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パワハラ事例から学ぶ企業防衛

パワハラ事例から学ぶ企業防衛

令和4年4月1日より労働施策総合推進法に基づく「パワ-ハラスメント防止措置」が義務化されました。記憶に新しい令和4年3月1日福岡地裁判決の株式会社R会長による元社長へのパワハラ裁判では1,045万円の支払いが命じられています。今回はこのようなパワ-ハラスメントの裁判事例を紹介させていただきます。貴社の体制整備や今後の取り組みにお役立ていただけましたら幸いです。

【目次】

1.同じ会社の社員からパワハラを受けた事案

2.先輩によるいじめ事案

3.今回のまとめ

 

同じ会社の社員からパワハラを受けた事案

【同じ会社の社員からパワハラを受けた事案(東京地裁平成25年1月30日判決)】

会社員である原告が、同じ会社の社員であった被告からパワハラなどを受けたとして、被告個人に対し、慰謝料を請求した事案です。

被告は原告の直属の上司ではなく、入社日も原告と2か月しか違いませんでしたが、会社内ではグループの資金調達を行うという重要な役割を期待され、グループ会社の役員に就任予定であったことから会社内における立場は原告よりはるかに上でした。被告は、原告に対し、日常的に業務を行うよう指示していたのですが、

・業務上の必要がないのに深夜に電話をかけ、長時間にわたることがあった

・会社とは別に経営する法人の領収証の整理という会社の業務とはいえない指示を出し、月毎に領収証を並べ替えたもののパソコンへの入力作業を行わなかったとして怒鳴りつけた

・お茶出しのタイミングが遅い、と他の役員や社員の面前で非難し、「自己愛が強い」「子宮でものを考えている」「不要な人間なのに会社にいられることに感謝していない」などと怒鳴りつけた

・上司や同僚らに対し、「怠け者は嫌いです」「貴女はどんなに頑張っても秘書業務では秘書に勝てません。」「彼女の会社での行動はすべて女性のそれであり、注意力も業務運営上のそれも、子宮に従っています」「意欲・能力が欠けており、まずそのことを申し訳ないと感じる必要がある」「彼女のタスクは、会長と会長の奥様と楽しく毎日を過ごしてくれることです。これならば、グループ経営の阻害にはなりません」などのメールを送った

・タクシー手配の方法に激高し、同僚らの面前で原告を激しく罵倒した

・中華料理店において、役員・同僚らの前で、「秘書として能力がない」「お前はいくら稼 いでいるのか、今まで会社にいて何をしてきたのか具体的に言え」「秘書は別の者に変えればいい、会社に勤められていることを感謝しろ」「グループを再生したらお前はもう首だから会社に来るな、明日から辞めてしまえ、もう目障りだからいないでくれ、幸せな結婚をするために会社を辞めた方がいい」などと激しく叱責した

といった内容が明らかになり、慰謝料200万円の支払いを命じています(請求額は300万円)。

※厚生労働省「あかるい職場応援団」裁判例より

先輩によるいじめ事案

【先輩によるいじめ事案(さいたま地判平成16年9月24日労判883号38頁)】

Xが自殺したところ、遺族(両親)がAおよびY病院に対し、いじめによってXが自殺に追い込まれたとし、民事損害賠償請求を提起した事案です。

X(男性)はY病院に入社し、看護師資格の取得を目指し看護専門学校に通学しながら准看護師として勤務していました。同病院には男性准看護師5名が勤務しており、Aが一番上の先輩で、Xが一番下の後輩でした。男性准看護師の間では先輩の言動が絶対的とされ、一番先輩であるAが後輩を服従させる関係が継続しており、AからXに対し、

・勤務時間終了後もAらの遊びに無理矢理付き合わせたり、Xの学校試験前に朝まで飲み会に付き合わせる

・Aの肩もみ、家の掃除、車の洗車などの雑用を一方的に命じる

・Aの個人的な用事のため車の送迎等を命じる

・Xが交際している女性Bと勤務時間外に会おうとすると、Aから仕事だと偽り病院に呼出す、Xの携帯電話を無断で使用しBにメールを送る等の嫌がらせを行う

・職員旅行において、AがXに一気のみを強いて急性アルコール中毒にさせる

・忘年会においてAらがXに対し職員旅行におけるアルコール中毒を話題にして「あのとき死んじゃったら良かったんだよ、馬鹿」「うるせえよ、死ねよ」等と発言し、その後も引き続き仕事中においてもXに対し何かあると「死ねよ」と告げたり、「殺す」などの文言を含んだ電子メールを送信する

・自殺直前、Xはからになった血液検査を誤って出したところ、Aにしつこく叱責され、同日のY病院外来会議でからの検体を出したり、Xの様子がおかしいことが話題になったところ、Aはその席でXにやる気がない・覚える気がないなどと非難する

等を行い、X が自殺を図るかもしれないことを予見することは可能であったと認めるのが相当である」として、Aに対し慰謝料として1.000万円の損害賠償額を遺族に支払うよう命じただけでなく、Y病院に対しても民法415条に基づき、安全配慮義務違反の債務不履行によってXが被った損害を賠償する責任があるとして慰謝料のうち500万円の限りにおいて、Aと連帯して損害賠償責任を負うよう命じています。

※厚生労働省「あかるい職場応援団」裁判例より

今回のまとめ

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③労働者の就業環境が害されるもので①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいますが、今回の事例でもわかるとおり、上司から部下や先輩から後輩に対して行われるものだけではありません。部下から上司に対するパワ-ハラスメントの事例や、実際にパワ-ハラスメントを受けていない従業員が、別の従業員がパワ-ハラスメントを受けていた姿を見てメンタル不調になった事例もあり、経営者や役職員だけが気を付ければよいというものではありません。規定や教育体制を整え、ハラスメント防止を徹底することはもちろんですが、社内外における従業員の言動を全て把握することはできません。当事者だけでなく企業にも損害賠償命令がなされる可能性がある雇用トラブルには損害保険で備えることが可能です。損害賠償金だけでなく、トラブルになる前に事前に相談できるサービスや弁護士への事前相談費用まで補償してくれる保険会社もございます。気になる方はお近くの保険代理店に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

 

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