電気設備工事の現場責任者を務めていたが、徐々に長時間勤務となる日が増え、21年12月に自宅で倒れ、病院に搬送されたが死亡しました。男性の時間外労働は、死亡前の直近1カ月が約122時間、その前の1カ月が約113時間。国が定める労災認定の目安は消化器系の病気にはなく、脳や心臓の病気は「月100時間、または2~6カ月間平均でおおむね月80時間」などとされています。労基署は、男性が現場責任者として、ゼネコンとの打ち合わせや部下への指示、工期や仕様の変更への対応などもあり、長時間労働やストレスで胃潰瘍を発症したと認定しました。消化器系の病気で労災が認められるケースは極めて少ないとのことです。国は01年、脳と心臓の病気について労災の認定基準を策定しました。10年改正の労働基準法施行規則には、精神障害を加えた3種類を、長時間労働や、業務による心理的負担との因果関係が医学的に確立したものとして明記してあります。労基署の認定業務の迅速化につながり、17~20年度では、計2989件の労災が認定されています。一方、これら以外の病気は「その他」と分類されて認定基準がなく、同じ期間中の労災認定はほとんどありません。厚生労働省の検討会で5年に1回ほど、追加すべき病気があるかが議論されますが、消化器系は「過去10年ほどさかのぼったが議論になっていない」とのことです。認定基準がない病気は労災認定のハードルが高いとみられ、労働者や家族らが申請自体を控える事例もあるようです。ですが、申請しても労基署で労災と認められず裁判で争い、十二指腸潰瘍を発症した貿易会社員の男性をストレスが原因の労災として認めた最高裁判決(ゴールドリングジャパン事件)があります。

今回のまとめ

労災認定基準の改正がすすみ、対象疾病が拡大される動きが加速するかもしれません。労働訴訟の件数は増える一方であり、その内容も複雑化しています。一歩間違えればどの企業でも訴訟に発展するような雇用トラブルが発生する可能性があります。保険会社では、業務上のお怪我の補償はもちろん、疾病に対応する従業員様向けのプランを案内しているところもあります。お近くの代理店へこういった事例にも対応できるか相談してみてはいかがでしょうか?

 

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