お知らせ・コラム
自殺者の増加を防ぐため企業にできることとは
厚生労働省が公表している「自殺の統計」によると、令和2年中における自殺者の総数は21,081人で、前年に比べ912人(4.5%)増加しています。令和3年6月の速報値において6月単月の自殺者は1,745人で前年同月比173人(約11%)増加しているだけでなく、1~6月全ての月で前年を上回っているという結果も発表されています。今回は、従業員の自殺を防ぐために企業にできることについてみていきましょう。
【目次】
1.数字で見る自殺に関するデータ
2.事業者・企業にできること
3.今回のまとめ
数字で見る自殺に関するデ-タ
厚生労働省が公表している「令和2年中における自殺の状況」各デ-タによると、令和2年の自殺者数は21,081人となり、対前年比912人(約4.5%)増となっており、男女別にみると男性は11年連続で減少しているのに対し、女性は2年ぶりに増加しています(男性の自殺者数は女性の約2.0倍)。自殺における死亡率は16.7%で、こちらも女性が10.9%と1.5ポイントの上昇(男性は、女性の約2.1倍)となっています。月別では、10月が最も多く、2月が最も少ないという結果となっており、2~6月で前年を下回り、1月・7~12月で前年を上回っています。年齢別の自殺者数は働き盛りの40代が最も多く、次いで50代⇒70代⇒30代⇒20代⇒80歳以上⇒10代以下となっており、過去5年間においても40代・50代が常に上位を占めています。
自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、問題が深刻化する中でこれらと連鎖する中で起きているため、原因を特定することは困難ではありますが、令和2年においては元年と比較して、経済・生活問題が最も大きく減少している一方、新型コロナウイルス感染症の影響もあってか健康問題が最も大きく増加しています。
職業別での自殺者数をみてみると、「無職者」が11,718人と最も多く、次いで「被雇用者・勤め人」(6,742人)、「自営業・家族従業者」(1,266人)、「学生・生徒等」(1,039人)の順となっており、この順位は前年も同じとなっています。
自殺の原因・動機のデータ(警察庁自殺統計原票データ)についての項目は、「経済・生活問題」「家庭問題」「健康問題」以外に「男女問題」「学校問題」「勤務問題」等がありますが、原因・動機が明らかなもののうち「健康問題」にあるものが10,195人で最も多く、次いで「経済・生活問題」(3,216人)、「家庭問題」(3,128人)、「勤務問題」(1,918人)の順となっており、こちらの順位も前年と同じとなっています。
勤務問題での自殺者数だけをみてみると、令和2年においては1,918人、令和元年1,949人、平成30年2,018人となっており、毎年2,000人程度が「勤務問題」が原因で自殺しているということが分かります。
働き盛りの40代を中心に毎年一定数が勤務問題で自殺しているというデータを考えると、企業・事業主の皆様にとっても深刻な状況であるといえるのではないでしょうか。
事業者・企業にできること
では、勤務問題を主な原因とした自殺を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?
まずは自殺につながる恐れのある「うつ病」と「精神疾患」の違いを確認してみましょう。
1.うつ病
長時間労働とうつ病の発症についての因果関係は皆様が既にご存じの通りです。時間外労働時間が増えるほどうつ病発症リスクは高まるため、「時間外労働時間の短縮・削減」は企業のうつ病対策としても必要な取組みであるといえます。
2.精神疾患
時間外労働が0でも精神疾患は発症します。職場のいじめ・嫌がらせといったハラスメントだけでなく、業務内容や裁量・責任の大きさ、転勤などの人事異動等の様々な要因がストレスとなり、深刻なケ-スでは発作的な自殺につながるメンタル不調を引き起こします。このようなメンタル不調は一定の基準がなく一人一人異なるため、より細やかな対応が必要です。
うつ病・精神疾患の予防につなげる職場でのメンタルヘルス対策には、メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う「二次予防」、メンタルヘルス不調となった従業員の職場復帰支援を行う「三次予防」がありますが、自殺を未然に防ぐためには「一次予防」「二次予防」が重要となってきます。
①従業員一人一人がストレスやメンタルヘルスに関する正しい理解と知識を身に着け、まず自身でストレスに気づき対処できるようセルフケアについての教育や研修を行うとともに②管理監督者が職場環境を把握・改善するとともに従業員のメンタル不調に気づき相談などの対応を行うラインケアの仕組みを定着させ、さらに③産業医や保健師・労務管理スタッフ等による具体的なメンタルヘルスケアの実施や④外部相談窓口等の事業外資源を活用する4つのケアを取入れ、予防が円滑に行われるように整備していかなければ なりません。
・全ての従業員が笑顔で挨拶できる職場
・上司や同僚に気軽に相談できる職場
・困ったときに頼れる同僚や上司がいる職場
においてはメンタル不調者が少ないと言われています。何から手を付けていいのか迷われたら、まずはすぐに取り組めることからはじめてみてはいかがでしょうか?
厚生労働省HPの取組事例集(下記URL参照)もご活用ください。
「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」
https://www.mhlw.go.jp/content/000615709.pdf
今回のまとめ
損害保険には、大切な従業員をメンタル不調や自殺から守るために企業や事業者の皆さまをサポ-トできるプランがございます。従業員が心身ともに健康でいることで生産性だけでなく従業員のモチベ-ションも上がります。メンタルヘルス対策は、メンタル不調者への対策としてだけでなく、従業員や求職者・関係企業・金融機関などから社会的に評価を受けることができる「健康経営優良法人」の認定にもつながります。ご興味のある方は、お近くの保険代理店までお気軽にお問い合わせください。
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