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解体工事業に潜む様々な危険について

解体工事業に潜む様々な危険について

解体業は建物や構造物を解体する作業を行う業界であり、建設業の中でも特に危険な職種であるといえます。「各種解体工事の安全作業手順」の普及により、現場の作業員の中でも意識が高まり事故自体は減少しているのですが、建築業全般の中ではいまだ死亡事故の多い業種であるといえます。このような事故を防ぐためにどのような対策を講じれば良いでしょうか。

【目次】     

1.解体業における労災の原因とは

2. 具体的な災害防止対策と労災事故発生対応

3. 解体工事災害事例をご紹介します

4.今回のまとめ

 

解体業における労災の原因とは

まず解体業における労災の原因としては高所 作業や重機使用、危険物取り扱いなどがあげられます。これらの作業は労働者にとって 、高いリスクを伴い、不注意や安全対策の不備によって事故が発生する可能性があります。また解体現場は、建物や構造物が崩れ落ちるリスクがあるため、作業員が被災するリスクも高まります。

災害の発生状況

災害の種類別では墜落・転落災害が最も多く、次いで倒壊災害、建設機械による災害、飛来落下災害と続きます。作業の内容別でみると、機械解体中、人力解体中、片付け、集積、搬出などでも事故がおきています。

災害発生の主な原因

不安全な行動 ※無断立ち入り 危険意識欠如

不安全な状態 ※安全装置の不備 機械等の不備

安全管理の欠陥

作業計画、作業手順書の作成なし

作業主任者等の選任なし

具体的な災害防止対策と、労災事故の発生対応

労災を防止するためには、解体業者は作業員に対して十分な安全対策を講じる必要があります。具体的には作業員に適切な安全装置を提供し、作業時には常に安全に関する注意の喚起を行うことが必要です。また、解体現場の安全管理を徹底し、現場内の危険な箇所には適切な警告や制限を設けることが必要です。さらに解体業者は事前の作業計画を立て、リスクアセスメントを行うことが大切です。このような作業計画には、作業員の安全確保や周囲の環境保護に注意を払った内容が含まれる必要があります。またリスクアセスメントによって労災発生リスクが高い箇所や作業手順を特定し、適切な対策を講じることができます。労災が発生した場合には、速やかに適切な処置を行うことが必要です。労災事故が発生した場合には、作業員の安全を最優先に考え、医療機関、消防などと連携をとってすすめていきましょう。労災事故の届け出は、事業主が労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出します。

  • 労災事故が発生したら、遅滞なく速やかに届け出なければなりません
  • 届け出をしないと、労災隠しに該当し、刑事責任が問われる可能性があります
  • また、被災した従業員や家族が補償を受けられなくなることもあります。

労災事故の届け出は、休業4日未満の場合と休業4日以上の場合で提出期限が異なります。休業4日未満の場合は、期間ごとに発生した労災事故を取りまとめて報告します。休業4日以上の場合は、事故発生から概ね1週間か2週間以内に報告します

解体工事災害事例をご紹介します

事故の型別で災害件数が多かった墜落・転落と倒壊・崩壊の災害事例を以下に示します。

【事例1】解体材の投下用開口部から墜落

【概要】 作業員が重機から降りた時、コンクリート片等を投下するために床に設けた開口部から墜落した。

【原因】

◆ 開口部の周囲に手すり等の墜落防止措置がされていなかった。

◆ 重機から降りる時、作業員が周囲の状況を確認していなかった。

【対策】

◆ 開口部があることを周囲に分かるように明示する。

◆ 重機に昇降する時は、周囲の状況を確認する。

◆ 開口部の周囲に手すり等を設置する。一時的に手すりを取り除いた場合は、速やかに復旧する。

◆コンクリート片等を投下する場合は、安全帯を使用する。

【事例2】重機で倒した壁の下敷きになる

【概要】 重機により鉄筋コンクリート造の1 スパンの外壁を倒そうとした際、梁の鉄筋が完全に切断されていなかったため、隣のスパンの壁も倒壊し、散水中の作業員が下敷きになった

【原因】

◆外壁の倒壊範囲を立入り禁止にしていなかった。

◆梁の鉄筋が完全に切断されていなかった。

◆ 作業員が不安定な外壁の倒壊範囲内に立ち入った。

【対策】

◆外壁の倒壊範囲は立入り禁止にする。

◆鉄筋の切断やコンクリートのはつりは適切に行う。

今回のまとめ

解体現場での事故例等もご紹介してきましたが、重機の無免許運転や、重機の下などの立入り禁止区域に侵入しての事故、手すりや囲いの未設置、安全帯の不使用など怠慢や不注意が原因での事故も多く、ルールを守って作業を行うことにより防げた事故もあったと考えられます。昨今では人件費の削減や納期の短縮を理由に作業効率を優先したことが事故に繋がっているケースもあるようです。安全第一で作業を行うことが結果的に効率の良い仕事に繋がることは言うまでもありません。解体現場に限らず建設業や製造業等の現場作業において、安全対策をしっかり行っていてもどうしても事故が起きる時はあります。万一の事故に備えて就業中のケガや病気、また労災事故などにおいて死亡事故が発生した場合遺族に訴えられる事態等に備えて、保険等に加入しておくと安心でしょう。

 

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