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外国人技能実習生と企業、よりよい関係のためにできること

外国人技能実習生と企業、よりよい関係のためにできること

2019年4月、政府は「特定技能」という在留資格を新設し、これによって外国人労働者の受け入れが加速しました。 新しい技術を学んで本国に持ち帰ろうと希望をもって来日した彼らですが、実際は「仕事がきつい」「正当な賃金がもらえない」「国に帰りたい」。そんな声も少なからず聞こえてきます。
日本で技術を学び、お金を稼いで帰国することを夢見ていたのに、期待とは違う厳しい現実に苦しむ実習生が相次いでいます。
建設、製造、農業、介護など、今や外国人労働者なしには成り立たない産業が多くなってきているのに、どうして未だにこのような声が後をたたないのでしょうか。今回は技能実習生と企業との関係性について考えていきたいと思います。

【目次】

1.外国人実習生と企業間で起きたトラブル事例とは

2.受け入れ企業側にも問題、労働基準法等違反事例

3.今回のまとめ

 

外国人実習生と企業間で起きたトラブル事例とは

以下は、実習生と企業間で起きたトラブル事例です。皆さんの会社でこのようなことが起きたら、どう対処しますか?

【ケース1 失踪】

ベトナム人の男性AさんとBさんは建築の職種で技能実習生として来日しました。真面目に仕事に取り組んでおり、受入先の社長も安心していました。教育に関しては、安全教育をしっかり行い、難しい日本語は易しい日本語に変えたり、絵カードを作成して、その都度理解しているかを確認しながら教えていました。

しかし、実習から半年後、突然二人とも失踪してしまいます。後に本国へ無断帰国してしまったことがわかりました。

本人たちは、「仕事がきつく、母国へ帰りたかった」と語っていたそうです。

【原因、解決】

建築分野は失踪率が特に高い業種です。簡単な意思疎通はできたとしても、難しい日本語や早口の言葉を聞き取ることが難しい実習生が多いことから、現場などで指示が早口になっていないか、きつい言葉をかけていないか振り返ることが大切です。また外での作業が多くなるため、寒さや暑さへの事前対策なども説明しておくことが求められます。

ケース2 金銭トラブル】

従業員の家賃の支払いの取りまとめを、実習生のCさんが任されていました。Cさんは仕事にも慣れており、まじめな性格ゆえ安心して任されていたのですが、ある日家賃の総額が合わなかったことが原因でCさんが着服したのではないかと疑われ、責められました。実際には着服などしていなかったのですが、疑われたことがショックでCさんは仕事を続けることができなくなり、早々に帰国することになってしまいました。

原因、解決

途上国出身の外国人というだけで、お金に関しての問題が生じると、彼らを疑う日本人も少なくありません、金銭トラブルは、お互いにとってよい結果にはなりませんので、金銭や給与の管理は会社の経理、労務担当が責任をもって行うべきでしょう。

ケース3 叱責】

中国出身のDさんは仕事の覚えが悪く、作業中、周りの従業員がいる前でよく怒られていました。その日も同じようなミスを繰り返し、上長に皆の前で叱責されていたのですが、今までの鬱憤が爆発したDさんは、突然上司に殴りかかり、ケガを負わせてしまいました。

【原因、解決】

中国人は人前での叱責を「面子がつぶされた」と感じ、非常に嫌います。このように外国人特有の文化に合わせて対処することも必要です。技能実習生を受け入れる際は、注意の仕方や伝え方、褒め方等の文化も知っておくほうがよいでしょう。

受け入れ企業側にも問題、労働基準法等違反事例

2019年の調査報告では、外国人技能実習生を受け入れている約7300の事業場の監督を実施したところ、70%を超える企業で労働基準関係法令違反が認められたとされています。技能実習生に問題がある場合も少なくありませんが、企業側も外国人技能実習生を「技術を学びにきている」のではなく「低コストで使える労働力」だとする認識の誤りがこのような数字となって表れているのではないでしょうか。

実際の悪質な労働基準法等違反事例をご紹介します、

【事例1】

22名の技能実習生を雇用している企業が、労働時間を記録簿で管理していたところ、 この記録簿とは別に「実績簿」なるものを作成し、そちらには18時以降の時間外労働を一切記録していなかった。 さらに、実績簿に記録されている方の労働時間については割増賃金を適切に支払っていたものの、実績簿に載っていない18時以降の時間外労働については、時給400円〜600円しか支払っていなかった。

【事例2】

フルタイム勤務しているにも関わらず月額6万円しか賃金が支払われなかった。 技能実習生が領事館に相談をしたことから労働基準監督署へ情報提供がなされ、実習生9名に対して、総額970万円の支払いが企業に勧告された。

【事例3】

造船工場内で、技能実習生が船体部品の取り付け作業中に誤って転落し、手足に 重傷をおって、一週間の入院を余儀なくされた。

しかし、企業は労災申請することで労働基準監督署からの指導や是正勧告を恐れ、技能実習生に対し、自宅でけがをしたことにするように強要した。

 

技能実習生が日本語学習や研修のために通う機関は100万円ほど費用がかかり、多くの技能実習生候補はこの費用を捻出するため、来日前から多額の借金をしています。また、受け入れ企業によっては実習期間中に実習生を強制的に帰国させる「強制帰国」という行為が行われるケースもあります。そのため、借金を抱えたまま帰国させられる恐怖で、どんなに低賃金や劣悪な労働環境でも我慢せざるを得ないという負の構造に陥るのです。また実習先が技能実習生のパスポートや携帯電話を強制的に取り上げたり、来日前に「実習先に一切文句を言いません」等の誓約書にサインさせる企業もあり、問題となっています。

今回のまとめ

技能実習生の多くは、日本の技術を学びたいと真剣に考えています。彼らの思いを裏切らないよう、企業側も自社の受け入れ態勢を今一度見直すべきではないでしょうか。また、毎年不慮の事故によるケガや、病気で入院したりする技能実習生がいることから、受け入れ先は、公的保険を補完するものとして労災の上乗せ保険などに加入することにより、実習生のケガや病気にも迅速に対応できるようにしておくことが望ましいでしょう。労働関係法令を遵守し、また万が一の補償を、受け入れ側企業が備えることで、技能実習生と企業双方がお互い幸せになれるように制度の活用をしていきたいものです。

 

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