お知らせ・コラム
「安全教育の進化と課題」労災事故を減らすために
厚生労働省の調査によると、令和2年の労働災害による休業4日以上の死傷者数は19年ぶりに13万人を超えたとのことです(新型コロナ感染症の罹患による労働災害も含まれます)。コロナウイルス対策で通常と異なる事業運営の影響によって労災事故が増加しているということも考えられます。KY活動や安全教育なども今は全員で集まって行うことが難しいため、仕方のない面もあるかもしれませんが、労働災害を防ぐためにも安全教育はやはり必須であるといえます。このような状況下でも、企業によってはICTやAI等を駆使した安全教育が行われており、時代の進化を感じます。今回は社内での安全教育の進化と課題についてみていきましょう。
【目次】
1.座学はもう古い?安全教育はVRの時代!
2.安全教育で大切なこととは
3.企業の“万が一”には保険で備えよう
4.今回のまとめ
座学はもう古い?安全教育はVRの時代!
皆さんはVR(バーチャル・リアリティ)をご存知でしょうか。VRゴーグル等をかけることによって、ゲームなどで、まるでその世界に自分がいるかのような仮想空間が作り出され、臨場感のある体験ができる技術です。今、安全教育においてこのVR技術が注目されています。
従来の安全教育は座学で学ぶのが一般的でした。しかし座学を通して頭で理解しても体感として身についていないため、実際の労働現場に出ると行動に移すことができず学習効果が低いという課題がありました。そこで今、労働災害を疑似体験できるVRが注目されています。VRを通し労働災害を体験することで、労働現場に潜む危険に対し、注意を向けることができるようになり、労働災害の抑制ができるのです。
【VR教育のメリット】
■重大事故の疑似体験を通して高い学習効果を得られる
■場所、時間を問わず好きな時に研修を受けることができる。
■反復学習が容易なので、研修効果アップ
【VR教育のデメリット】
■大人数で実施するのは不向き(一度に大量のデバイスが必要になるため)
■自社では複雑なコンテンツを作るのが難しい(VR制作会社などに依頼することが多いため、費用がかかる。)
【既成VRで汎用されている作業例、事故例】
◇作業例
・足場やはしごなどの高所作業、溶接作業
・フォークリフトの積載、荷下ろし作業
・道路舗装作業
◆事故例
・高所からの墜落、転落事故
・感電事故
・火事
・重機との接触、巻き込み、巻き込まれ
・交通事故
安全教育で大切なこととは
Q. 社内で安全教育をするうえで、このようなお悩みはありませんか?
教育・指導と一口で言うのは簡単ですが、実際にはとても難しい問題です。長くいる社員やある程度仕事に慣れてきた人は、自分のやり方が身についてしまっているため、指導を受けることを自分のやり方を否定されているように感じてしまう人もいるかもしれません。それは、たとえ指導される安全手段や作業方法が正しくとも、です。こういった場合、実際の災害事例や不具合施工の事例を教材として用意し、根気よく指導を行いましょう。さらに言うならば、指導中相手の間違えているところをいきなり全否定しないこともポイントです。このようなやり方は反発を受けるだけで相手はさらに頑なになってしまいます。「教える→しっかり相手の意見を聞く」これらを繰り返すことで、相手もこちらの話を聞く姿勢が徐々に出来てくるでしょう。
企業の“万が一”には保険で備えよう
【こんな時、企業として素早く対応できますか?】
□従業員の就業中のケガや病気による入院、それに伴う所得への不安
□長時間労働や過労による心身の障害によって会社が損害賠償責任を問われた
□ハラスメントや不当解雇があったとして会社が訴えられた
今の時代雇用にまつわるトラブルは、被害者側が声を上げやすく、また事業主側の責任が問われやすい環境だといえます。特に雇用トラブルが起きた場合、企業としては初動でいかに素早く正しい対応をできるかがポイントとなります。企業向けの保険商品の中には、雇用トラブルが起きた際の法律の専門家への法的相談、示談や和解などの解決金、訴訟費用や損害賠償金を補償できるものがあります。また、従業員に長く安心して働いてもらうために、就業中のケガや、病気による入院、また働けない間の所得補償を、会社の福利厚生制度として保険で備えるという方法もあります。
ご自分の会社に必要な補償をもう一度見直してみるのもよいかもしれません。
今回のまとめ
従業員の高年齢化、外国人労働者、未経験労働者など、労働災害にまつわる様々な不安要因は今後増えこそすれ減ることはないと思われます。とはいえ、コロナ禍で思うようにKY活動や安全教育ができないという企業様も多いのではないでしょうか。今は大人数で集まることは難しいため、オンラインでの研修や先ほどの例のようにVRを駆使して個別に安全教育を行うのも良いかもしれません。このような状況下ではありますが、自社でできることを確認しながら、労災ゼロを目指し安全教育に取り組んでいきましょう。
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