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精神障害での労災請求・支給決定が過去最多

精神障害での労災請求・支給決定が過去最多

厚生労働省が取りまとめた令和4年度の「過労死等の労災補償状況」で精神障害に関する労災請求件数と支給決定件数が前年度に続き過去最多を更新したことが分かりました。請求件数は前年度よりも300件以上多い2683件となり、支給決定件数は80件以上増えて710件に達しました。業種別では、請求・支給決定ともに医療・福祉、製造業、卸売、小売の順で多く、心理的負担を与えた出来事では、「上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が最も多かったようです。中小企業でも2022年の4月からパワハラ防止措置が義務化されましたので、現在では労務問題への対応は、業種や規模を問わず、すべての企業経営の課題と言えるでしょう。

【目次】

1.上司などのパワハラが最も多い

2.労働相談は120万件

3.今回のまとめ

 

上司などのパワハラが最も多い

精神障害は請求が2年連続、支給決定が4年連続で過去最多を記録

請求は2683件で前年度を337件上回った。支給決定は710件で81件増加しています。自殺事案の請求は12件増の183件で支給決定は12件減の67件でした。

支給内容別の傾向

支給決定710件について業務による心理的負荷に繋がった出来事をみると「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が147件で最も多く、ついで「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が89件、「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」が78件などとなりました。極度の長時間労働や心理的負荷が極度のものなど「特別な出来事」は61件と続きます。

厚生労働省は今秋にも、精神障害の労災認定基準を改正する考え

厚生労働省は、請求件数の増加や近年の社会情勢の変化を受け、精神障害事案の労災審査の適切・迅速化をめざし認定基準改正に向けた検討を行ってきました。心理的評価の見直しなどを盛り込んだ専門家の検討会の報告書を取りまとめました。評価表の見直しでは、具体的出来事としていわゆるカスタマーハラスメントなどを追加するほか、心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充し、パワハラの6種型すべての具体例を明記するとしました。

労働相談が120万件超

厚生労働省は令和4年度の個別労働紛争解決制度の施行状況をまとめた。都道府県労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」によせられた相談が3年連続で120万件を超えて高止まりが続いています。パワハラに関する相談民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が11年連続で最多となりました。今まで、社内でパワハラを含めた雇用トラブルが発生していなかったとしても、年間100万人以上の労働者が相談をしている現状を考えると対策を講じる必要性があります。パワーハラスメント防止措置などを定めた令和4年4月の改正労働施策総合推進法の全面施行に伴いパワハラに関する相談については、民事上の個別相談ではなく「法違反」や「法制度の問い合わせ」として厳しく対応することとなります。

これがパワハラ6類型!!

精神的な攻撃  

同僚の目の前で叱責される。他の職員も宛先に含めたメールで罵倒される。必要以上に長時間、繰り返し叱る。

身体的な攻撃  

叩く、殴る、蹴るなど暴行を受ける。丸めたポスターで頭をたたく。

過大な要求  

新人で仕事のやり方も分からないのに他の人の仕事まで押しつけられた。

過小な要求  

運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられた。事務職なのに倉庫業務だけを命じられた。

人間関係からの切り離し

一人だけ別室に席を移される。職場で無視するなどコミュニケーションをとらない。送別会に出席させない。

個の侵害 

交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口をいわれる。

 

相談窓口の設置が必要

相談者の秘密が守られること不利益な取扱いを受けない事、相談窓口でどのような対応をとるのか明確にしましょう。また一回の相談時間は長くても50分程度としましょう。

事実関係の確認

相談者の了解を得た上で、行為者や第三者に事実確認を行いましょう。相談者と行為者の意見が一致しない場合に第三者に事実確認を行いましょう。

行為者、相談者への取るべき措置の検討

相談者の被害の大きさ、事実確認の結果、行為者または相談者の行為や発言に問題があったと考えられる点、就業規則の規定、パワハラについての裁判例を勘案して措置を検討しましょう。対応としては、行為者または相談者への注意、行為者からの謝罪、人事異動、懲戒処分などが考えられます。

行為者、相談者へのフォロー

相談者・行為者の双方に対して、会社として取り組んだことを説明しましょう。また行為者の行動や発言にどのような問題があったのかを伝え、同様の問題が起こらないようフォローしましょう。

再発防止策の検討

再発防止策は予防策と表裏一体です。予防策に継続的に取り組むことで再発防止につなげましょう。

今回のまとめ

パワハラや職場でのいじめが原因で、会社が従業員から損害賠償請求を受ける事案も数多く発生しております。パワハラが起こらないような職場環境や企業風土の構築とともに、今後は任意労災保険や雇用慣行の保険の加入など万一に備える必要があると思います。特に、大きなケガのリスクが少なく国の労災保険だけで、民間の労災上乗せ保険の必要性が無いような業種であっても、法改正などの影響もあり今後は精神障害の労災認定のリスクやパワハラのリスクが増加の見込みです。民間の保険も含めて検討が必要になりそうです。

 

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