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[複数業務での過重労働]労災として認められますか?【新しい働き方ならではのリスクが生じます】

[複数業務での過重労働]労災として認められますか?【新しい働き方ならではのリスクが生じます】

 

Withコロナの時代において、私たちの働き方は大きな変革を迎えようとしています。

就職活動生や新入社員の志望動機に関するアンケートにおいて、「自分が成長できるか否か」を重要視する回答が目立つようになって久しいですが、コロナ禍の時代においては更にキャリア形成を強く意識する傾向が高まってきています。自身の能力開発を、所属する会社ではなく自己責任と捉える人材の増加において、副業やダブルワークを望む声が広がっていくのも頷けるといえるでしょう。

しかし、いまだ一つの会社での長期雇用を前提とする日本では、一度企業に所属してしまえば、さらにそこから自分の仕事を選ぶ機会は非常に限られます。日本ではKDDI(株)、武田薬品工業(株)などが、就業時間の一部を利用して他部門への業務に挑戦できる「社内副業制度」の導入を始めました。勤務地を問わず優秀な人材を募集出来たりと、従業員だけでなく、企業としても様々な選択肢を広げるチャンスなのかもしれませんね。

しかし、それに伴うリスクも、少なからずあるはずです。一緒にみていきましょう。

【目次】

1.副業やダブルワークのメリット、デメリット。それに伴う企業リスクとは

2.複数業務での過重労働でも、労災として認められる方向に!

3.今回のまとめ

 

副業やダブルワークのメリット、デメリット。それに伴う企業リスクとは

新しい働き方を導入する企業が多い中、実際に副業やダブルワークがもたらすメリット、デメリットを考えてみましょう。

【メリット】

・労働者の収入源、人脈を増やすことができる

・自分の本当にやりたいことに挑戦できる

・タイムマネジメント力が磨ける

【デメリット】

・心身の疲労により、本業への支障が出てしまう

・企業秘密等の漏洩のおそれ

・自身で各仕事の時間管理をしなければならない。

 

単純に収入を増やしたい、という他にも、収入は本業で得て、あまりお金にはならないけれど好きなことを副業にするという場合もあるでしょう。

しかし、気を付けなければいけないのは、企業秘密等の流出、流入についてです。

労働者の副業先が競合他社であった場合など、機密漏洩などがあれば本業先の企業は大きなダメージを受けることになります。

企業としては、副業申請を希望する従業員に対して企業秘密保持に関する指導をする、誓約書へのサインを求める、秘密保持義務違反や競業避止義務違反をした場合の罰則規定について合意しておくなどの対策を取る必要があるでしょう。それと同時に、個人や法人の情報漏洩やサイバーリスクに関する保険を検討する必要も出てくるといえるでしょう。

複数業務での過重労働でも、労災として認められる方向に!

複数業務を行っていた従業員が脳出血を発症してしまったケースがあります。

【例】

衣料品販売企業A社での月の時間外労働が50時間程度であった従業員が、生活費を稼ぐために、さらにB社で深夜の道路工事誘導員をはじめました(月の時間外労働40時間程度)。

2か月後、彼は脳出血を発症してしまいます。

 

このような場合、A社だけでは、業務上労災の認定基準には達しませんが、B社も合わせると、およそ90時間の時間外労働となります。2020年の通常国会で、副業、兼業を行う労働者の労災保険給付については、複数就業先での業務上の負荷を総合して評価すべきとした「労働者災害補償保険法改正案」が成立しています。副業、兼業の促進、拡大に対応し、脳・心臓疾患などの労災認定の仕組みを今後明確にしていく狙いです。

それに伴い企業側も、たとえ自社での時間外労働が基準内であったとしても、従業員が副業や兼業をしていた場合、過重労働として責任を問われる可能性も出てきたということです

従業員が過労死や後遺障害となった場合、賠償金や解決金は億を超えることも少なくありません。

こういった場合に備えて、労災の上乗せ保険や、使用者賠償責任保険に加入することで、万が一のトラブルにもしっかり対応することができます。

今回のまとめ

働き方の変革と共に、企業としても対応や備えが必要になってきました。

今後、従業員も企業の経営者も、お互い自由度が高く、かつ双方が満足できる働き方ができる時代になるのかもしれません。しかしそこから新たに生まれるリスクにはしっかり対応しなければなりません。コロナ後に働き方が変わったなどで新たなリスクに対応する必要が出てきた場合には、是非一度ご相談ください。

 

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