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役員の個人責任が問われるリスクとは

役員の個人責任が問われるリスクとは

「役員の個人責任が問われるリスク」と聞いても、株主が限定されている未上場会社なのであまり関係ないのでは?と思われる経営者・事業主の方も多いのではないでしょうか。しかしながら上場・未上場に関わらず、役員には法律上の責任が課されています。そして、未上場企業において役員個人の責任を追及する訴訟は増加傾向にあると言われています。今回は役員が個人責任を問われるリスクについて情報提供させていただきます。

【目次】

1. 役員・従業員の違いと役員責任

2 役員を取り巻く訴訟リスク

3. 今回のまとめ

 

役員・従業員の違いと役員責任

個人事業主として事業を行うことができる一方で、事業規模の拡大とともに法人化することも一般的に行われています。会社を設立する理由のひとつに「所有と経営の分離(個人に対する責任や財産と会社に対する責任や財産を分けて管理すること)」があります。原則として「事業において負担する損害賠償責任」は会社が負いますが、例外的に役員個人が責任を負担する場合があることから、役員には個人責任=「役員責任」が問われるというリスクがあるのです。労働者は、会社との労働契約に基づき会社に対して労務を提供する義務を負っていますが、会社の損害を労働者個人が負担することは労働者自身が故意または重大な過失で行った不法行為などが生じた場合以外は殆んどありません。労働者は、会社からも労働基準法や労働契約法などの労働関連法令にも保護されている「法に守られる立場」にあります。一方役員は会社の取締役や監査役などの立場であり、会社との関係は労働契約ではありません。役員と会社の関係は一般的に委任契約であり、委任契約に基づき「法を守る立場」として会社を運営することが求められています。このように、法的に役員と労働者は、「法を守る立場」と「法に守られる立場」で、全く異なる地位にあるため、負担する責任の範囲も当然異なります。会社法において、役員個人が会社自体に対して損害賠償責任を負うこと、顧客や取引先などの第三者に対して損害賠償責任を負うことはルール化されています。

≪会社法423条「役員の対会社責任」≫

「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

≪会社法429条、「役員の対第三者責任」≫

「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」

これらは役員が「その任務を怠ったとき」や「行った職務について悪意や重大な過失があったとき」に役員個人が責任を負担する場面があることを定めている規定です。役員が負担している任務は大きく分類すると以下のような内容となっています。

① 法令を遵守すること(法令順守義務)

② 注意深く業務執行を決定すること(経営判断原則)

③ 他の取締役の違法な行為を見逃さないこと(監視義務)

④ 業務の適性を確保する体制を整備すること(内部統制の構築義務)

⑤ 会社の利益を犠牲にして自己の利益を図らないこと(競業避止義務及び利益相反の禁止)

※AIG損害保険「中小企業にとっての役員責任とD&O保険」より

役員を取り巻く訴訟リスク

これまでは株主代表訴訟というと、一般的に未上場企業にはあまり関係がないと考えられていましたが、実際には株主代表訴訟の80%以上は中小企業で起きていると言われています。従来は役員個人が取引先などから訴えられることはあまりありませんでしたが、ここ数年で役員個人が取引先などから責任を追及されるケースが増えてきています。役員は経営判断のミスをはじめ、様々な責任を問われる可能性があるのです。報道などでは企業の不祥事で役員個人が訴えられるケースが目立っていますが、経営者の責任は経営判断ミスだけではありません。従業員による不正な取引や情報漏洩事故などの不祥事の管理責任を問われる、株主から株主代表訴訟を起こされる、取引先から役員個人が訴えられる、セクハラ・パワハラ・解雇トラブル、といったさまざまな理由により役員が個人責任を問われる可能性があるのです。悪意のあった従業員の不正の責任を役員個人が取らなければならないことは理不尽なことですが、場合によっては億単位の損害賠償を個人で負わなければならなくなるのです。また、役員の債務不履行責任の時効は損害が発生した時から10年であることから、役員を退任しても退任後10年間は訴えられる可能性があるだけでなく、役員が死亡した場合は原則として相続人に責任が引き継がれることになるのです。

※AIG損害保険株式会社「未上場企業における役員責任について」より

今回のまとめ

D&O保険(役員賠償保険)は、取締役・監査役などの個人がその地位に基づいて行った行為(不作為を含みます)に起因してなされた損害賠償請求から取締役など役員の個人資産を守るための保険です。相続人への補償や内輪揉め、不祥事が発生した場合の事実調査や弁護士などに依頼して行う社内調査にかかる費用を会社設立以降の全ての行為(経営判断など)について補償可能なプランや特定株主提案(株主が会社法の規定に基づいて、取締役または監査役の選任または解任に係る議案などを株主総会の議案として提案すること)を受けた場合の対応について弁護士に助言を受けるための費用まで補償可能なプランを取り扱っている保険会社もございます。会社に対してなされた損害賠償請求は役員賠償保険では補償対象とならないため、労災訴訟や雇用トラブル等で会社が訴えられた場合には、会社としてのリスク対策も必要となります。会社としてのリスク対策だけでなく、役員の個人資産を守る「役員賠償責任保険」について詳しく知りたい、という方はお近くの保険代理店までお気軽にご相談ください。

 

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