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職場における”LGBT”の労働問題について考える

職場における”LGBT”の労働問題について考える

最近、LGBTという言葉をニュースなどでよく耳にしませんか?LGBTとは同性愛者やトランスジェンダーなど性的少数者を指す言葉です。近年、渋谷区や世田谷区で同性のパートナーシップ証明書が発行されるなど、社会的認知も高まっています。平成27年4月に実施したインターネット調査では、約13人に1人の割合でLGBT当事者が存在するという結果が出ており、こうした結果からも、職場においてもその存在に配慮すべきであるという企業の動きが見られます。いっぽう、差別や偏見も根強い日本では、性的少数者の方が職場や学校でカミングアウトをした場合不利益な立場に立たされる事案も多く存在します。今回はこの問題を法的な観点と社会的観点からみていきましょう。

【目次】

1.性同一性障害のタクシードライバーが乗務禁止に?

2.急ピッチで進む行政や企業の対応【保険も変わりつつある】

3.今回のまとめ

 

性同一性障害のタクシードライバーが常務禁止に?

性同一性障害のタクシードライバーが会社をクビになり、会社との間で争ったケースをご紹介します。

【事件の概要】

タクシー会社でドライバーとして勤務するA(戸籍上は男性)は、性同一性障害の診断を受けており社会生活全般を女性として過ごしていました。よってタクシー乗務員として勤務中も顔に化粧を施しながら乗務していましたが、会社側は、利用客からAに対し、化粧に対する苦情、乗車拒否、運賃の過大請求などの苦情が寄せられていることを原因として、「これ以上乗務させることはできない」とAに告げ、さらに退職を促しました。

Aは、退職勧告以降業務に従事できなくなったことを受け、大阪地裁に賃金の仮払いを求めて仮処分の申し立てを行った。

【判決の要旨】

大阪地裁は、Aが医師から性同一性障害の診断を受けており、外見上可能な限り性自認上の性別である女性に近づけたいと思うことは、自然かつ当然の欲求であるとし、女性乗務員と同等に化粧を施すことを認める必要性があると判断しました。またこれにより、就労を拒否することに必要性も合理性もないとして、会社側に対して民法に基づき、Aに対する賃金100%の支払いを命じました。(※労働新聞参照)

 

性同一性障害のみならず、様々な性的マイノリティの方々が働きやすい職場の整備に向けた対応が求められる時代要請から、企業側も理解と配慮を求められる時代になってきているといえます。

また、大企業では昨年6月から(中小企業では2022年4月から)施行されているパワハラ防止法では、性的指向や性自認に対するハラスメント、所謂「SOGIハラ」や、本人の性的指向や性自認を、本人の同意なく第三者に暴露する「アウティング」もパワーハラスメントに含まれるとされています。

急ピッチで進む行政や企業の対応【保険も変わりつつある】

こうした社会の流れを受け、近年行政や企業などを中心に、LGBTと就活、就労に関する社会課題の解決に向けて様々な取組が行われています。

2017年厚生労働省は、「公正な採用選考の基本」に「LGBT等性的マイノリティの方などの特定の人を排除しないことが必要」と記載し、企業や団体に対し、採用選考における公正さを求めました。また同年の経団連の調査では、LGBTに対応する取組を実施している企業は42.1%、検討中の企業も34.3%と、関心の高さがうかがわれます。

【企業の取組の一例】

◇同性パートナーにも、結婚、育児、介護休暇、社会保険の一部負担など異性婚と同様の福利厚生の権利を与える。

◇トイレや更衣室などのジェンダーフリー化。

◇社内でのLGBT研修、相談窓口を設ける。

【保険会社や金融会社の取組み】

今までは、セクシャルマイノリティの方は法的な婚姻関係の証明が難しいことから、配偶者向けのローンを組めない、配偶者向けの保険が適用されない、また企業内においても配偶者には認められるのに同性パートナーには社宅の貸与が認められないなど様々な制約がありました。しかし、今、多くの金融会社や保険会社で、同性パートナーなど婚姻に準じた関係性にそれらを適用させようとする動きがあります。

LGBTに対してフレンドリーな会社であれば、住宅ローンを組めたり、生命保険金をパートナーに残すこともできます。またクレジットカードも家族カードが作れたり、証券会社の「パートナー口座」で、二人で資産形成をしていくことも可能です。

今回のまとめ

多様性の時代と言われて久しいですが、LGBTについてはいまだに私たちの理解が充分に追いついていない部分もあるかとおもわれます。しかし企業経営においては、公正な選考により優秀な人材を採用することが会社の発展につながります。例えば優秀なLGBTの社員が、職場での悪気のない性差別的発言などに傷つき、それを誰にも相談できずに悩み、体調を崩し、退職してしまうような事態は避けねばなりません。そういった意味では、どんな方でも、安心して働ける職場づくりというのが重要であるということが理解していただけるかと思います。またLGBTは消費者としても重要なお客様であるといえます。

そのことにいち早く気づいた企業が、次々にあらたなマーケットを展開し、そういった方々のニーズに応える取組みを始めています。

昨今のダイバーシティ推進の社会情勢からも、LGBTに限らず、持病のある人、障害をもつ人など社会的マイノリティが自分らしく働ける職場づくりが、企業経営の急務であるといえるかもしれません。

 

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