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外国人技能実習 受け入れ先8割に法令違反発覚

外国人技能実習 受け入れ先8割に法令違反発覚

静岡労働局は、外国人技能実習生が在籍する事業場を対象に令和4年に実施した監督指導結果を公表しました。279事業場のうち、80.6%に当たる225事業場で労働基準関係法令違反が発覚しました。最も多く見られたのが「使用する機械等の安全基準」に関するもので、違反率は33.0%にのぼりました。近年、外国人労働者の休業災害が増加傾向にあることも踏まえ、来年度は安全衛生関係の監督指導を強める方針です。今日は技能実習制度が抱える問題について考えてみたいと思います。

 

【目次】

1.増加する違反率

2.技能実習生を取り巻く問題

3.技能実習制度廃止→外国人労働「育成就労」創設へ

4.今回のまとめ

 

増加する違反率

静岡労働局では令和2年まで減少傾向にあった違反率は、それ以降増加を続けていますが、8割を超えたのは過去10年で初めてとなっています。違反事項別では、使用する機械等の安全基準に関する違反が92事業場(違反率33%)で最も多かったようです。安全基準の違反は特に製造業で多くみられています。技能実習の計画認定件数が多い5業種の違反状況をみると、もっとも違反率が高いのは「繊維・衣服」次いで「機械・金属」「食料品製造」と続きます。技能実習生を含む外国人労働者について、休業4日以上の労働災害の件数が近年増加傾向にあり、令和元年以降は毎年300件以上の労災事故が発生しています。安全基準違反の次に多かったのが「年次有給休暇」で73事業場が該当しました。このほか「労働時間」「健康診断結果についての医師等からの意見聴取」「割増賃金」などが違反事項としてあがっています。どの業界もですが、年休取得においては特に建設業界の違反が顕著であり、「慢性的な人手不足による休みを取らせる余裕がない」ことが考えられます。

技能実習生を取り巻く問題

1993年から始まった技能実習制度は相手国の送り出し機関と、日本の監理団体を通して、企業は技能実習生の受け入れを申し込み、企業と実習生が直接雇用契約を結ぶという構造です。日本で働きながら技術や知識を習得し、それを母国に持ち帰るという国際貢献が本来の目的のはずですが、実情は人手不足を補う労働力としての役割を担っていると言っても過言ではありません。技能実習生は正規の労働として認められておらず、労働者としての権利が担保されていない部分もあります。現在、技能実習生は、配属された事業所から3年間は転籍が禁止されています。そのため、実習生が職場環境に不満を感じても、我慢を強いられることになります。実際に、技能実習生を取り巻く生活環境では様々な問題も起きています。どの国も少子高齢化の現状を抱えながら、産業を維持するために、外国人を受け入れるか躍起になっている状況です。韓国、台湾を含め、制度を精緻化し受け入れ体制を整えていますが、その中でも現状日本は諸外国と比較して非常に後れていると言わざるをえません。

 

技能実習制度廃止→育成就労創設へ

政府は2023年、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催し、外国人が働きながら技術を学ぶ現在の「技能実習制度」を廃止し、人材確保を目的とし、一定期間後に同じ業務分野で職場を変える「転籍」も条件付きで認める新制度「育成就労」を創設する方針を決定しました。政府としては共生社会の実現を目指し、我が国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立って、本日決定した方針に基づき、技能実習制度および特定技能制度の見直しに向けた作業を進めていくとし、2024年国会への関連法案提出に向けた作業と、外国人材の受け入れ環境の整備を指示しました。現在の「技能実習制度」では、職場を変更する「転籍」が原則認められておらず、厳しい労働環境で失踪する技能実習生が相次いでいたほか、技能実習を目的としながら外国人労働力確保に利用されてきた矛盾、人権侵害につながる例が指摘されてきました。これを受け政府は、現在の技能実習制度を廃止し、人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする「育成就労制度」の創設方針を決定しました。育成就労制度では、同じ職場で1年から2年の一定期間働くなどの要件を満たせば、同じ分野での転籍を可能とするとしました。新制度での人材育成・評価については、日本語能力を重視し、熟練すれば事実上永住も可能となる特定技能への移行を促す予定です。(労働新聞2月15日号)

今回のまとめ

新制度においては「日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現」を目指し、「外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できる」「人権侵害等の防止・是正等を図り日本が魅力ある働き先として選ばれる国になる」という観点を強調していますが、現状での外国人労働者の労働環境や労災事故の件数などをみるに現場において基本的な労働契約法、最低限の安全衛生基準すら守られていない現状がうかがえます。受け入れ先は、公的保険を補完するものとして労災の上乗せ保険などに加入することにより、実習生や外国人労働者のケガや病気にも迅速に対応できるよう備えておくことが大切です。そして何より、もう一度技能実習制度とはどんな理念に基づいた制度なのかを、基本に立ち返って考えることが重要なのではないでしょうか。

 

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