お知らせ・コラム
自然災害とBCP(事業継続計画)
梅雨の季節は例年蒸し暑くはありますが、今年は6月にもかかわらず既に30℃を超える真夏日を記録している地域も多く、地球温暖化の影響を感じずにはいられません。各地で電力不足も懸念されており、猛暑を乗り超えるために企業としてだけでなく、ひとりひとりができることを考え、意識して取り組んでいく必要があります。そのような中、金沢で震度6弱の地震が発生しました。BCP(事業継続計画)の必要性を改めて感じた企業経営者・事業者の皆さまも多いのではないでしょうか。今回は防災計画とBCPの違いを確認し、事業継続力強化計画の認定取得にお役立ていただける情報を共有したいと思います。
【目次】
1.防災計画とBCPの違い
2.ハザ-ドマップを活用する
3.今回のまとめ
防災計画とBCPの違い
「BCP」という言葉を知らない、という方は以前に比べて少なくなったと感じます。災害大国日本においては他人ごとではないということもあり、既に取り組みをされているという企業や事業者様も多いのではないでしょうか。BCPが浸透する前は「防災計画」の策定が主流でした。では「防災計画」と「BCP」は何が違うのでしょうか?「防災計画(ここでは企業が行う防災対策=企業防災を指します)」は、従来から浸透している「食料などを備蓄する」「防災訓練を実施する」 「救護の体制を整える」「安否確認のための連携を図る」などの防災活動を行う計画で、人の命や建物・資産を守るためのものです。それに対して「BCP」は、「地震」「津波」「台風」「豪雨」「豪雪」「土砂」「液状化」「感染症」などの自然災害で起こりうる「施設の大規模火災」「爆発」「施設内での事故」「経営者・キーマンの不在」「放射能汚染」「工場の環境汚染」「テロ」「紛争・戦争」「行方不明」等に対応し、自社の建屋が使用できなくても、スタッフが減少しても、交通網やサプライチェ-ンが途絶しても、電力やガス・上下水道が停止しても重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復興させるさめの方針を定めた計画書です。「情報の連携」「公開訓練」「通報訓練」「安否確認訓練」「避難訓練」「事業継続イメ-ジ訓練」「総合防災訓練」「備品操作訓練」などを社内でいつでも行動できるようにするだけでなく、利用者に周知しておく計画でもあります。細かい行動をひとつひとつ挙げていけばキリはありませんが、
◆リスク診断(どのようなリスクが想定されるか)
◆事業影響度分析(止めてもよいもの、止めてはいけないものを見極める)
◆最大許容停止時間(事業を継続させるために許容できる停止時間・期間)
◆目標復旧レベル(何をどこまで復旧できれば事業の継続が可能か)
◆目標復旧時間(目標復旧レベルに復旧するために必要な時間)
を抑えておくことで、事業継続計画は作成できると言われています。
当然生き残らなければ何も行動できませんので、生き残ることが重要であることは言うまでもありません。
株式会社BCPJAPANの山口社長に伺った興味深い話を紹介させていただきますが、災害時に備えて発電機を備えている企業のうち、訓練で発電機を実際に作動させることが出来たのはわずかに2割だったそうです。備えがあるというだけで安心してしまいがちですが、いざという時に使えなければ意味がありません。しっかりとした訓練が出来ているかが復旧できる企業とできない企業の分かれ目になるかもしれない、と仰っていました。
また、特に日本では「止めろ」といわれなければ止めないという人が多いため、災害時でも経営者や上司が「止めろ」と言わない限り、安全の確保や避難をすることなく仕事を続けてしまうとのことでした。経営者や上司が適切な指示を出せるかどうかも重要なポイントだと言えそうです。
災害の中でも、特に火災はその日の風の影響を受けやすく、強風であればあるほど被害が拡大します。自然災害はいつ、どのような時間帯に、どのような天候の時に起こるのかわかりません。被害を想定する場合は、この点も押さえておくとよいでしょう。
ハザ-ドマップを活用する
リスク分析には、ハザ-ド調査が必要不可欠です。
「自宅の標高」「職場の標高」「地震」「洪水」「内水氾濫」「高潮」「津波」「土砂災害」「ため池」といったハザ-ド情報は、
◆国土交通省ハザ-ドマップポータルサイト
◆地震ハザ-ドステーション
https://www.j-shis.bosai.go.jp/
にてご確認いただけます。
ハザ-ドマップポータルサイト内にある「重ねるハザ-ドマップ」で、洪水や土砂災害・高潮といった情報だけでなく地域区分に基づいた液状化の発生傾向まで確認できることをご存じでしょうか?どのような災害が想定されるのかによって、対策や備えておくものや行動計画は大きく異なります。従業員の皆さまのご自宅、会社や店舗・工場などの自社施設だけでなく、取引先や関連会社が災害時に想定される被害も含めて確認しておくことが必要です。
今回のまとめ
全国各地で大きな災害が起こっているにもかかわらず、なぜか他人ごとのように感じてしまうという方も多いのではないでしょうか?誰もが「自分・自社だけは大丈夫」と思っていては、いざというときに何もできません。災害が起こった時、何もできず倒産するのを待つような事態だけは避けなければなりません。まずは自社のリスクを分析し、止めてはいけない業務を精査し、事業継続させるための計画を作成しておくことが大切です。計画書の作成には、「事業継続力強化計画認定制度」を活用することもできます。気になる方は、お近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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