お知らせ・コラム
外国人実習生のブラック労務問題
外国人技能実習生の受け入れが、コロナ禍規制緩和により今後ますます活発になってくると思われます。しかし外国人実習生と受け入れ先とのトラブルも増加しており、その主な原因の一つに受け入れ先である企業による法令違反があると言われています。職場での暴行や恐喝、残業代未払や長時間労働などの法令違反により、耐えきれず失踪や自殺を図る技能実習生もいるようです。どうすればこのような事態を防ぐことができるでしょうか。
【目次】
1.ベトナム人男性が訴えた職場暴行
2.実習生から中間搾取 工事部長と建設会社送検
3.実習生の労災事故が起きたら
4.今回のまとめ
ベトナム人男性が訴えた職場暴行
男性によると、ベトナムで妻と5歳の娘と暮らしていたが、働いていた工場の給料が安く実習生になることを決意。実習生を送り出す現地の業者に借金で集めた手数料約100万円を支払い、同市内の監理団体を通じ、とび職として2019年10月に来日しました。建設会社での暴行は直後から始まったといいます。借金返済と仕送りが滞るため耐えていましたが、21年6月に監理団体に被害を報告。監理団体には技能実習が適正に行われているか指導する役割があり、暴行をやめるよう会社側に注意しましたが改善されませんでした。同年10月、男性はやむなく個人加入の労働組合に相談し、保護されました。賃金は支払われていたが借金は残っており、会見で男性は「安心して働ける環境に移りたい」と訴えました。労働組合委員長は「会社と監理団体は、男性への暴行を把握しながら、対応を怠った。責任を果たしていない」と指摘。建設会社に補償などを求める一方、監理団体を監督する認可法人「外国人技能実習機構」に通報しました。
実習生から中間搾取 工事部長と建設業送検
神奈川県川崎労働基準監督署では、ある建設会社が実習生の賃金の一部を搾取していたとして、同社と工事部長を送検しました。工事部長はフィリピン人の技能実習生2人と同社間の労働契約開始・存続に関与したうえで、令和2年4月から約2年間にわたり賃金の一部を搾取していたことを認めました。実習生は工事部長と石油プラントの改修工事に従事していましたが、同社では実習生に賃金を支払う際、工事部長を介して現金で支払っていたとみられています。工事部長はひとりあたり毎月約14万円~21万円を搾取、合計862万円を自分の利益とした疑いです。同社は中間搾取の実態を把握しておらず、また防止施策も行わなかったとして両罰規定が適用されることとなりました。
実習生の労災事故がおきたら
実習生が職場でけがや病気になったとしても、職場が労災であるという事実を隠すケースがあります。また実習生本人も労災に関する知識がないため、支援団体などへの報告をせず、把握できていないというケースもあるようです。
【労働災害が発生した際の企業側の対応】
労災保険は国が所管する「強制保険」であり、労働基準法では労働者が「業務上の事由により被った災害」については、事業主は補償しなければならないと規定されています。技能実習生も日本人従業員と同様に労災保険の対象になります。実習実施機関は、被災した技能実習生から必要な証明を求められた場合速やかに対応しなければなりません。また、技能実習生が自分で対応することが困難な場合、手続きを行うことができるように、助力する必要があります。
【もし労災事故が起きたら?】
Step 1. 療養給付
業務災害又は通勤災害による傷病により療養する際に関わる給付金です。
□療養の給付:労災病院や指定医療機関
□薬局等において、必要な療養(現物の給付)が受けられます。※原則として治療費無料
□療養の費用:指定医療機関等以外の病院等で療養した場合に、その療養に要した費用が支給されます。※原則として治療費用が戻ってきます
Step 2. 休業保険の手続き
□療養のために労働することが出来ず、賃金を受けない期間が4日以上にわたった場合に関わる保険内容です。
□休業4日目以降一日につき「給付基礎日額」の60%相当額が支給されます※業務災害の場合、最初の3日間については、事業主の補償義務あり
□休業特別支給金:上記の休業(補償)給付支給対象となる休業一日につき、「給付基礎日額」の20%相当額が支給されます。
□休業4日目以降は実質的には給付基礎日額の80%相当額が支給されます。
Step 3. 保険会社へ連絡
□保険の補償を使う場合は、保険会社へ手続きに関する連絡をします。事故後には実習生が所属する監理団体に報告することを忘れないようにしましょう
今回のまとめ
コロナ禍の規制緩和と共に技能実習生受け入れも増えてくると思われますが、同時に外国人実習生の実習先でのトラブルや労災事故が増えています。不慮の事故によるケガや、病気で入院したりする技能実習生が出ることを予想し、受け入れ先は、公的保険を補完するものとして労災の上乗せ保険などに加入することにより、実習生のケガや病気にも迅速に対応できるようにしておくことが望ましいでしょう。労働関係法令を遵守し、また万が一の補償を備えておくことは、受け入れ先企業、実習生双方にとって、とても大切なことです。
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