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解体工事での労災事故件数が増加中

解体工事での労災事故件数が増加中

一般社団法人住宅生産団体連合会は、令和2年低層住宅の労働災害発生状況報告書を採りまとめた。工事1000棟当たりの災害件数が解体工事で増加しており、新築工事と増改築・リフォーム工事を加えた全体件数も増えている。

住宅工事における令和2年の災害発生状況(休業4日以上)を分析したところ、新築工事では前年に比べて事故件数が減少したが、増改築・リフォーム工事では事故件数は横ばい、解体工事では事故件数が増加してしまった。

解体工事の現場は、音も大きく、地面が揺れるような大きな衝撃もあり素人がみても危険な工事だと分かります。今回は解体工事での事故の特徴などに触れていきたいと思います。

(労働新聞社の記事 参照)

【目次】

1.解体作業中、解体用つかみ機での事故

2.作業現場より落下

3.今回のまとめ

 

解体作業中、解体用つかみ機での事故

解体工事の現場では、様々な重機を使用し作業が行われており、重機を使用中の事故も多く発生しております。

重機自体が転倒してしまう事故もありますが、重機に挟まれたり、重機と作業員が接触して大ケガに発展してしまうケースが散見されます。解体用つかみ機での労災事故により事業主が書類送検された事案についてご紹介します。

・左腕挟まれて長期休業、労災かくしで書類送検

和歌山・御坊労働基準監督署は、労働者私傷病報告を遅延なく提出しなかったとして、解体業を営む個人事業主(和歌山県有田郡有田川町)を労働安全衛生法第100条慰違反の容疑で和歌山地裁に書類送検した。令和2年1月、同社労働者が解体用つかみ機のアタッチメントに左腕を挟まれ長期間休業する労災が発生している。

発覚のきっかけは、被災した労働者からの相談だった。「休業補償が受けられない」との内容だった。同個人事業主は今年に入って報告を提出している。報告が遅れた理由は明らかにされていない。

・無資格運転の容疑で書類送検

北大阪労働基準監督署は令和2年6月に発生した労働者が重傷のケガを負った労働災害に関連して解体業を営む事業主(大阪府大阪市住之江区)を労働安全衛生法第20条(事業者の構ずべき措置等)などの違反の容疑で大阪地検に書類送検した。物体の飛来により労働者に危険が生じる恐れのある箇所に労働者を立入れさせた疑い。

労災は、大阪府寝屋川市の文化住宅解体撤去工事現場で発生したもの。同事業主が解体用つかみ機を使用して作業を行っていた際、廃材が労働者に直撃している。

また同事業者は、解体用つかみ機の運転資格がないにもかかわらず自ら運転していたとして就業制限違反でも送検されている。

作業現場で墜落事故

解体現場の墜落事故で建設業者を送検

福岡県中央労働基準監督署は、ビルの解体工事中に労働者が墜落し死亡した労働災害で株式会社Aと同社の職長を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで福岡地検に書類送検した。

労災は平成29年2月21日に、同社が解体工事を請け負う博多区内の雑居ビルで発生した。45歳の男性労働者がガスバーナーで鉄骨の溶接作業をしていたところ、ビルの5階から墜落した。労働者は救急搬送されたが同日死亡が確認された。

労働安全衛生法では、高さ2メートル以上の作業床の端など、墜落の危機がある場所で作業をさせる場合、囲い、手すりなどを設けなければならないと定めている。囲いなどを設けるのが著しく困難なときは安全帯の使用が認められている。

今回の事故現場は囲いなどを設けるのが著しく困難な場所だった為、同社の職長は労働者に安全帯を使用させる必要があったがそれを怠っていた。被災労働者は腰に安全帯を装着していたが、どこにも引っ掛けずに作業をしていた模様です。

 

他にも解体中の落下事故として、囲いや手すりの設置中の落下事故や解体する建物を覆うために足場を設置する最中の事故などがあるようです。

・建設作業員の労働派遣は労働者派遣法により禁止されている

上記の墜落事故の被災労働者は、同県内にある別会社の労働者でしたが同社の職長が指揮命令を行っており実態は労働派遣だった。労働者派遣法の読み替え規定を適用し派遣先事業者として同社と職長を送検している。

建設業務への労働者派遣は労働者派遣法により禁止されており、違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

今回のまとめ

解体現場での事故例をご紹介してきましたが、重機の無免許運転であったり、重機の下などの立入り禁止区域に侵入しての事故、手すりや囲いの未設置、安全帯の不使用など怠慢や不注意が原因での事故が多く、しっかりとルールを守って作業を行うことにより防げた事故もあったと考えられます。

残念ながら人件費の削減や納期の短縮を理由に作業効率を優先したことが事故に繋がっているケースもあるようです。安全第一で作業を行うことが結果的に効率の良い仕事に繋がってくると思います。

しかしながら、解体現場だけでなく建設業や製造業等の現場作業において、安全対策をしっかりおこなっていても事故を完全に無くすことは不可能に近いことなので、万一の事故に備えて保険等に加入しておくと安心して仕事に取り組めると思います。

 

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