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下請けの労災事故において元請会社の責任は?

下請けの労災事故において元請会社の責任は?

建設業では、元請が下請けに業務を発注して工事をすすめるケースが少なくありません。下請け会社と元請け会社をめぐる問題のひとつに労災事故が起きた際の責任問題があります。下請け会社の従業員に起きた労災事故では、元請会社にはどのような責任が発生するのでしょうか。

【目次】

1.下請け会社の労災事故に対する元請け会社の責任

2.下請けの労災事故で争点になりうる2つの問題

3.元請け会社の責任を認めた判例

4.今回のまとめ

 

下請け会社の労災事故に対する元請け会社の責任

直接雇ってはいない社員であっても、関係性によっては元請け会社に責任が認められるケースもあります。まずは、下請け会社の従業員が労働災害に遭った場合の元請け会社が負うべき責務を見ていきましょう。

【安全配慮義務】

安全配慮義務とは、従業員が健康的かつ安全に働けるように事業主側が配慮する義務のことです。原則的には、元請け会社が下請け会社の従業員に対して安全配慮義務を負うことはないとされていますが、元請け会社と下請け会社の従業員の間に特別な社会的接触関係が存する場合、安全配慮義務が生じます。元請け会社の安全配慮義務違反を証明できれば、事故の被害者である下請け会社の従業員は元請け会社に対して損害賠償を請求することが可能です。また、建設業や造船業の元請け会社のことを特定元方事業者といいます。特定元方事業者はその他の事業者と比べて規制が厳しいため、下請会社との実質的な使用関係、もしくは間接的な指揮監督関係が認められやすいといえます。

【使用者責任】

使用者責任とは、従業員を雇って事業を行っている者が、当該従業員が第三者に対して与えた損害を賠償する責任のことです。使用者は被用者の活動によって利益を挙げているため、雇用によるプラス面だけでなくマイナス面の責任も負う必要があります。元請け会社と下請け会社は請負契約を締結しており請負契約の場合、注文者と請負人はそれぞれ独立した地位を持ちます。上から指示を受けるのではなく、自己の裁量をもって活動するため原則として注文者は請負人に対して使用者責任を持ちません。しかし、元請け会社と下請け会社の関係によっては取扱いが異なる場合があります。下請け会社が元請け会社の指示に従って仕事を完成させているといえるなら、両者は指揮監督関係にあるため、使用者責任が認められる可能性があります。また下請け業者が第三者に対して違法行為を行った時は、元請け業者も連帯して責任を負わなければなりません。

【建設業の元請け会社が講ずべき安全措置】

建設業に属する元請け会社である元方事業者は、土砂等が崩壊したり機械等が転倒したりする恐れのある場所において関係請負人の労働者が作業を実施する場合、当該作業員が安全な環境で働けるよう技術上の指導等といった処置を講じる必要があります。

下請けの労災事故で争点になりうる2つの問題

下請けの労災事故で争点になりうるのが「労災隠し」と「1人親方の労災事故」です。

【労災隠し】

労働災害によって労働者が負傷等によって4日以上休業した場合、事業主は労働基準監督署に対して報告書を提出する義務があります。(労働安全衛生法第100条)事業主が報告書を行政に提出しなかった場合、または虚偽の記載で提出する行為を労災隠しといいます。労災隠しは元請けと下請けの関係で生じる可能性が高いです。なぜなら、被害に遭った下請け会社が自らの評価に影響を与えることを恐れたり、元請け会社に迷惑をかけないように配慮して事故の事実を隠す場合があるためです。しかし労災隠しは犯罪です。労災が発生したのであれば、会社に報告を行い、適切な労災保険給付を受けましょう。

【一人親方の労災事故】

一人親方が元請け会社から仕事を受けるケースもあるでしょう。下請けの1人親方が労災の被害に見舞われた場合、労災保険の給付を受けることはできません。労災保険は従業員に対して支給されるものなので、事業主である1人親方は対象外です。しかし、1人親方であっても特別加入の適用を受ければ、労災保険に加入することができます。特別加入とは業務の実情や災害の発生状況に照らし合わせて、労働者と同等の扱いをしても問題ないと判断できるケースでは事業主等も労災保険の対象とする制度です。

元請け会社の責任を認めた判例

下請け会社の労災事故が元請け会社にも損害賠償責任が認められる場合、両者の責任割合が裁判の争点になるケースもあります。どの割合で責任を負うことになるのか、裁判所が下した判例をみていきましょう。

【判例】

孫請け会社の労働者が下請け会社の従業員の過失で、クレーンからの落下物によって死傷した事案。本案件では事故発生の状況や具体的な容態を考慮して、加害者となった従業員が10%、その使用者である下請け会社が30%、現実的に監督をしていた元請け会社が30%、直接の雇用主である孫請け会社が30%の割合で責任を負うこととなった。

今回のまとめ

建設業では自社社員の労災だけでなくアルバイト従業員、下請け業者、現場に入っている一人親方の労災も元請としての責任を問われることがあります。労災事故の訴訟では損害賠償金が1億円を超えるケースもあります。このような場合に備えるため政府労災の上乗せ保険商品の中には、労災事故がおきた際の被災者本人や遺族への見舞金、慰謝料、賠償金の補償ができるものがあります。現場の労災が気になる方は、ぜひお近くの代理店までご相談ください。

 

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