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『上手な指導が求められる時代』パワハラに当たらない指導方法をめざす
アンガーマネジメントという言葉をご存知でしょうか。アンガーマネジメントとは怒りを予防し制御するための心理療法プログラムのことをいい、怒りを上手く分散させることができると評価されています。怒りはしばしばフラストレーションの結果であり、また自分にとって大事なものを遮断されたり妨害されたときの感情でもあります。近年、職場の人間関係におけるトラブルを背景に企業においても注目が高まり、社員研修への導入が増えているそうです。今回は管理職の方々がパワハラに当たらない𠮟り方をするためにどうするのかに触れていきます。
【目次】
1.適切な指導方法は躊躇しない
2.報告やマナーで齟齬が発生
3.今回のまとめ
適切な指導方法は躊躇しない
アンガーマネジメントと聞くとどのようなイメージが湧くでしょうか?おそらく真っ先に思い浮かべるのが「怒らなくなる方法」ですが、それは間違いです。そんな方法は存在しませんし、それはアンガーマネジメントではありません。そもそも怒ることは人の感情として、時に必要なことで重要なことでもあります。人は怒ることで大切なものを守ったり、間違いや不満を正したりできるからです。アンガーマネジメントで上手に叱ると聞けば、「怒らないで叱るレクチャーでも始まるのか」ですとか「怒らないで叱るなんてそもそもそれは叱ることにはならないのではないか」と思われるかもしれません。ひとつの考え方として「怒ってはいけない」などということは決してないですし、「叱ったほうが良い」とはいっても「怒るのを待とう」「怒ることはよくないことだから自制しよう」とはなりません。叱るからには怒りの感情を持っているのが自然なことですので安心してください。怒っていること自体は間違っていません。怒っているものの「パワハラと指摘されてしまうかもしれない」と恐れたり、「面倒なことはしたくない」と叱ることを躊躇してしまっているのであれば、そのことこそが間違いです。アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。当初は軽犯罪者に向けた矯正教育プログラムとしての側面が強かったですが、時代とともに企業研修、カウンセリング、コーチング、アスリートのメンタルトレーニングなどの分野で、幅広く転用されるようになりました。また、怒りは防衛感情ともいいます。大切なものを守る為に備わっている自然な感情であり、動物にもあると考えられています。動物にとって大切なものは命であり、それに危機が迫った際に現れる感情と捉えればとてもわかりやすいです。人間は社会的な動物であるので、命などの原始的なものに加えて、社会的な地位、立場、価値観、考え方、意見といったものが加わります。ごく簡単にいうと自分の考え方、価値観、意見といったものが否定されたと感じたとき、私たちは怒りをもって自分の価値観や考え方を守ろうとします。※労働新聞、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会記事参照
報告やマナーで齟齬が発生
「べき」に注目してみましょう。「○○するべき」の「べき」ですが、「べき」は自分の理想、常識、価値観を象徴する言葉であり、「べき」が目の前で裏切られると私たちは怒りの火花を散らすことがあります。たとえば、「報告はすぐにするべき」と思っている管理職は、部下がいつまでたっても報告を提出しなければ、「それは間違っている」と怒ります。「マナーは守るべき」と思っている人の前でマナー違反をしている人がいれば、「正しくない振る舞いだ!」と怒りを抱きます。「ワーク・ライフ・バランスこそ大事にするべきだ」と思っている人もいれば、そんな「べき」は持っていないし、「成果を出してから権利を主張するべき」と考えている人もいます。この2人は信じている「べき」が違います。あるいは、社会人であれば「時間は守るべき」とは誰もが思っていますが、程度は人によって違います。10時集合だとして10分前に来ることが当たり前と考えている人もいれば、時間ぴったりに来れば良いと考えている人もいます。この人たちは、同じ「べき」を信じていたとしてもその程度が異なります。つまり、「べき」は人によって様々だということです。いろいろな「べき」があり、程度も違います。その違いを受け入れられれば何の問題もないですが、現実には受け入れられない人が多いものです。さらに「べき」の扱いを難しくしているのが、自分が信じている「べき」は誰がなんといおうが、自分にとっては正しいという考えです。極端な話、その「べき」が社会的に受け入れられないようなものであったとしても、少なくとも信じている本人にとっては正しいことだからです。
今回のまとめ
人によって価値観は違いますし、「べき」の度合いも違うという事を理解して頂けたと思います。そうなると指導をする側は自分と他人は違うんだという認識をあらかじめ持って接することができます。ハラスメントと捉えられてしまうのはどこかでその認識違いが生まれてしまっているはずです。また現代では、企業においてのハラスメントのリスクに損害保険を備える方法もございます。あらゆる観点から冷静に分析して、風通しのよい組織をつくっていくのが望ましいですが、どうにもならない損失は保険で備えるのも有効です。
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