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高齢者の雇用安定法と免許の更新

高齢者の雇用安定法と免許の更新

歳を重ねると運動機能や認知機能・判断能力が若い時と比べるとどうしても低下してしまいます。車の運転や仕事の作業などでも危なっかしいミスを繰り返してしまう方もいらっしゃいます。ただ能力の低下は単純に年齢だけで判断できるものでは無く、同じ年齢でも個人差がかなりあるので一人一人の状態を確認して適切な対応をとる必要があります。また経済状況や生活環境などにより、免許返納や仕事の退職が難しいケースなどもあります。今回は、高齢者雇用安定法や75歳以上の免許更新などについて触れていきたいと思います。

【目次】

1.運転技能検査が義務に?

2.高齢者雇用安定法

3.今回のまとめ

 

運転技能検査が義務に?

☆75歳以上での免許証更新

Q.76歳を迎えた父が免許証の更新を控えています。父は過去5年間、無事故・無違反ですが75歳以上の者が運転免許証の更新をする場合、運転技能検査が必要となると聞きました。違反歴のない者も同検査を受けなければならないのでしょうか?

 

A.違反歴がなければ対象外

高齢運転者対策の推進に関する内容の道路交通法の一部を改正する法律が成立し、運転技能検査に関する規定が令和4年5月13日から施行されています。

(1) 運転技能検査

75歳以上で運転免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の160日前の日前の3年間に、信号無視や速度超過、横断歩行者等妨害、安全運転義務違反、携帯電話使用の一定の違反歴を有する者が、運転免許証の更新を受けようとする場合は普通自動車等の運転について必要な技能に関する検査を受けなければならない(更新期間満了前6カ月以内)

(2) 運転免許の更新ができないことも

公安委員会は、運転技能検査の結果が一定の基準に該当する(運転することに支障がある)者に対して運転免許の更新をしないことができるようになりました。

☆運転技能検査の内容

自動車教習所などのコースを実際に運転しながら、指示速度での走行や一時停止、右折、左折、信号通過などの課題が実施されます。100点から減点され70点以上(第一種免許の場合)と80点以上(第二種免許の場合)で合格となります。また、違反歴がない75歳以上の方でも、免許証の更新にあたっては改正前から必要とされていた①認知機能検査と②所定の講習を受ける必要があります。ご相談のケースでは、過去5年間、無事故・無違反とのことですので運転免許証の更新にあたり運転技能検査は不要ですが、①認知機能検査と②所定の講習が必要となります。高齢者による事故防止する観点から本改正がなされた点を踏まえ、これを機に免許証の更新についてご家族でもしっかりと話し合うことが肝要と思われます。

高年齢者雇用安定法

☆認めた者のみ継続雇用は

Q.65歳以上の高齢者

当社工場で65歳以降も継続雇用する予定の者がいます。重大な事故には今のところつながっていないものの危なっかしいミスを繰り返していて、どうするべきか悩んでいます。継続雇用に関する規定をみていて「会社がとくに必要と認める者」という文言がありました。これに当てはめることは可能でしょうか。

 

A.「対象者基準」可能だが必須要件ではない

65歳以上と64歳以下で分ける必要があります。65歳までの雇用確保措置を講ずることは義務ですが、これに対して65歳以降の高年齢者就業確保措置は努力義務となっており、継続雇用に関しては対象者の基準を定めることが可能です。よくある例が人事考課や出勤率、健康診断の結果などを判断要素とするものです。ただし「会社が必要と認めた者に限る」や「上司が推薦した者に限る」などの基準は、事業主が恣意的に特定の高齢者を選定できるため、厚生労働省が基準としては適当でないとしています。継続雇用の対象とするときに労働条件をどうするかは基本的に会社が決めることが出来ます。例えば、65歳以降はそれまでと比較して健康上の問題も懸念されるなどとして、労働契約の期間を短く設定したうえで勤務成績を踏まえて都度契約内容を見直すこと自体は問題ありません。

☆高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるように、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部が改正され令和3年4月1日から施行されています。

事業主は以下のいずれかの措置を講ずるよう努めることとされています

1)70歳までの定年の引き上げ

2)定年制の廃止

3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

①事業主が自ら実施する社会貢献事業

②事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

今回の改正は、70歳までの定年年齢の引き上げを義務付けるものでは無く、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ70歳までの就業機会の確保について事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設けたものになります。

今回のまとめ

仕事の退職時期や免許の返納などは、人生において大きなターニングポイントとなります。特に車社会の中で、免許を返納するというのは容易な事ではないと思います。しかし、取り返しのつかない重大な事故を起こす前に、運転の衰えを感じたら返納する勇気も必要かと思います。運転技能検査や適性検査などの結果も参考にしながらご家族とも相談してみて下さい。

 

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