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精神障害の労災認定

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数・「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年に1回取りまとめています。令和4年6月に公表された令和3年度「過労死等の労災補償状況」の結果をもとに、企業の「業務上疾病」対策を改めて考えてみたいと思います。

【目次】

1. 精神障害の労災認定基準のおさらい

2.公表結果

3.今回のまとめ

 

精神障害の労災認定基準のおさらい

仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が関係した精神障害についての労災認定は年々増え続けています。発病した精神疾患が業務上のものと認められるかどうかの判断を迅速に行うため、平成23年12月に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に基づいた労災認定を行っています。

≪精神障害の発病≫

精神障害は、「外部からのストレス」と「ストレスに対する個人の対応力の強さ」の関係で発病すると考えられています。精神障害が労災認定されるのは、「仕事による強いストレスによるもの」と判断できる場合に限られるため、「仕事によるストレス」が強い場合であっても、「私生活でのストレス」が強い、既往症やアルコ-ル依存などの「個体的要因」が関係している、といった場合は発病の原因を医学的に慎重に判断しなければなりません。

≪精神障害の労災認定要件≫

①認定基準の対象となる精神障害を発病していること

②認定基準の対象となる精神障害の発病前概ね6か月の間に「業務による強い心理的負荷」が認められること

③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

詳しくは厚生労働省「精神障害の労災認定」(下記URL)をご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf

「精神障害の労災認定」の中では、実際に労災認定された事例を紹介しています。

【事例①】

大学卒業後にデジタル通信会社の設計技師として勤務していたAさんは、入社3年目でプロジェクトリ-ダ-へ昇格し、新たな分野である商品開発を担当することになった。同社にとって初めての技術が多かったこともあり設計は難航、Aさんの帰宅は深夜2時頃に及ぶこともあったが、会社からは特段の支援もないまま1か月あたりの時間外労働時間は90~120時間となっていた。約4か月後、Aさんに抑うつ気分・食欲低下などの症状が生じ、心療内科を受診したところ「適応障害」と診断された。

【事例②】

総合衣料販売店の営業職として勤務していたBさんは、異動して係長に昇格し、新規顧客の開拓業務に従事することになったが、新しい部署の上司から連日叱責され、「辞めてしまえ」「死ね」などの発言や書類を投げつけられるといった行為を繰り返し受けていた。3か月後、抑うつ気分・睡眠障害などの症状が生じ、精神科を受診したところ「うつ病」と診断された。

【事例①】【事例②】ともに、「業務による心理的負荷評価表」の具体的出来事に合致し、恒常的な長時間労働や執拗に行われた精神的攻撃により総合評価が「強」と判断され、業務以外の心理的負荷・個体側要因いずれも顕著なものがなかったことから、どちらも労災認定されています。

公表結果

続いて令和3年度「過労死等の労災補償状況」の公表結果を見てみましょう。「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」と定義されています。

公表結果を全体で見ると、

≪過労死等に関する請求件数≫

3,099件(前年度比264件の増加)

≪支給決定件数≫

801件(前年度比1件の減少)

うち死亡(自殺未遂を含む)件数:136件(前年度比12件の減少)

となっています。そのうち精神障害の労災補償状況を見てみると、

≪請求件数≫

2,346件(前年度比295件の増加)

うち未遂を含む自殺の件数は前年度比16件増の171 件

≪支給決定件数≫

629件(前年度比21件の増加)うち未遂を含む自殺の件数は前年度比2件減の79件となっており、精神障害の労災請求・認定の割合がかなり高いことがわかります。

※「精神障害に関する事案の労災補償状況」別途資料2より

業種別(大分類・中分類)では、請求件数・支給決定件数ともに「医療,福祉」が最も多くなっています。

※「精神障害に関する事案の労災補償状況」別途資料2より

職種別では大分類で請求件数・支払決定件数ともに「専門的・技術的職業従事者」が最も多くなっており、中分類では「事務従事者」が最多となっています。

※「精神障害に関する事案の労災補償状況」別途資料2より

年齢別では、働き盛りの40代が請求件数・支給決定件数ともに最も多く、請求件数では30代⇒20代と続き、支給決定件数では20代⇒30代と続いています。

※「精神障害に関する事案の労災補償状況」別途資料2より

1か月平均の時間外労働時間別では、支給決定件数が最も多いのは「20時間未満」となっており、次いで「80時間以上~100時間未満」となっています。出来事(精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において一定の事象を類型化したもの)の支給決定件数を見てみると、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」の順に多くなっています。

今回のまとめ

NTTデータ経営研究所の調査(2021年6~7月)によると、働く人の約半数(45%)がメンタル不調を抱えているという結果が出ており、新型コロナウイルス禍以降にストレスや悩みが増加した人は6割に上っています。※日経新聞2021年9月22日記事より

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