お知らせ・コラム
自動車保険~同乗者の責任と補償~
5月に発生した高速道路を走行中の検診車から女性が転落し死亡した事故は、皆さまの記憶にも新しいのではないでしょうか?この事故において警察は「同乗者に対する安全配慮義務を怠った」として運転者を「過失運転致死」の疑いで逮捕しています。仕事だけでなくプライベ-トでお車を運転される、またはお車に乗車されるという方も多いと思います。今回は同乗者の安全配慮義務と自動車保険の補償について改めて確認してみましょう。
【目次】
1.同乗者の責任と安全配慮義務
2.自動車保険における同乗者の補償
3.今回のまとめ
同乗者の責任と安全配慮義務
検診車の事故では、運転者が運転上の注意義務を怠り同乗者を死亡させた、ということから同乗者に対する「安全配慮義務違反」となりましたが、交通事故を起こしたときに同乗者がいた場合、運転者だけでなく同乗者も責任を問われる可能性があります。交通事故を起こした場合、基本的には事故を起こした加害車両の運転者が責任を負うこととなりますが、事故の原因を同乗者が作ったとみなされる場合は同乗者も責任を問われることがあります。
≪例≫
・運転者に話しかけ続けるなど運転の邪魔をする
・運転者を煽り危険な運転をさせる
・運転者の飲酒や無免許を見過ごす
・同乗者の故意や過失が事故の原因となった
業務中の場合は使用者の責任が問われる可能性が高いため、さらに注意が必要です。
≪例≫
・過労状態であることを知りながら運転させた
・安全教育を実施しなかったことで事故が発生した
事故を起こしてしまった場合は運転者でなくても責任が生じる可能性がある、という意識を常に持ち続けることが大切です。業務中の交通事故の場合は労災保険に請求することもできますが、プライベ-トで友人・知人の車に同乗し(事故の原因となる行為を行っていない状況で)交通事故に遭い、ケガを負ってしまった場合はどうなるのでしょうか?同乗者が交通事故に巻き込まれてケガを負った場合、事故を起こした運転者と事故の相手に対して民法上の不法行為に基づき損害賠償請求できる可能性があります。同乗していた自動車の運転者に過失がなければ、事故相手に対して損害賠償請求することができますが、事故相手に過失が一切ない場合や相手のいない単独事故の場合は運転者に対して責任を問うことになります。事故相手と運転者の双方に過失が認められた場合は、どちらに対しても損害賠償請求が可能となります。
自動車保険における同乗者の補償
自動車事故においては自賠責保険や任意加入の自動車保険から補償が受けられます。自賠責(自動車賠償責任)保険は自動車を所有している人へ加入が義務付けられている強制加入保険であり、交通事故で他者にけがを負わせた場合は同乗者に対しても条件なく適用されますが、任意保険の自動車保険においては同乗者と運転者の関係によって保険が適用される場合とされない場合があります。ここで同乗者が補償を受けられる可能性のある自動車保険の補償についておさらいしておきましょう。
◆対人賠償責任保険
契約自動車の事故により他人を死傷させ、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担した場合に保険金が支払われます。自賠責保険などから支払われるべき金額を差し引いた額が保険金額を限度に支払われ、実際に負担した損害防止費用や示談交渉費用、争訟費用等についても支払われます。補償対象となるのは「他人」であるため、記名被保険者や運転者自身やその両親、配偶者やお子さまは補償されません。
◆人身傷害保険
補償の対象となる事故により被保険者が死傷した場合に治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益、将来の介護料、葬儀費などの損害に対して保険金が支払われます。補償対象となる被保険者には「記名被保険者」「記名被保険者の家族」「記名被保険者とその家族以外に契約自動車に乗車中の人」等が含まれています。
◆搭乗者傷害保険
契約自動車の事故により、被保険者が死傷した場合に死亡や後遺障害の程度に応じて一時金や医療保険金として給付金等が支払われます。補償対象となる被保険者は「契約自動車に乗車中の人」となっています。※故意や重大な過失、無免許・酒気帯び運転等による事故など、保険金が支払われない場合があるため注意が必要です。
今回のまとめ
運転車だけでなく備えておきたい自動車保険の特約の1つに「弁護士費用特約」があります。補償対象となる事故により被保険者が生命または身体を害された際、財物に損害を受けた際にその相手に損害賠償請求するための損害賠償請求費用や法律相談費用を負担した場合に保険金が支払われる特約です。自動車事故だけでなく、自動車以外の事故についても補償される被害事故プランの弁護士費用特約が付帯できるプランを取り扱っている保険会社もあります。また、自動車事故に限らず歩行中、自転車に乗車中、駅構内(改札内)での事故によるケガを人身傷害保険で補償できるプランを取り扱っている保険会社もあります。普段運転される方だけでなく、運転しないという方・ご家族のもしもに備えることができる「家庭用自動車保険」について詳しく知りたいという方は、お近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。
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