お知らせ・コラム
コロナ禍における今後の雇用対策の方向性
2021年、東京オリンピック、パラリンピックの終了と共に沈静化していくと思われたコロナ禍ですが、2022年があけてからも変異株の出現によって先行き不透明感が漂っています。このまま増え続け、またも緊急事態宣言ということになれば、少なからず労働市場にもまた影響が出そうです。コロナ禍を3年目に控え、WITHコロナ、またはアフターコロナの社会での雇用を今後どのように考えていくべきなのでしょうか。
【目次】
1.失業率、休業率から考える雇用の動き
2.外国人労働者への影響
3.コロナ禍を好機として推進が期待される労働市場改革
4.今回のまとめ
失業率、休業率から考える雇用の動き
この2年間で労働市場に大きな影響があったことは間違いありませんが、例としてリーマンショック時に失業率が5.5%まで上昇したのと比較して、今回のコロナ禍では3.1%にとどまっており、総じて失業に関してはそこまで深刻な状況ではありません。
一方で休業者は続出し、総務省の労働力調査によれば、1度目の緊急事態宣言が出た2020年の4月には597万人、5月には423万人が休業しました。その後も170万人から240万人台で休業者は推移しています(ただし、これには育児休業者なども含まれています)。コロナ禍前の同月比でみると、各月60万人ほど多い計算となります。休業増加が逆に失業を抑制したという意見もみられます。
失業抑制につながった要因の一つとして、テレワークがあげられます。2020年3月時点では13%程度だったテレワーク実施率ですが、緊急事態宣言後の4月には28%まで高まり、以降も現在まで25%前後で推移しています。テレワークによって4人に1人が就業継続可能になったことは、失業を防ぐという面では意義深いと考えられます。
(労働新聞 1月号参照)
外国人労働者への影響
コロナ禍においては、企業の経営環境の悪化を受けた外国人労働者に対する不当な扱いが問題となりました。外国人労働者は、日本の就業者数の約2.5%にあたり、特に、建設、製造、介護福祉の分野での労働力としての重要性が高まっています。政府は中長期的な人手不足の問題を解消するため、外国人労働者の受入れ拡大を図ってきましたが、感染拡大を受けた出入国制限により、日本国内で就労可能な在留資格を持つ外国人が減少し、外国人労働者へ過度に依存することは経済活動にとってリスクとなり得ることが示されました。また、一部では、不当に雇い止めにしたり、十分な休業補償をしないといった事例も報道されており、雇用の調整弁に利用されているといった実態も浮き彫りになっています。
問題を看過すれば中長期的にも貴重な労働力を失いかねません。こうしたことを踏まえ、外国人労働者の受入れ方法などを中長期的に適宜見直していくことも必要なのではないでしょうか。
コロナ禍を好機として推進が期待される労働市場改革
当面は新型コロナウイルスの感染拡大防止や経済活動との両立が国の最優先課題ではありますが、人口減少・高齢化により長期的に労働力不足が懸念される社会においては、労働市場改革が重要です。日本特有の終身雇用や年功賃金を前提にしたメンバーシップ型雇用は雇用の安定を提供する一方、流動性が低く柔軟で生産性の高い働き方を阻害する要因となり、企業の競争力向上の足かせとなっている面もあります。
イノベーションが加速し産業構造が変化するにつれて、労働市場も激しく変化する可能性があります。AIやロボットなどの活用が単純労働を減らし、労働者に求められる業務がより高度化していくことも考えられます。実際このコロナ禍で多くの企業のIT化、DX化が否応なしに進んだ感があるのではないでしょうか。
個人の能力を引き出し、産業・企業の競争力を強化し、生産性の向上を実現するには、多様で柔軟な働き方を可能とする労働市場改革と、労働力の不足を補うべく外国人材の戦略的な受入れが必要であると考えられます。テレワーク拡大や外国人労働者問題などに影響を及ぼしているコロナ禍を逆に好機とし、労働市場改革が進めていくのも一つの手かもしれません。
今回のまとめ
コロナに限らず、景気不安などによる状況下で求められる政策は、景気の悪い企業で雇用維持を図ることではなく、労働者を必要とする成長企業への「失業なき労働移動」です。加えて雇用において職種や地域のミスマッチが求職者と求人企業の間で生じており、その解決も必要になります。雇用を斡旋する企業や公的機関ではキャリアカウンセリングや研修で労働者に職業転換やスキルアップを意識付けし、労働市場でニーズのある人的資本を労働者が会得する職業訓練機会を拡大することが求められるでしょう。また雇用する側の企業においては、求職者にとってより魅力的な会社であることが求められます。
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