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ストレスチェック制度で職場改善環境を
2015年12月に創設されたストレスチェック制度の開始以降、ストレスチェックの実施割合は年々増加傾向にあり、2020年度には全事業場のうち8割以上が実施しています。職場のストレスチェック制度にはどのようなねらいがあるのでしょうか。
【目次】
1.ストレスチェック制度のおさらい
2.分析で職場環境改善につなげる
3.秘密を不正に入手しない
4.今回のまとめ
ストレスチェック制度のおさらい
近年、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み又はストレスを感じている労働者が5割を超える状況にあります。仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病し労災認定される労働者も増加傾向にあり、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが重要になってきています。こうした背景をふまえ「労働安全衛生法の一部を改正する法律」により心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容とした「ストレスチェック制度」が創設されました。この制度は労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場改善につなげ、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。
【ストレスチェックの義務化対象企業】
ストレスチェックは、労働安全衛生法によって、50人以上の労働者を抱える事業場で年一回の実施が義務付けられています。実施しなかったことによる罰則等はありませんが労働安全衛生法第100条により、労働基準監督署への報告が義務付けられています。この報告義務を怠った場合「50万円以下の罰金に処する」とされています。実施しない場合でも報告義務は発生しますので、注意が必要です。
※なお、労働者が50人未満の事業場には報告義務はありません。
分析で職場環境改善につなげる
会社はストレスチェックの実施者に結果を一定規模の集団(部、課、グループ)ごとに集計、分析してもらい、その結果をふまえて職場環境の改善を行いましょう。集団ごとに質問票の項目ごとに平均値を求めて比較するなどの方法で、どの集団がどういったストレスの状況なのかを調べましょう。注意点としては、分析する回答者数が10人未満の場合、個人が特定される恐れがあるため、全員の同意がない限り会社は集計や 分析の結果の提供を受けてはいけません。また会社は、集計や分析の結果を踏まえて管理監督者向けに研修を実施したり衛生委員会などを通じて職場環境の改善を行いましょう。職場管環境改善によって、ストレス要因や健康状態が改善したり、生産性が向上することが国内外の多くの研究によって報告されています。これらの研究から共通して言えることは、効果的なストレス対策を行うためには個人だけでなく、組織的な職場環境改善を行うことが重要だということです。
秘密を不正に取得しない
ストレスチェック制度は、働く人の健康情報が適切に保護され不適切な目的で利用されないようにすることで誰もが安心して受け、適切な措置や改善につなげるための仕組みです。重要なことは会社がストレスチェック制度に関する働く人の秘密を不正に入手するようなことがあってはなりません。ストレスチェックや面接指導で個人の情報を取り扱った者には法律で守秘義務が課され、違反した場合は刑罰の対象となります。また働く人々の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果や、面接指導結果などの個人情報は適切に管理し、社内で共有する場合にも必要最低限の範囲にとどめましょう。会社が以下の行為を行うことは禁止されています。
■ 次のことを理由に働く人に不利益な取り扱いを行うこと
①医師による面接指導を受けたい旨の申し出
②ストレスチェックを受けないこと
③ストレスチェックの結果の会社への提出に同意しないこと
また当然ではありますが、「面接指導の結果を理由としての解雇、雇止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこと」も禁止されています。
今回のまとめ
事業場におけるメンタルヘルス対策の重要性は高まっていますが、実際にはつい優先順位が下がりがちです。しかしメンタルヘルスケアをなおざりにすると、生産性低下や離職の増加につながります。さらに職場でのストレスが高じて精神障害を発症したり、それが原因で従業員が自殺した場合、企業側が適切な対策を講じなかったとして訴訟を提起され、場合によっては多額の損害賠償金や和解金を払うことになるかもしれません。労災の上乗せ保険では、業務上の疾病(うつ病を含む)を患った従業員への補償、企業側に法律的損害賠償責任が生じた場合の使用者賠償責任補償を備えた保障商品もあります。企業で働く人のこころの問題は今や事業活動を行うにあたって無視できません。ストレスチェックで働く人の状態を把握すると共に、万が一の際には必要な補償を備えておくことも大切です。
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