お知らせ・コラム
2021年法改正への備えは万全ですか?『著作権法』編
時代とともに私たちの生活スタイルや働き方、過去の常識までもが変化し続けています。中でも2020年は、世界的に転換期を迎えた年となりました。そのような状況の中、日本国内においても様々な法律の制定や改正が行われており、2021年も多くの改正法が施行され、また施行が予定されております。企業経営者の皆さまや法改正が業務に大きく影響する人事労務担当の皆さまが「知らなかった」では済まされな事態に陥らないためにも、あらためて確認していきたいと思います。
【目次】
1.著作権法の改正(2020年10月・2021年1月施行)
2.改正のポイント
3.今回のまとめ
著作権法の改正
著作物等を巡っては、近年の社会状況の変化に伴いトラブルが増加しています。著作物等の公正な利用と適切な保護を図るための措置として著作権法およびプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律が2020年6月に成立し10月に公布され、2021年1月に改正法が施行されました。
内容としては、インタ-ネット上の海賊版に対する喫緊の法整備として
◆リ-チサイト対策(2020年10月1日施行)
◆侵害コンテンツのダウンロ-ド違法化(2021年1月1日施行)
昨今のビジネス動向や社会実態の変化を踏まえたその他の改正事項として
1.著作物の利用円滑化を図るための措置(2020年10月1日施行)
◆写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
◆行政手続きに係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)
◆著作物を利用する権利に係る対抗制度の導入
2.著作権の適切な保護を図るための措置(2021年1月1日施行)
◆著作権侵害訴訟における証拠収集手続きの強化
◆アクセスコントロ-ルに関する保護の強化
3.その他(2021年1月1日施行)
◆プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法)
となっています。
改正のポイント
◆リ-チサイト対策
違法にアップロ-ドされた著作物(侵害コンテンツ)へのリンク情報を集約した「リーチサイト」や「リーチアプリ」により、海賊版被害が深刻化していることから下記について規制
①リ-チサイト・リーチアプリにおいて侵害コンテンツへのリンクを提供する行為
②リ-チサイト運営行為・リーチアプリ提供行為
◆侵害コンテンツのダウンロ-ド違法化
違法にアップロ-ドされた著作物のダウンロ-ド規制(私的使用でも違法)について、音楽・映像から著作物全般(漫画・書籍・論文・コンピュ-タプログラムなど)に対象を拡大。国民の情報収集等を過度に委縮させないよう、規制対象は「違法にアップデ-トされたことを知りながらダウンロ-ドする」場合のみとするとともに
①漫画の1コマ~数コマなど「軽微なもの」
②二次創作・パロディ
③「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」
のダウンロ-ドは規制対象外とする。
※刑事罰については、特に悪質な行為に限定する観点から「正規版が有償で提供されている著作物」であり、「反復・継続してダウンロ-ドを行う」ことが要件。
◆写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
2012年改正で創設された写り込みに係る権利軽減規定では「写真の撮影」「録音」「録画」を行う際の写り込みのみが対象となっていたが、「スクリ-ンショット」「生配信を行う際の写り込み」等、規制の対象範囲を拡大。
◆行政手続きに係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)
著作権法第42条第2項では、特許審査手続きにおいて特許等に関する審査が迅速・的確に行われるよう「権利者に許諾なく必要な文献等の複製等ができる」こととしているが、【地理的表示法(GI法)】に基づく地理的表示の登録、【種苗法】に基づく植物の品種登録についても同様とし、政令により随時追加することを可能とした。
◆著作物を利用する権利に係る対抗制度の導入
著作権者と利用許諾契約(ライセンス契約)を締結している者(ライセンシ-)は、著作権が譲渡された場合、著作権の譲受人等に対して著作物を利用する権利(利用権)を対抗することができず、利用継続ができない状況だったが、特許法等を参考に著作権法においてもライセンシ-が安心して利用を継続できるよう利用権を著作権譲受人等に対抗できる制度を導入。
◆著作権侵害訴訟における証拠収集手続きの強化
著作権者が訴訟において、裁判所は原告からの申立てに基づき「侵害立証や損害計算のために必要な書類を保有する被告に対して提出命令を発することができる」とされているが、書類を見る前に提出命令を発するかどうかの判断が求められるため適切な判断ができない可能性がある。さらに被告は正当な理由があれば書類の提出を拒否できるため「正当な理由」であるかどうかの判断の為に書類を見ることが可能となったとしても専門性の高い内容を十分に理解できない場合があるため、「裁判所が書類提出命令を発する必要性の有無を判断する前段階で実際の書類を見ることができるようにする」とともに「判断の際に大学教授等の専門委員のサポ-ト」が可能となる。
◆アクセスコントロ-ルに関する保護の強化
コンテンツの提供方法が従来のパッケ-ジ販売からインタ-ネット配信への移行に伴い、不正利用を防止する保護技術(アクセスコントロ-ル)のひとつとしてシリアルコ-ドを利用したライセンス認証が普及する中で発生しているライセンス認証回避によるコンテンツの不正利用に対応するため、不正競争防止法改正(2018年)と同様に、アクセスコントロ-ルに関して「定義規定の改正(コンピュ-タソフトウェアに用いられるライセンス認証等最新の技術が保護対象に含まれることを明確化)」「不正なシリアルコ-ドの提供等に関する規制」を実施。
◆プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法)
特殊性の高いプログラムの著作物は、「プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律」にて著作権法の特例を規定(プログラムの登録は文化庁長官指定機関が実施)しているが、訴訟等での円滑化を図るため、「著作権者等が自ら保有する著作物(訴訟等で係争中のもの)と事前にプログラム登録した著作物が同一であることの証明を請求できる」こととし、「国及び独立行政法人が登録を行う場合の手数料免除規定を廃止」した。
※文化庁「著作権法およびプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律 御説明資料」より抜粋
今回のまとめ
今回は、「著作権法」に関連する法改正について確認してまいりましたが、著作権を含む「第三者の知的財産権」を万が一侵害してしまった場合には、損害保険(個人情報漏洩保険)で補償が可能です。
裁判外の和解(示談)によるものは補償対象とはなりませんが、
・特許権
・実用新案権
・商標権
・著作権(著作者人格権・著作者隣接権含)
・意匠権
・種苗法に基づく育成者権
・回路配置利用権
のすべてを補償対象としている保険会社もございます。
気になる方は、お近くの保険代理店へご相談してみてはいかがでしょうか?
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