お知らせ・コラム
マイカー管理と中小企業向け団体扱保険制度とは
従業員がマイカー使用により業務中に事故を起こしてしまった場合は、まずは運転していた従業員が道路交通法の責任を負います。対人や対物事故の場合は、相手への損害賠償を従業員が負いますので、自動車保険に加入していれば保険で対応することが出来ます。しかし保険に加入していない場合もしくは、年齢条件や運転者の範囲などの条件により保険が使用できず損害賠償の弁償が出来ない場合は会社に責任が及ぶ可能性が高いです。
今回は、マイカー事故で企業責任が問われた実例や中小企業向けの団体扱保険制度についてご紹介していきたいと思います。
【目次】
1.中小企業向け団体扱保険制度とは
2.マイカー管理の重要性と企業責任
3.今回のまとめ
中小企業向け団体扱保険制度とは
団体扱保険制度は、会社の福利厚生の一つとして採用している企業もあり、役員・従業員や退職者の個人の契約を会社の団体扱として加入する制度になります。保険会社により内容が異なりますが今回は一例のご紹介になります。
☆導入によるメリット
①会社のメリット
・安心して働ける職場づくりに役立ちます
万一の場合にも安心して働ける職場づくりの一助になるとともに、従業員の福利厚生制度として有効です。
・企業損害への備えができます
従業員のマイカー事故により、企業責任が問われるケースも増えています。従業員に保険加入をすすめることにより、予期せぬ企業損害を回避できるケースがあります。
・集金事務費をお支払いできる保険会社もあります
従業員の保険料を保険会社に代わり集金することにより、会社に事務手数料をお支払いする保険会社もあります。
②従業員の方々にとってのメリット
・保険料が一般契約に比べるとお安くなります
保険会社により内容は異なりますが、団体割引が適用されます。
(例 年間保険料が5%引き、分割割増不要など)
☆団体扱保険制度の内容
・適用条件
勤務する従業員の方々が1年以内に10名以上の契約をすることを前提に制度をスタートさせることが出来ます。
・主な保険種目
①自動車保険 ②火災保険 ③傷害総合保険 ④医療保険
自動車保険だけでなく、火災保険や医療保険なども団体契約で割引が適用されます。
団体契約は大手企業や公務員のみならず、中小零細企業でも役員・従業員を合わせて10名以上の契約者がいる場合には、導入できる可能性がありますので、一度ご検討してみて下さい。
マイカー管理の重要性と企業責任
☆マイカー通勤は許可制にする
マイカーの通勤管理を行うにあたっては、まずはマイカー通勤の実状を正確に把握しておかなければなりません。マイカー通勤者が何人くらいいるのかさえわからなければ、とても効果的な管理はできません。したがって次の点については、会社や管理者が正しく把握しておく必要があります。
①マイカー通勤者の数(通勤車両の数)
②マイカー通勤車両の種類(乗用車・二輪車・原付バイクなど)
③通勤車両の駐車場所
④通勤車両の自動車保険の付保状況
⑤主な通勤経路
マイカー通勤に関しては、しっかりと企業で把握しておく必要があります。特に保険の付保漏れや車検漏れ、免許の有効期限切れなどの状態で走行し、万が一にも事故を起こしてしまった場合には重大な問題に発展してしまいます。また、実際にマイカー通勤により企業責任が問われた事例もご紹介していきます。
☆マイカー通勤中の事故で企業責任が問われた事例
事例1
従業員がマイカー通勤中に自転車の運転者に衝突しケガを負わせた事故で、被害者は従業員と従業員を雇用している会社に対して損害賠償請求を起こした
裁判では「通勤は業務そのものではないが、業務に従事するための前提となる準備行為として、業務に密接に関連するものということができる」
「使用者としては、このようなマイカー通勤者に対して、普段から安全管理に努めるよう指導・教育するとともに、万一交通事故を起こししたときに備えて十分な保険契約を締結しているか否かを点検指導するなど特別な留意をすることが必要である」として使用者責任が認められて最終的に企業に647万円の賠償支払いを命じている
(福岡地裁飯塚支部平成10年8月判決)
事例2
会社ではマイカー通勤を禁止していたが、従業員が無断でマイカー通勤をし、その帰路で起こした事故について会社の「運行供用者責任」が問われた
従業員がマイカーで会社の寮から工事現場に行き、仕事を終えて寮に帰る途中で起こした事故について問題が発生。そもそも会社は現場へのマイカー通勤は禁止していた。
しかし現実にはこれが厳格には守られておらず、事故を起こした従業員を含めて現場作業員がマイカーで現場と寮や自宅との間を往復していた。また上司から一度も注意を受けたことは無かった。
さらに寮に住んでいる従業員の車は、隣接する会社の駐車場に保管されており、会社は従業員の現場へのマイカー通勤を黙認し、それにより事実上利益を得ていたと考えられる。
会社は直接または間接的に従業員のマイカーの運行を指揮監督できる立場にあったとして会社の「運行供用者責任」を認めた。
(最高裁・平成元年6月6日判決)
今回のまとめ
マイカー管理の重要性に関しては、十分にご理解して頂けたと思います。また福利厚生の一助としてご紹介した企業の団体扱保険制度もございますので、数十名以上の従業員を抱えている中小企業様にご検討いただければ幸いかと思います。マイカー管理や団体扱保険制度についてご興味がございましたら、ぜひお問合せください。
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