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健康経営の推進と労災の上乗せ保険活用術
昨今、健康経営の実践という場面では、業務パフォーマンス指標(アプセンティーイズム、プレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント)の評価、分析が注目されていますが、これらの指標の改善には、メンタルヘルス対策が不可欠な要素となります。メンタルヘルス対策を全社的な取り組みとするためには、健康経営における重要課題として位置づけ、経営層の関与したもとで着実なPDCAサイクルを推進することが求められます。メンタルヘルス不調者は再発率が高い傾向にあるため、初発だけでなく再発の防止策を強化することにより、より効果的に不調者の提言が可能となります。再発防止については、特に職場復帰時における会社の方向性を明示するとともに、各関係者の役割を明確化することで効果的な施策となります。今回は健康経営の推進と労災の上乗せ保険の活用術について取り上げます。
【目次】
1.健康経営におけるメンタルヘルスとは
2.メンタルヘルス不調者を減らすための取り組みとは
3.今回のまとめ
健康経営におけるメンタルヘルスとは
1.健康経営の概要
2016年から始まった「健康経営優良法人認定制度」は、大規模法人3,523社、中小規模法人17,316社(※2023年12月時点)の申請規模までおおきく拡大しており、この制度のもと現在では多くの企業が健康経営の取り組みをすすめています。健康経営は、従業員の健康を増進させることで、企業価値向上等を目指す取り組みで、従来から行われていた健康管理とは若干性質が異なっています。従来の健康管理では不調や病気といった状態をいかに健康な状態にしていくかが求められていましたが、健康経営ではひとりひとりが生き生きと働き、意欲や生産性を高められるような取り組みを行っていくことが重要となります。
2.健康経営の「健康」とメンタルヘルスの位置づけ
健康経営における「健康」は。身体的健康、精神的健康、社会的健康の3つの健康で構成されます。各企業は3つの健康を充実させるアプローチを行うことで、従業員が生き生きと働き続けることができる状態にすることが重要です。したがって健康経営の取り組みを進める上では、3つの健康のうちのひとつである精神的健康、つまり従業員のメンタルヘルスの向上と充実は不可欠な要素となります。
3.健康経営優良法人認定制度におけるメンタルヘルス
メンタルヘルスは健康経営優良法人認定制度(以下、認定制度)でも課題に据えられており、多くの企業は解決したい課題としてメンタルヘルスを選択しています。またメンタルヘルス不調者の実態把握なども健康経営度調査票における回答項目になっており、認定制度において、従業員のメンタルヘルス向上の施策は重要な取り組みのひとつとして位置づけられています。
メンタルヘルス不調者を減らすための取り組みとは
従来のメンタルヘルス対策における課題
これまでのメンタルヘルス対策では、人事部門や産業保健スタッフのみがその対応を行っている傾向があり、部門間、関係者間の協力体制が構築されないまま実施されていることが課題として挙げられます。メンタルヘルス不調は個別性が高いため、本来であれば各関係者(従業員本人、管理監督者、人事部門、産業保健スタッフなど)が協力し、連携を取りながら慎重に対応が進めれられるべき性質があります。しかし実際には「専門家がいない」「対応が難しそう」「心の問題は個人に任せたい」などの理由から、限られた担当者がメンタルヘルス関連の対応を検討し、また不調者が出た際の休職、復職時のフォローを行う傾向にあります。結果として各関係者の役割が不明確なままとなり、組織的なメンタルヘルス対策ができず、効果的な対応が困難になっています。
メンタルヘルスが業務パフォーマンスに与える影響
健康経営では業務パフォーマンス指標(アプセンティーイズム、プレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント)の評価および分析が注目されており、健康経営を実践する際の最終的なゴールである、「企業価値向上」を実現するためには。これらの3つの指標の向上が重要とされています。
アプセンティーイズム
健康問題により仕事自体を行うことができない状態。体調不良等による遅刻、早退、欠勤(病欠)、休職など
プレゼンティーイズム
健康問題が理由で生産性が低下している状態。寝不足、頭痛、花粉症、二日酔いなどの健康上の問題に起因するミスの増加、作業効率や集中力の低下など
ワークエンゲイジメント
仕事に関連するポジティブで充実した心理状態。「仕事から活力を得ている」「仕事に誇りとやりがいを感じている」「仕事に熱心に取り組んでいる」状態
従業員のメンタルヘルス不調は、仕事への集中力や判断力の低下をもたらし、業務遂行能力を下げてしまいます。また、メンタルヘルス不調者が発生すると周囲の従業員へも影響があります。さらにメンタルヘルス不調による平均休業日数は3か月以上であり、そのほかの疾病による平均休業日数の二倍以上になるとも言われています。このようにメンタルヘルス不調は業務パフォーマンス指標に大きな悪影響を及ぼすものであり健康経営を行う上でもメンタルヘルス対策は極めて重要です。
今回のまとめ
今回の記事で健康経営にいかにメンタルヘルスへの課題が重要かがご理解いただけたと思います。企業で加入する労災の上乗せ保険の付帯サービスにメンタルケアカウンセルサービスが付いている保険会社もございます。うまく損保の付帯サービスを利用して健康経営にお役立てしていってください。
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