お知らせ・コラム
『過重労働に注意したい運送業』2024年から労働時間に新たな上限規制も
トラックやバスなど、長距離輸送が多い運送業では、長時間労働が常態化するケースもみられます。人材不足の解消のため、昨年は、「働きやすい職場認証制度」を創設し、職場環境改善に向けた各事業者の取組みを「見える化」することで、求職者の運送業界に対するイメージアップをはかっていますが、いまだ過重労働や違法残業が横行しがちな業界だともいえます。今のうちに是正できるものを行動し備えることが急務となっています。
そして、2024年には改正労働基準法に基づく規制がスタートします。運送業での勤怠管理のルールの見直しをどうはかっていくべきか、考えてみましょう。
【目次】
1.協定守らず120時間超えだった運輸業が書類送検されている事例とは
2.運送業での労働時間超過による3つのリスクと適正化のポイント
3.万が一の時には損害保険が助けになる
4.今回のまとめ
協定守らず120時間超えだった運輸業が書類送検されている事例とは
神奈川・厚木労働基準監督署は違法な長時間労働を繰り返していた運輸業2社を相次いで司法処分しました。36協定を超えて時間外・休日労働を行わせたとしてトラック運送業のD運輸と当時の厚木営業所長代理を、別件で路線バス事業のK(株)と同社D営業所長をそれぞれ労働基準法第32条(労働時間)違反などの疑いで横浜地検に書類送検しています。いずれも時間外・休日労働が最長で月120時間に上っており、複数回にわたって是正指導したにもかかわらず人手不足から改善を怠っていました。
※労働新聞参照
さすがに月120時間の残業ともなると、結果がこうなるのもわかりますよね。
運送業での労働時間超過による3つのリスクと適正化のポイント
では、運送業で過度な労働時間超過とそれを適正化するポイント3つをとりあげます。
1.長時間労働による過労死リスク
長距離移動が多いトラックドライバーの場合過労死ラインを守るのが難しい状況もあると思いますが、可能な限り休憩を挟むなどして健康に配慮しましょう
長時間労働に伴う過労死が最も多いのが運送業、運輸業です。過労死による労災認定を受けた場合、企業は労働者への遺族へ金銭的補償をおこなわねばなりません。もし遺族による訴訟などが発生した場合、賠償金が数千万~数億円までふくらむケースもあります。厚生労働省によれば、過労死などの労災が発生しやすいのは「1か月の残業時間が100時間を超える」か「2か月連続で残業時間が80時間を超える」場合です。
2.ドライバーの疲労による労働災害リスク
長時間労働が常態化すれば、労働者の心身に大きな負担がかかります。特に運送業などの長距離輸送では、輸送中の事故などの労働災害が発生するリスクが高まります。長時間労働による過労死の場合と同様、遺族による損害賠償請求に金銭的補償をしなければならないケースが存在します。さらにドライバーの事故の場合、業務上過失致死などの刑事責任を問われるケースがあるので注意が必要です。
3.残業代や時間外労働をめぐるトラブルが起きるリスク
残業代の未払や、時間外労働の長期化が近年問題視されるようになりました。労働時間の大幅な超過が明らかとなれば「ブラック企業」という印象を持たれかねません。
長時間労働が常態化し、労働基準法や労働安全衛生法に違反した場合、従業員が労働基準監督署に訴え、政府から行政責任を問われるリスクが存在します。時間外労働を適正化するためには外出先でのドライバーの労働時間や休憩時間などの勤怠管理を正確に把握するために、スマホやタブレットなどから打刻できるクラウドサービスやアプリを利用しましょう。「いつ」「誰が」打刻したかがリアルタイムでわかるため、勤務実態をより正確に把握できます。
また、運送業の場合、ドライバーだけでなく、配車係や倉庫作業員、バックオフィスの人員など、様々なタイムテーブルで働く従業員を抱えているため、締め作業に時間がかかったり従業員の時間外労働の超過を見落としがちです。「気が付いたら労働基準法や労働安全衛生法に違反していた」という事態にならないよう注意しましょう。
万が一の時には損害保険が助けになる
こういった労災によるトラブルが起きた際に備え、労災の上乗せ保険に加入しておくことが重要です。一般的な上乗せ労災の補償というと、労働災害、および通勤災害の補償がメインになりますが、保険会社によっては、病気入院やがんの通院治療の補償、また長期にわたる働けない期間の補償などに備えられる特徴のあるプランもあります。
また、使用者賠償責任補償により、過労死などにより遺族から訴えられた場合に備え、損害賠償金や訴訟費用、弁護士への相談などを補償することができます。賠償ともなると、金額も大きく高額化することもあるので、日頃から損害保険を使って、リスクへの備えをしておくことは有効です。
今回のまとめ
今回は、運送業における労働時間の上限や、長時間労働がもたらす3つのリスクを解説しました。現状、トラック運転手などの業種の時間外労働の上限は、厚生労働省の「改善基準」を遵守しなければなりません。さらに2024年4月からは改正労働基準法に基づく規制がスタートし、36協定を結んでも「法定労働時間」+「年960時間まで」が上限となる点に注意しましょう。長時間労働が常態化すると、過労死や労働災害、従業員とのトラブルなどのリスクが生まれます。従業員の労働時間や休憩時間を、勤怠管理システムなどで「見える化」すると共に、労災の上乗せ保険などで万一の補償を充実させて、経営者様にとっても、そこで働く従業員の方にも安心できる企業づくりをしていきましょう。
運送業に関わる保険のご相談なら、株式会社保険ポイントへぜひお任せください。弊社スタッフがわかりやすく丁寧にご案内いたします。
TEL>052-684-7638
お電話、メールどちらでもお待ちしております。お気軽にお声掛けください。