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高速道路のSA滞在中も貨物監視し労働時間になるのか

高速道路のSA滞在中も貨物監視し労働時間になるのか

トラック運転手やタクシー運転手などの長時間労働が問題となっています。その中でトラック運転手の荷待ちの時間やSAなどでの休憩中時間も労働時間に含まれるのか、否かは以前より論点になっております。今回はトラックの長距離運転手がサービスエリアの滞在時間も労働時間と主張して割増賃金等を求めた事例になります。労働時間や休憩時間の明確な違いなどを含めて考えていきたいと思います。

【目次】

1.トラック運転手が未払い賃金の支払いを求める

2.労働時間をめぐる裁判例

3.今回のまとめ

 

1.トラック運転手が未払い賃金の支払いを求める

トラックの長距離運転手がサービスエリアの滞在時間も顧客対応や荷物を常時監視するなど労働時間と主張して、割増賃金を求めた。東京地裁は車内で睡眠や飲食をしたり、外へ出て入浴や食事などをしており、業務から解放されて自由に利用できる状態とした。貨物を監視する規定や具体的な指示はなく、荷物は重量物で盗難の可能性は低いなど常時監視が義務付けられているとはいえない。

事案の概要

会社の作業員としてトラックの運転業務等に従事する労働者9人が平成26年7月16日~平成28年8月15日までの期間について未払割増賃金等の支払いを求めた。

労基法上の労働時間に当たるのかが争点

サービスエリアやパーキングエリア並びにトラックステーション、ホテル等の宿泊施設・休憩施設に滞在している時間が労働時間に該当するかどうかという点が争点となった。判例によると、運転手らはSA等において、車内で睡眠、食事、飲酒をしていたほか、テレビをみたり、トラックを駐車したうえでお店に行き、飲食物を購入したり、休憩施設等では入浴や食事をして過ごしていた。また会社は運転手らに対してSA等や休憩施設等においてトラックから離れたり、睡眠・飲食や入浴を禁止しておらず、休憩・宿泊等の時期・場所等も逐一指示をすることなく、運転手の裁量に委ねていた。

判決のポイント

【1】労働時間とは

「労働者が実作業に従事していない時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務づけられている場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれていたものとして、労働時間と解するのが相当である」

【2】休憩施設等の滞在時間は労働時間か
運転手の主張①

積載貨物を常時監視しなければならない業務上の義務がある旨を主張している。これに対して会社は、荷物を常時監視するように指示したことはない、また積載貨物は主に約350キログラムから500キログラムの重量のある医療用の精密機器で盗難の可能性が高いとは考えることができない。以上により監視が必要となるような性格のものではない。

運転手の主張②

取引先からの問い合わせに対応する必要があると主張。恒常的に取引先からの問い合わせが生じていたとは認めがたい。

運転手の主張③

運転手間の荷物の受け渡しや積載貨物の確認、運行日報の作成、積載貨物の状況確認や固定作業を行っていたと主張。SAにて荷物の受け渡しや直接作業を行っていたとする供述は作業日報をみる限り確認できない。また、運行日報の作成もSAの出入り時間を記入する10分程度で完了する作業である。長距離運行休憩施設等に滞在する間、労働からの解放が保障されており労働者は使用者の指揮命令下に置かれていたとはいえないから、休憩施設等の滞在時間は労働時間には該当しない。

2.労働時間をめぐる裁判例

M工業長崎造船所事件(平成12年3月9日) 準備行為について

労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事務所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、特段の事情が無い限り、使用者の指揮監督命令下に置かれたものと評価する事が出来る。準備行為に要した時間はそれが社会通念上必要と認められる場合に限り労基法上の労働時間と該当する

Dビル管理事件(平成14年2月28日) 不活動時間について

不活動時間(実作業には従事していないものの労務の提供とまったく無関係とはいえない時間)においても労働契約上の役務の提供が義務付けられている場合には、労働からの解放が保障されているとは言えず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれていることとなるので、当該時間は労基法上の労働時間に当たる。

ビル代行事件(平成17年7月20日)仮眠時間について

警備会社における24時間連続勤務の警備員に4時間設けられている仮眠時間について、その時間は仮眠室について、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに対応することが労働契約上の義務となっていたとしても、実作業への従事が皆無に等しい場合など実質的に警備員としての業務を行っていない時間については、労基法上の労働時間としては評価されない。

3.今回のまとめ

労働者が使用者の指揮命令下にあるのかどうかが、労働時間の判断に大きな影響を与えます。労働者に労働からの解放の自由がある場合には労働時間には含まれないと考えられます。ひと昔前であれば、勤務前の準備などは会社の命令であっても労働時間に含まれないことが当たり前でしたが、労基法上は準備作業にあたる時間も労働時間と考えます。また、保険会社の雇用慣行保険や雇用リスクに関する保険に加入していても、未払い残業代や時間外の割増賃金など会社が支払うべき未払い賃金に関しては補償の範囲外となりますので注意が必要です。

 

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