お知らせ・コラム
進む!「ホワイト物流」
ホワイト物流とは、私たちの生活基盤を支える物流業界の深刻な人手不足を受けてトラック輸送の生産性を向上や物流の効率化を実現し、トラック運転者の負担を減らそうという国土交通省が主体となって取り組んでいる運動です。現在トラック運転手の高齢化が進行することで若い担い手の新規参入は減少しており、労働時間が全業種平均より約2割長い事など多くの問題を抱えています。現状を改善しホワイト物流を実現するには荷主となる企業の理解と協力が不可欠であり、荷下ろしロボットや台車型物流支援ロボットの導入など新たな取組も重要となります。今回は、ホワイト物流の推進運動について触れていきたいと思います。
(労働新聞社 安全スタッフ2023年 1月号 参照)
【目次】
1.嫌われる加工食品物流
2.「ホワイト物流」に向けた各企業の取り組み
3.今回のまとめ
嫌われる加工食品物流
「ホワイト物流」促進運動は、トラック運転者不足が深刻になっていることを踏まえ、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保し、経済成長に役立つことを目的として2019年に始まりました。今年度のセミナーでは2024年度の時間外労働規制の見直しに向けた働き方改革やさらには物流DXの推進の取り組み内容などが中心となっています。持続可能な加工食品物流を目指すなかで、「嫌われる加工食品物流」についての指摘がありました。
嫌われる加工食品物流
1.納品先での長時間待機
例)30分で済む荷下ろし時間のために7時間まち!
2.ドライバーの運転以外の作業が多い(付帯作業)
例)積み下ろし、積み替え、フォークリフト運転
3.厳しく、複雑な日付管理・納品期限管理
例)ロット逆転防止のための多頻度検品
4.短いリードタイム(受注翌日配送、夜間作業)
5.非効率で非合理的な悪しき商慣行
例)納品場所での棚入れ、ドライバー作業を見込んだ納品先合理化
6.小ロット多品種多頻度納品
嫌われる食品加工の問題を解決するための企業の取り組みをご紹介します。
「ホワイト物流」に向けた各企業の取り組み
「ホワイト物流」推進運動の一環としてこのほど国土交通省などは、オンラインセミナーを開催した。味の素が「持続可能な加工食品物流」をテーマに発表を行い、発荷主として着荷主と調整して、商品の発注から納品までの時間である「リードタイム」の延長に積極的に取り組んでいること等を紹介した。富士通総研は物流DX事例を取り上げ荷下ろしロボットや台車型物流支援ロボットなど、小型化・低価格化が進むロボット導入による効果を報告している。
・味の素の取り組み
大目標 持続可能な加工食品物流の構築
同社は、「ホワイト物流」推進運動自主行動制限を掲げ、待ち時間の解消や運転手の付帯作業の削減などについて物流事業者と真摯に協議し、着荷主に対しても必要な提案を行うことや、荷着主として着荷主と調整しリードタイムの延長に積極的に取り組むことなど7項目の取り組み事項をまとめた。※物流におけるリードタイムとは、商品・サービスを発注してから納品されるまでの時間や日数のことをいいます。
①長時間待機撲滅
②納品リードタイム延長
③付帯作業撲滅
④安全対策
⑤安定した物流オペレーション
・BCP対応と当社製品の確実で高品質な配送実現
⑥納品伝票電子化
伝票エコシステム構築
⑦外装サイズ標準化
味の素社策定「外装表示ガイドライン」の普及浸透
・荷下ろし自動化で負担軽減
「物流DX事例の紹介」
倉庫ではロボティクスが活躍している。その背景としてはこれまで複雑な作業、機械設置のスペースがない場所では人が作業してきたが高度な判断を求められる作業を担うロボットの小型化、単純化、低価格化も進んでことでロボットの適用可能な作業領域が拡充したことがあります。荷下ろしロボットは自動で荷下ろし作業を遂行するロボット。さまざまなサイズ、色、柄の段ボールの検出ができるようになり、荷物が不規則に積まれていてもロボットが自動で荷下ろしをすることが可能になった。このため1時間あたり平均400~500ケースを荷下ろしに関わる労務負担の削減に成功している。こういった取組みを各企業と共有することにより、ホワイト物流へのシフトを後押しすることで業界全体の好循環を生み出していきたいと考えている。
今回のまとめ
2024年度の時間外労働規制の見直しなど、物流業界が大きな転換期を迎えています。「ホワイト物流」に向けてトラック会社など物流企業だけでなく、商品の発注者である食品加工会社などいわゆる元請け企業も協力して取り組む必要があります。また、物流会社としてもドライバーの人手不足の解消や高齢化の問題に対応するために福利厚生制度の充実を図る動きが出てきています。具体的には、退職金制度の導入、従業員向けのプライベートを含めたケガや病気の補償、長期休業を伴う労災補償や傷病手当金の上乗せ補償など保険商品を活用しながら準備できる福利厚生制度も多数存在しますので、気になる方は是非お問い合わせください。
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