お知らせ・コラム
『建設現場での火災にご用心』損害保険の備えも忘れずに
工事現場で火災による災害が発生すると一度に大勢の労働者が被災する可能性があります。さらに建築途中の建物が燃えてしまったり、近隣の建物にも火が燃え移り延焼した場合には多大な損害に発展してしまいます。当然、火元の原因となる作業を請け負っていた業者は損害賠償責任を負うことになります。さらに損害の状況や事故の内容によっては、元請け企業にも責任が追及されます。工事現場で発生する火災の原因の半数以上は、溶接や溶断の作業によるもので次いで電気作業、床張り壁張り作業となっております。
今回は、実際に起こった火災の事故例を紹介しながら、建設工事現場での火災の原因や注意点について触れていきたいと思います。
【目次】
1.東京・多摩の建設現場で起こった大規模火災とは
2.建設工事における注意点と予防策とは
3.今回のまとめ
東京・多摩の建設現場で起こった大規模火災とは
建設現場において火災が発生しています。過去の事例をご紹介します。
・東京・多摩の建築現場で火災 5人死亡、約25人が重症
2018年7月26日1時50分ごろ、建築中のオフィスビルから出火したと119番通報があった。東京消防庁によると地上3階地下3階建ての地下3階の床下にあった断熱材約5千平方メートルが焼け男性作業員5人が死亡、約40人がケガをした。鉄骨の切断作業中に火花が断熱材に引火したとの証言がある。警視庁は業務上過失致死傷容疑で調べる。
ケガ人のうち約25人は重傷。火は午後7時半にはほぼ消し止められた。捜査関係者によると出火当時、地下3階で工事用作業台の鉄骨をガスバーナーで切断する作業をしていた。その際に火花が出て床下のウレタンの断熱材に引火して燃え広がった模様で、当時は2人で作業しており、1人が切断しもう一人が火花を水で消す役割だったという。
2人は近くにあった消火器や水で初期消火にあたったが間に合わず、地下3階のさらに下にある免震装置が置かれた階にいた作業リーダーに「もうダメだ」などと報告し避難を始めたという。
この日は約320人が作業しており、死亡した作業員のうち1人は地上3階で、3人は地下でもう1人は地下3階の下の免震階で発見された。施行している安藤ハザマ(東京都港区)によるとビルの着工は2016年10月で2018年の秋に完成予定だった。
※朝日新聞DIGITAL 2018年7月26日
事例の悲惨な事故は、まさに建設工事現場での出火原因として一番多い鉄骨の切断作業中に火花が断熱材に引火した事故です。断熱材は、非常に燃えやすく燃え広がるのも早いので細心の注意を払って作業を行なう必要があります。
建設工事における火災の注意点と予防策とは
では、どのように注意し予防すればよいのでしょうか。
工期終盤に危険要因が高まる
工事現場での火災の危険性は次のような要因により高まります。
1.工事の進捗により日々、色々な業者が入れ替わりまた複数の業者が混在していること
2.火災報知器が設置されていない、また設置されていても作動しないこと
3.溶接、溶断などの火気の使用作業があること
4.内外装などの作業で引火性の物を含有した塗料や接着剤の使用があること
5.資材、廃材等の可燃物があること
工事の進捗が工期終了を迎えるにつれて、大勢の作業員が入場し溶接や溶断の作業が増えて、さらには引火性の高い物質を含有した塗料や溶剤や資材・廃材等の引火しやすい物も現場に増えてきます。引火物の多い工期の終盤は特に注意が必要となります。
火気管理対策の例
・断熱材を使用する作業や場所において元方事業者は、火気管理計画を策定して関係請負人に作業内容の周知徹底を行う
・当該断熱材施工作業場所に火気の使用禁止の表示を行う
・やむを得ず火気を使用する作業を行う場合には、断熱材を使用している場所を不燃性のボード、シートなどで遮断するとともに消火器を設置するなど消火の対策を講じる
・火災などの非常時の避難経路などは作業員に周知徹底しておく
上記のような火気管理対策をしっかり行っていても火災が発生してしまう危険性はありますので、作業員1人、1人が火災の危険性を認識することが重要となります。
万一の火災時における保険の補償範囲と保険種類
工事現場において、失火により損害を与えてしまった場合に備えて保険の準備を検討される事業者様も多いと思いますので、対応する保険について紹介していきます。
1.企業賠償責任保険(請負賠償責任保険)
他人を傷つけてしまったり、他人の物を損壊や汚損してしまった時に対する賠償責任に対する保険です。工事現場において他人の物とは、自社で施工した物と下請けが施工した物以外の物になります。
失火などにより別の業者が施工した物に対して賠償を行う為には、賠償責任保険の加入が必要となります。また近隣の建物や住民の方に被害が出た場合も賠償責任保険の補償範囲となります。
2.工事用物損害(建設工事保険・組立保険)
工事現場において自社で施工した物と下請けが施工した物に対して補償が必要な場合は工事用物損害(建設工事保険・組立保険)の準備が必要となります。
3.労災上乗せ保険
工事現場の火災により自社の従業員や下請けが負傷した場合は労災保険や労災上乗せ保険の補償対象となります。
□建設業についての損害保険は難しいイメージがあるかもしれません。そんな方にオススメのまとめ記事はコチラ!関連記事>【まとめ記事】これを見れば「建設業」で”今”必要となる保険がわかります!!”約10年”の実績をもつ名古屋の損害保険代理店が徹底解説
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今回のまとめ
ご紹介してきたように、工事現場内での火災の一番多い出火原因は溶接や溶断の作業中に火花が飛んで断熱材を燃やしてしまうケースです。実際に断熱材が燃えて、建物を汚損させてしまった事故のご報告を受けた事がありますが、断熱材が燃えると一瞬で火が燃え広がり消火が間に合わないようです。床や壁などに延焼してしまうと大規模な災害に発展してしまい、到底1事業者では負う事ができない程の甚大な損害になってしまいます。
特に乾燥している冬季は火災のリスクが高まりますので、十分に気をつけて下さい。
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