お知らせ・コラム
目指せ!!ハラスメントの無い職場
そもそも企業において、ハラスメント防止はなぜ必要なのでしょうか?法律が厳しくなった事やメンタル不調者を出さない為、雇用トラブルや会社がハラスメントで訴えられるのを防ぐためなど理由はいくつも考えられます。その中で企業にとって一番のダメージはハラスメントによる人材の流出だと思います。
近年の傾向として、若者を中心に転職に対して抵抗が少なく、常に今よりやり甲斐があり条件の良い職場を探しています。仮に今の職場で少しでもハラスメントの予兆があれば躊躇なく退職してしまいます。特に中小企業にとって人材流出は経営危機に直結しますので、ハラスメントの無い職場を目指すことは、今後の企業の存続においては欠かせない要件になってくると思います。
【目次】
1.職場の全員が「自分はハラスメントをしない」という意識を持つ
2.難しいハラスメントのボーダーライン
3.今回のまとめ
職場の全員が「自分はハラスメントをしない」という意識を持つ
☆ハラスメント行為を「しない」ことで被害者は生まれない
当たり前のことですが、ハラスメント行為者となり得る者がその行為を「しない」ことで被害者はおのずと生まれないという考え方です。2017年に行われた「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」で労使の代表者や弁護士、法学者などが様々の議論がなされた上で、ハラスメント防止には結局のところ職場の全員がハラスメントをしないという意識を持つことが重要という結論に達しています。
経営者や上司はもちろん同僚同士や、取引先や協力企業、さらにカスタマーハラスメントも含めて、誰もが行為者になり得ると自覚しその行為を行われないことを日常的に意識しながら業務に当たれば深刻なハラスメントを予防することに繋がります。
ハラスメントを「しない」意識を持つことが防止に繋がるなんて、当たり前のことだと思われると思いますが、逆に言えば職場の意識を変えるという当たり前の方法以外にハラスメントを防止する手立てがないとも言えます。
☆ハラスメント防止法の事業主の責務規定
ハラスメント防止においては事業主の責務規定として「職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること」が明記されています。
一人ひとりがハラスメントを「してはいけない」ということを十分に理解できるように会社は従業員に周知していくことが求められており、その周知を受けた労働者もまた、ハラスメントをしないようにその言動に注意を払う責務があるという事が記載されています。
難しいハラスメントのボーダーライン
☆ハラスメントかどうかの基準
職場での通常の会話ややり取りの中で、ハラスメント言動かどうかのボーダーラインはどこにあるのでしょうか?
まず強調したいのがハラスメントかどうかの基準は「相手を傷つける言動かどうか」である点です。2019年に定義した職場のハラスメントは「身体的、精神的、性的、経済的に相手を傷つける許されない言動」としています。それは意図的か無自覚かを問わず、単発か繰り返されるかも問わず、ジェンダーに基づく暴力や言動も含むものです。
無自覚な言動も含まれるということは、誰もが知らず知らずのうちに行為者になるのは避けられないということも意味しています。人格攻撃や人権侵害、差別、侮辱につながる行為をしないと意識することと併せて、「そんなつもりはなかった」という無自覚なものも含まれることを理解することでハラスメント言動の抑制につながります。
☆相手が不快に感じたらハラスメント!?
日本では「相手が不快に感じたらハラスメント」という認識が広がっているが、これだけが基準ではあいまいで問題を複雑化させているという指摘もあります。嫌いな上司から言われた一言は不快だろうが、業務に必要な叱咤激励であれば、ほとんどの場合はハラスメントにはならない。ある言動についての「感じ方」を基軸にするしかなく、ハラスメントの線引きが人それぞれ違うことがハラスメント問題を複雑化させているという認識を持つ必要があります。
☆ハラスメント問題を深刻化させないために
無自覚な言動もハラスメントと認定されてしまうと、うっかり誰とも会話ができないように感じてしまいます。誰もがハラスメント行為をしたいと思っていないし、誰かを傷つけてしまうのを恐れています。しかし残念なことに私たちは誰もが時どき間違いや過ちを犯してしまうし、自分と他者がそもそも同じ考えや価値観で仕事をすることなどありえません。
人の「感じ方」が基軸である以上、完璧にハラスメントを撲滅=ゼロにすることは残念ながら不可能に近いことです。
大切なのはうっかりハラスメント言動をしてしまった後に相手にどのような態度を示すかです。真摯に謝罪し、繰り替えさないことを約束することで深刻化を防ぐことができます。
ハラスメントのボーダーラインを探すよりも有効な手段だと思います。
今回のまとめ
経営者ができる職場のハラスメントを防ぐ有効な手段として、全従業員にハラスメントをしないという意識を持たせることと、ハラスメントの問題が起きた時に即時の謝罪や事実を認めて早期に問題解決に動くことです。それでも問題が複雑化するケースもありますので雇用トラブルの保険などで備えておくことが大切になります。
ハラスメントの無い職場は、人材の定着にもつながり今後の会社の発展に欠かせない重要な要素だと思います。
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