お知らせ・コラム
安全運転は「楽しむ」時代?ドライバーを支える様々な技術とは
日本全国でみると、ここ30年で交通事故による死者は大幅に低減しています。しかしそれは「ドライバーの交通安全に対する意識が高くなった」というよりも「車体そのものの安全性が高くなった」ことが原因のようです。またドライブレコーダーや自動ブレーキなどの普及も一つの要因でしょう。
自動車本体の安全性に加えドライバーの安全意識を高めるために、今、自動車メーカーや大手電子機器メーカーが様々な開発をすすめています。
【目次】
1.自動車の安全性 メーカーの苦労の歴史
2.ゲーム感覚で安全運転、ランキング上げて商品ゲット?
3.自動車の任意保険、きちんと加入していますか?
4.今回のまとめ
自動車の安全性 メーカー苦労の歴史
自動車にとって、「安全」はもっとも重要なテーマです。自動車が発明されてこのかた、日本はもちろん世界中の自動車メーカーが安全技術の開発に力を入れてきました。安全技術には、乗員の疲労軽減や視界確保によって事故を防ぐ0次(予防)安全、事故を車の操作によって回避する1次安全、事故発生時に乗員を守る2次安全、歩行者や二輪車などの被害を軽減する3次安全の4種類があります。もっとも早くから技術が発達したのは事故発生時の乗員の命を守る「2次安全」です。乗員をシートに拘束して被害を減らすシートベルト、ボディーをつぶして衝撃を吸収する衝撃吸収ボディーなど、多くの技術が1950年代~60年代といった早い時期に採用されました。また、80年代にメルセデスベンツが発明し、現在多くの乗用車に標準装備されている「エアバッグ」もこのカテゴリに入ります。
その後、電子技術の発達にともなって、車の操作による事故回避である「1次安全」についての技術開発が急速にすすみました。雨や雪など悪天候の中でも車の発信を安定させるトラクションコントロール、ブレーキの片利きを防ぐEBD(電子制御制動力配分システム)なども1次安全技術です。
さらに、1次安全の思想を拡大し事故そのものを防ごうとする0次安全技術も登場してきました。90年代後半にはテレビカメラで死角を映し出す、フロント・サイドモニターや、カーナビの地図情報を利用して急カーブを警告したりといった技術も登場しました。 そして現代、高性能なドライブレコーダーや自動ブレーキ機能等、電子デバイスやAIを活用した0次安全の技術は、まさにこれからが本番だといえます。
ゲーム感覚で安全運転、ランキング上げで商品ゲット?
(株)D社では、交通事故を社会問題ととらえ、ドライバーの安全意識向上、安心安全に移動できる街づくりのためのプロジェクトを始動しています。交通事故の多くは個人の不注意が原因で発生していることから、同社は、運転状況を客観的に評価し、ひとりひとりにフィードバックを通じて安全運転意識を高める、そうした仕組みを多くの人が利用できるよう、スマートフォンアプリの開発に着手しました。このアプリをインストールすれば、スマートフォン搭載のGPSや加速度センサー、ジャイロセンサーが急ブレーキや急ハンドルなどを検知し、安全運転の状況を判定、解析してくれます。また自分の運転のスコアリングでメダルを集めたり、他参加者とランキングを競うことで、楽しみながら安全運転をすることができます。(株)D社では、社内でこのアプリに参加している従業員に対し、ランキング上位者には社屋近くの駐車場優先権や社内コーヒーショップで使える商品券を用意するなど、参加者が飽きずに活動を続けられる工夫をこらしています。アプリは今年7月から一般向けにもリリースされており、各企業や自治体でも利用されているようです。(※ 労働新聞社発行 安全スタッフ参照)
自動車の任意保険、きちんと加入していますか?
自動車を運転する方は、強制加入の自賠責保険だけでなく、任意保険にも加入していらっしゃる方がほとんどかと思います。万が一自動車で事故を起こしてしまった時、被害者側から請求される補償額は、強制加入している自賠責保険料だけでは足りない場合がほとんどです。このような場合に備え任意保険への加入は必須といえます。
自動車の任意保険は補償対象や補償内容を保険加入者が選ぶことが出来るため、対人補償はもちろんのこと、物損事故による対物補償や、自身の怪我の治療費、車両の修理費が必要になったとき保険で対応することができます。一番重要な対人補償についてですが、交通事故被害者への補償額が億単位になった事例もあります。被害者への補償には実際の損害額に加えて「逸失利益」も合わせて請求されるため、高額となる例が多いのです。
逸失利益とは、被害者が事故に遭わなければ得られるはずだった収入(利益)のことで、被害者が高額所得者や若い人であるほど高額になります。
逸失利益を算出する基本的な計算式
基礎収入額×労働能力喪失率×対象年数の係数=逸失利益
基礎収入額は、当該人物が家事従事者であるか、兼業家事従事者か、若年層か、子供かによって異なります。また、交通事故によって後遺障害が遺ってしまった場合は後遺障害等級別に労働能力喪失率が決まっています。このように高額な賠償を求められた時も自動車の任意保険に加入し、対人賠償の補償額を無制限にしていれば、自賠責保険の限度額を超えた部分は、たとえ億単位であっても保険金が全額支払われるため、万が一の時の安心として大きなメリットとなるでしょう。
今回のまとめ
交通事故を起こさないようにするためには、自動車本体の安全性はもちろんのこと、ドライバーの日ごろの安全運転に対する意識付けも重要であることがおわかりいただけたかと思います。上にご紹介したアプリなどを活用して、自分がどのような運転をしているのか客観的に確認したり、ランキングを上げることで楽しみながら安全運転を心がけることもできます。また起こってしまった事故に対する備えも、もちろん必要不可欠です。自分の安全運転に対する意識や事故への備えが万全にできているか、今一度ふりかえってみてはいかがでしょうか。
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