お知らせ・コラム
【コテを使った匠の技】左官工事業の労災リスクとは
左官工事とはモルタルやプラスター、壁土などの材料を水で練り、下地の上に塗付ける工事です。サッシまわりのモルタル詰めや、打ち放しコンクリートの補修工事なども含まれ、表面の仕上げには主にコテが用いられます。単に外観を美しくするだけではなく、補強やアレルギー対策にもつながる作業となります。そんな左官工事業においても労災は起きています。労災の報告は義務であることを認識し、適切に対処をしていきましょう。
【目次】
1.左官工事の3つの特徴とは【外観の美しさを造るだけではない】
2.【左官工事ならではの事故】労災には報告義務があるので気を付けましょう
3.今回のまとめ
左官工事の3つの特徴とは【外観の美しさを造るだけではない】
一般的な左官工事の印象を思い浮かべると、手にしたコテを自由自在に動かして壁を塗っていくイメージがつよいかもしれません。左官工事とは、そのような建築物の表面部分の仕上げを担うものと、壁の基礎となる下地造りをするものの2つに分かれます。建物を造るうえで、左官工事は非常に重要な役割があります。
床や壁の耐久性を高めます
左官工事は、床や壁の耐久性を高める重要な役割があります。また、下地造りは、壁や床の仕上がりを左右します。良質な材料を使っていても下地の出来が良くないと、ひび割れなどの欠陥が生じてしまいます。
美しい仕上がり表現は左官工事の腕次第
小手を使った技術により、風合いやつなぎ目を感じさせない仕上がりなど様々な表現ができます。近年は自然素材に注目が集まり、それを使った日本文化ならではの形や職人技が海外からの評価を高くしています。
じつはアレルギー対策となります
左官工事で壁や床を塗るときに使われる素材は、土や珪藻土(けいそうど)、漆喰といった自然素材がほとんどです。アレルギーやシックハウス症候群を引き起こす物質を含まない為からだに優しく、リフォーム時にはこのような素材を選ぶ方が多いです。
※シックハウス症候群とは
直訳すると「病気の家、症候群」。居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称を意味します。
【左官工事ならではの事故】労災には報告義務があるので気を付けましょう
上記に挙げたような重要な仕事を担う左官工事業においての事故事例をあげていきます。
屋根上での墜落事故
平成30年4月、個人宅の屋根補修工事現場にて島根県のS左官に務める労働者が、屋根上で瓦にはねた漆喰の清掃作業に従事していました。その際に屋根の端に手すりを設けるなどの高所作業の際の墜落防止対策を怠ってしまい、清掃作業中に墜落し死亡労災となってしまいました。
このような事故は事前の墜落防止対策を怠ったという労働安全衛生法違反が労災事故の根底にあります。その防止策を行ったうえで、万一の死亡や後遺障害などの重大災害が起きた際の使用者賠償付きの任意労災が必要となってきます。なぜなら労災では必要最低限の補償しかないからです。会社からのお見舞金や賠償金などに対応できるよう保険の見直しもしておきましょう。
外国人労働者による労災隠しで送検
平成31年1月15日、福岡県の市内の道路の新設工事現場内でG建設のベトナム人技能実習生は、側溝に並べたU字溝をつなぐ左官作業をしていました。実習生が側溝のそばを歩いていたところ、バランスを崩し、とっさにそばにあった町張りを右手につかみました。丁張りからは釘が出ており、右手を釘に刺された実習生は10日ほど休業しました。
労働安全衛生法によると、休業4日以上の労働災害が起きた場合に事業者は遅滞なく報告しなければならないと定めていますが、G建設の社長は報告義務があることを認識しておらず、労災隠し送検となってしまいました。労災発覚は、その実習生が支援団体に相談し、支援団体から労基署に情報提供があり、その後の捜査で発覚とのことです。
経営者は労災が起きてしまった際の報告義務について把握するべきです。
※チェックポイント【労災が起きた際は休業日数によって、報告の内容と提出期限が変わります】
休業日数が3日以内の場合
「労働安全衛生規則様式24号」により、3ヵ月に一度、期間ごとに発生した労働災害をとりまとめて労働者死傷病報告を提出する必要があります。その中には下記の内容を記載することが必須となります。
・事業場の名称・所在地
・労働者の氏名・年齢・職種
・傷病名および傷病の部位
・休業日数
・災害発生状況
休業日数が4日以上または死亡の場合
「労働安全衛生規則様式第23号」により、災害発生後すみやかに(1週間から2週間以内程度)に労働者私傷病報告を提出しなければなりません。様式第23号は厚生労働省ホームページからダウンロード可能です。また、その中には下記の内容を記載することが必須となります。
・事業所の名称・所在地
・労働者の氏名・生年月日・年齢・性別・職種・経験年数
・休業見込み期間または死亡日時
・災害発生状況および原因
・傷病名・傷病部位
・被災地の場所
・略図(発生時の状況を図示する)
以上です。休業の3日以内と4日以上では報告期限と報告項目が違うので注意しましょう。
なお、休業4日未満の労働災害については、政府の労災保険によってではなく、使用者が労働者に対し、休業補償を行わなければならないことになっています。その空いた1日~3日以内の休業補償についても任意労災がお役に立ちます。
また、労災について簡単にまとめますと、休業3日以内のものについては報告義務!休業4日以降のものについては使用義務!があると覚えておきましょう。
まずは労災の報告義務を知ることと必要な補償を準備することが必要です。
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今回のまとめ
どれだけ気を配っていても、完璧に労災を防ぐことは不可能とも言えます。しかし事故事例を見てみますと、あきらかに法令違反であったり、無知であったりするために起きているものが多いのも現実です。悲しい重大災害を少しでも減らすために、匠の技をもつ職人さんをお守りするために、必要な対策と必要な補償を準備しておきましょう。
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