お知らせ・コラム
人口減少社会 中小の人材確保で議論へ
厚生労働省はこのほど、就業構造などの基本的課題について検討する労働政策審議会を開き、「人口減少社会における中小企業・地域を支える産業における労働者の能力発揮」を検討テーマにすること決定しました。中長期的な人手不足の課題や中小企業などの人出確保への対応、労働政策の在り方などを論点に検討を進めていき、令和6年度末には報告書がとりまとめられる予定です。
【目次】
1.人材不足が起きている要因
2.人材不足による企業への影響
3.中小企業の経営者が見直すべきポイント
4.今回のまとめ
人材不足が起きている要因
昨今の人材不足の深刻化には、複数の要因が関わっています。主な要因として挙げられるのは、下記の4点と言えるでしょう。
少子高齢化の加速
日本は急速に少子高齢化へと向かいつつあります。内閣府が公表しているデータによれば、2021年10月1日時点で日本の総人口の実績値は1億2,550万人です。以降、国内の人口は減少していき、2055年には1億人を下回ると推計しています。人口減少に伴って、生産年齢人口も減っていきます。少子高齢化が加速することによって、働き手が減少していくのは避けられない問題となっているのです。
人材のミスマッチ
人材を採用するにあたり、企業が求めているのは「求める能力を発揮できる人材」のはずです。働きたいと考えている人と、働き手が欲しいと考えている企業の双方のニーズがうまくマッチングできていないことも、人材不足に拍車をかけている原因のひとつと考えられます。
DX推進の遅れ
DX推進が遅れているケースがあることも、企業が人材不足に陥っている理由のひとつです。DX推進の遅れは、生産性や業務効率の低下とも深く関わっており、従業員の不満から始まり、人材流出等に伴う、人材不足につながると懸念されています。
新型コロナウイルス感染症の影響緩和
新型コロナウイルス感染症の拡大期には、休業や時短営業を余儀なくされた店舗・事業所は少なくありませんでした。しかし、外出や移動の規制が緩和されたことによって、現在は店舗や事業所に配置すべき人員が必要とされています。営業再開や通常営業への切替に伴い、人材不足が顕在化しています。
人材不足による企業への影響
人材不足に陥ると、企業はどのような影響を受けるのでしょうか。
労働環境の悪化
働き手が不足すると従業員ひとり当たりの業務量が自ずと増え、長時間労働が慢性化しやすくなり、残業時間が増大するリスクが高まります。その結果労働意欲や積極性が低下する恐れもあります。また、従業員が十分な休息時間を確保できなくなれば、心身の不調や生活環境の悪化にもつながりかねません。
離職者の増加
人材不足が長らく解消されない状態は、従業員の負担が解消されない状況が継続しているということでもあります。そのような職場環境であると、より労働環境の良い職場が見つかれば、退職や転職を決断する従業員が増えていく可能性があります。また、離職者の増加は、企業の評判の悪化を招きかねません。
企業価値の低下
人材不足が常態化すると、企業が取り組む事業の継続自体も難しくなる場合があります。事業拡大に向けて投じられる人的リソースも不足します。そのような状況が続くと、企業価値の低下を招く恐れもあります。
中小企業の経営者が見直すべきポイント
企業が人材不足となってしまう背景には、何かしらの原因があります。人材不足に悩んでいる中小企業の経営者はどこを重点的に見直していけば良いのでしょうか。
◆採用率と離職率の確認
自社の採用状況と離職率の確認は、なるべく早くに行っておきましょう。離職率が高い場合は、給与や福利厚生、労働時間、職場環境といった点を見直す必要があります。募集内容と人材とのミスマッチが発生していないか、または離職率の高い部署はないかといった、様々な課題を多角的に確認してみましょう。
◆人手と業務量のバランスの確認
人手が足りていない状態であっても業務量が変わらない、もしくは増加している場合は、自ずと従業員の業務負担は大きくなっています。人員と業務量のバランスは、常に確認を行うことが大切です。
◆従業員が抱えている具体的な不満の把握
自社で働いている従業員が具体的にどのような不満を抱えているのかについて、明確に把握することも大切です。経営側は事業が安定して継続していると思っていても、それは現場の過度な労働量により成り立っているという可能性もゼロではありません。現場の状況を知るためには、労働環境を可視化する仕組みを作る必要があります。労働環境を可視化した上で、職場環境や業務量の見直しを図っていきましょう。
今回のまとめ
人材不足の問題点を把握したら、経営側がそれらを解消する確固たる意志を持つことが重要です。従業員の離職の原因となっている課題や労働環境を見直さずに採用を続けても、離職率の低下は期待できません。労働環境を整備し、時には大きな改革も恐れない覚悟を持っているかどうかも、人材不足解消には必要不可欠と言えるでしょう。また、従業員が長く働いていく中ではケガや病気などのトラブルもあるでしょう。保険商品の中には労災の上乗せとしてそういった事態に備える商品もあり、安心して長く働いてもらえるように福利厚生制度として取り入れている企業様もいらっしゃいます。気になる方はぜひお近くの代理店まで一度ご相談ください。
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