お知らせ・コラム
令和3年度の労同災害発生状況が確定しました
厚生労働省において、令和3年度の労働災害による死亡数は「867人(前年比65人、 8.1%増)」となったという確定値発表がありました。労働災害を減少させるため、国や事業者、労働者などが重点的に取り組む事項を定め、令和4年までに15%以上減少させることとしていますが、令和3年においては目標を達成できませんでした。
【目次】
1.どのような業種で死傷災害は多く発生しているでしょうか
2.近年トラックドライバーの労働災害が大増加
3.今回のまとめ
どのような業種で死傷災害は多く発生しているでしょうか
労働災害による死亡者数は867人で、令和2年に比べ8.1%増となり、4年ぶりに増加したこと明らかになりました。死亡者数が多い業種は、「建設業」の288人(前年比11.6%増)、「第三次産業」の241人(同7.1%増)、「製造業」の137人(同0.7%増)、「陸上貨物運送事業」の95人(同9.2%増)となっています。
また、労働災害による死亡・休業4日以上の死傷者数は14万9918人となり、令和2年に比べ14.3%増と2年ぶりの増加、平成10年以降で最多となりました。死傷者数が多い業種は、「第三次産業」の8万454人(前年比20.2%増)、「製造業」の2万8605人(同11.4%増)、「陸上貨物運送事業」の1万6732人(同5.8%増)、「建設業」の1万6079人(同7.4%増)となっています。
事故の型別による発生状況をみると、死亡者数では「墜落、転落」が25%で最多、次いで「はさまれ・巻き込まれ」が16%、死傷者数では「転倒」が23%で最多、次いで「転落、墜落」が14%。特に死傷者数が最多の「転倒」(前年比8.9%増)、「動作の反動・無理な動作」(同8.7%増)で大きく増加しました。また、年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、3万8574人(同10.4%増)となりました。業種別の労働災害発生状況をみると、「製造業」の死亡者数は137人(前年比0.7%増)で3年ぶりに増加し、事故の型別では、機械による「はさまれ・巻き込まれ」が最多、全数に占める割合は死亡者数で39.4%、死傷者数で22.7%。「建設業」の死亡者数は288人(同11.6%増)で4年ぶりに増加し、事故の型別では、最多である「墜落・転落」が最多、全数に占める割合は死亡者数で38.2%、死傷者数で30.3%という結果になりました。「林業」の死亡者数は30人(前年比▲16.7%)、事故の型別では「激突され」が最多で、全数に占める割合は死亡者数で50.0%、死傷者数で23.0%でした。「陸上貨物運送事業」の死傷者数は1万6732人(同5.8%増)、「墜落・転落」が最多、全数に占める割合は26.9%でした。「小売業」、「社会福祉施設」及び「飲食店」の死傷者は、いずれの業種も転倒が前数の約3割を占めています。
近年トラックドライバーの労働災害が大増加
陸運業の労働災害発生状況の推移。死傷者数は平成15年以降の最多を更新
陸上貨物運送事業の労働災害の死傷災害は荷役関連作業を中心に大幅な増加となりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛の影響で、宅配便などの取扱個数が増加していることも一因となっています。運送業ではトラックドライバーの人手不足や、物流の「2024年問題」など課題が山積していますが、職場の安全性確保は課題解決の前提であり、労災防止に向けて一層の取り組み強化が求められています。
死亡・死傷災害ともに増加
前年比で死亡者数は8人増加の95人、死傷者数は917人増加の1万6732人(いずれも確定値)となっています。死亡災害では「交通事故」が37人(前年比+4人)と死亡災害の中で最も多く発生しており、その割合は38.9%と突出しています。いっぽう、2年連続の増加となった死傷災害では、「墜落・転落」が4496人(前年比+181人)と死傷災害の中で最も多く発生。次いで「動作の反動、無理な動作」が2984人(前年比+250人)、「転倒」が2813人(前年比+209人)、「はさまれ・巻き込まれ」が1605人(前年比+16人)と続きます。
厚生労働省は平成25年に「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を策定し、その普及・定着を図ってきましたが、労働災害の増加を受けて令和3年に検討会を設置し、対策の在り方の検討を行なっています。中でも重点的に取り組んでいるのが次の点です。
□トラックの荷台からの墜落・転落災害防止対策
□RBP及びテールゲートリフターを利用する荷役作業における安全対策
□その他の荷役作業における労働災害防止対策
□荷役作業に係る安全衛生教育 ・荷主等 庭先での荷役作業についての荷主等の役割
今回のまとめ
労働災害を防ぐには、労使ともに基本的なルールを遵守すること、また経営者側には特に、時間的にも人的にも余裕のある業務体制を構築する必要があります。
もちろん、どんなに気を付けても事故は起きてしまうものですが、その際にはあらかじめ労災の上乗せ保険に加入しておくなどして、万が一のケガや病気に企業として迅速に対応することで、従業員を守ることができます。日頃の作業や活動からリスクを適切に洗い出して企業の全員が危険を適切に認識するようにし、労働災害防止に積極的に取り組みましょう。
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