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過重な業務 休暇を挟んでも「継続」と認める

過重な業務 休暇を挟んでも「継続」と認める

食品製造業務に従事していた労働者が多臓器不全で死亡した事案が労災認定で争われました。結論からいいますと、労働保険審査会は、遺族補償給付を不支給とした労働基準監督署の処分を取り消していたことがわかりました(※労働新聞 第3429号参照)。労基署は発症3日前と10日前の休暇取得をもって「過重な業務は継続していなかった」と判断していましたが、労働保険審査会ではさらに作業場の暑熱環境などを評価基準に加え、今回の労基署の処分を取消としたようです。

【目次】

1.途中の休暇にこだわらず、総合的に判断

2.暑熱環境も考慮

3.労災として認められない事例を確認しましょう

4.今回のまとめ

 

途中の休暇にこだわらず、総合的に判断

今回の労災認定基準では、短期間の「継続した過重な業務」の判断にあたり、「必ずしもこの期間過重な業務に就労した日が間断なく続いている場合のみをいうものではない」。つまり「その期間に就労しなかった日があったとしても、ただちに業務起因性を否定するものではない」と注釈されています。これにより労基署の判断がくつがえり、労災として認定されることになりました。さらに今回の件では、発症日の2日、7日、9日前には深夜に及ぶ時間外労働も確認されています。勤務間インターバルが11時間未満の日が連続3日を含む5日間にのぼっていた点にも言及しました。

暑熱環境も考慮

暑熱環境に関しても、労基署と労働保険審査会の間で判断が別れました。同労働者は工場の「食品加熱室」で、主に大型の卵焼き製造機を用いる作業に従事していました。事業場提出の温度管理表によると、発症時の温度は30~34度で、湿度は80%となっていました。同労基署は約一年後に実地調査を行い、その際の温度が30~31度、湿度85%でした。労基署はこの結果をもち「著しく健康被害につながるものとは認められない」と評価しました。しかし、労働保険審査官の調査では、暑熱環境+全身を覆う作業着の影響を考慮すれば、WBGT値(熱中症の危険性を評価するために用いられている基準)はより高くなると評価しました。さらに温度管理表を基に測定した場合、31度~33度と危険域に達していたとして「健康に与える影響は著しいものであったことは明らか」であると判断しました。なお、同労働者は熱中症により死亡したわけではありませんが、前段階の脱水症状は多臓器不全の要因となりうるため、WBGT値を用いて判断したようです。

労災として認められない事例を確認しましょう

今回の事例は、労基と審査会の判断が別れたにも関わらず労災として認められました。しかし従業員が怪我や病気になっても、労災がおりない例もあります。そういった事例についてもおさらいしておきましょう

◆労災がおりない例1:意図的に災害を発生させた

勤務中に意図的に労働災害を発生させた場合、労災はおりません。通常の作業と異なる場所や手順、機械操作などによって怪我や病気になっても、労働災害ではありません。事業主が安全管理に基づいて指定した手順を守らなかった作業者のミスです。ただし、事業主は監督責任や安全管理体制の不備・安全教育の不足を問われる可能性があります。

◆労災がおりない例2:個人的な恨みによるもの

労災対象の時間帯に、従業員が個人的な恨みで第三者から暴行などを受けて負傷した場合は、労災がおりない例です。労災がおりないので事業主が支払う1日目から3日目までの休業補償も対象外です。

◆労災がおりない例3:自然災害の場合

台風や地震などの自然災害が原因の怪我などは業務と関係ないので、労災の対象外です。 通勤途中に強風や大雨で被害にあっても補償対象にはなりません。ただし事前に自然災害の発生が予測できた場合は休業や就業時間の変更などの対応をして、災害の発生を未然に防ぐ努力が事業主には必要です。

◆労災がおりない例4:業務中に業務とは関係のない行為で災害を発生させた場合

業務中に無関係の行為による怪我は認められません。業務中に業務以外の作業をしていた、または私用を行っていた際に怪我をしても労災はおりません。

◆労災がおりない例5:私用の寄り道中の場合

通勤途中の私用の寄り道は労災がおりない例です。通勤するために利用する保育園や学童保育の送迎、食材や日用品の買い物などは認められます。ただし、通勤ルートから極端に離れた場所へ行った場合は寄り道になりません。

従業員を雇用したら、労災保険に加入しなければなりません。労災がおりる条件とおりない例をわかりやすく従業員に説明して安全教育を行い、労働災害が発生したら、速やかに必要な手続きを行うようにしましょう。

今回のまとめ

事業主は、労災を防止するため、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任を果たさなければなりません。法令違反がある場合、労災事故発生の有無にかかわらず、労働安全衛生法等により刑事責任が問われることがありますので従業員の怪我や病気に常日頃から備える準備をしておくことが大切です。例えば保険商品の中には労災事故が起こった際、労災判定をまたずに速やかに、従業員の怪我や病気について金銭面等の補償をカバーできるものもあります。中小企業の深刻な人手不足が叫ばれる今、このような制度を整えておくことは経営者にとって急務といえるのではないでしょうか。

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