お知らせ・コラム
『保険活用で病があっても働ける仕組みづくりを』ワークシックバランスを考えよう
「ワークライフバランス」という言葉は『生活と仕事の調和・調整』のことで、ずいぶん世の中に浸透しましたが、「ワークシックバランス」という言葉は皆さんご存知でしょうか?その名のとおり『仕事と病の両立』を指し示す言葉です。
「ワークシックバランス」が目指すのは、仕事と病気の調和です。病を抱えながら働く人が、周囲の理解を得ながら、病があっても自分らしい働き方を選択できることを目指す考え方を指します。2020年、Y株式会社(製薬会社)は「IBDとはたらくプロジェクト」の一環で提唱し、炎症性腸疾患(以下、IBD)という難病を抱えている患者が “自分らしく働く”ことをもっと当たり前にしていくため、普及に努めています。今後、IBDに限らず、様々な病気に対応は広がっていくものと思われます。
【目次】
1.まだまだ共感性を得られにくい、ワークシックバランス
2.あなたの代わりにロボットが出社?ワーキングロボットの台頭
3.今回のまとめ
まだまだ共感性を得られにくい、ワークシックバランス
そんな「ワークシックバランス」に関する意識調査がこのほど、全国の就労中の男女1000人を対象にして実施されました。
【必要性は理解しているが・・・・難しいとの結果がでている】
調査結果を簡単に述べますと、「ワークシックバランスの重要性について理解はしているものの、それを共有するコミュニケーションが難しい」という結論となります。ワークシックバランスの理念について回答者の8割以上が共感を示しており、「自分の働き方はワークシックバランスが取れている」と答えたのが7割弱、「会社がワークシックバランスの実現に積極的」と答えたのが5割弱と、少なくはない印象を受けます。では現実はどうでしょう。持病のある回答者は「通院や治療が仕事で潰れる」「持病のため仕事を続けるのが不安」「持病のために上司や同僚など周囲に迷惑をかけている」とそれぞれの項目で2~3割が「はい」と答えていました。持病のサポートを相談しようにも3割程度が「相談しにくい・しても意味が無さそう」と回答しており、合理的配慮を求めるのに及び腰となっている当事者が少なくないと示唆されました。
持病のない人については、「周りの人が持病を持っているかどうか分からない」「持病について聞いていいのか分からない」「持病のある人へどう支援すればいいか分からない」という回答が7割を占めていました。持病のある人は周囲に伝えることに及び腰で、持病のない人は、分からないことが多い、どのように共感すべきかわからないという、意思伝達の問題が窺えます。
あなたの代わりにロボットが出社?ワーキングロボットの台頭
IBDなどの難病、また持病や心疾患を抱える方が「通勤」「出社」そのものに不安を感じているのなら、その不安を取り除こうと開発されたのが、リモートワーキングロボットです。Y株式会社が、無償貸与しているこのロボットは、自分の代わりにオフィスに置いておけば、自宅にいながら「出社」ができるのです。通常のリモートなどと違い、会議への出席はもちろん、例えば社内を移動して同僚に話しかけたり、雑談やコミュニケーションもとれる優れものです。
そう遠くない未来、私たちが病気や何らかの事情で出社や通勤が難しくなった時、AIやロボットの代替出社により、仕事をあきらめる必要がなくなるかもしれないと考えると、面白いですね。Withコロナから生まれた新しい働き方は今後さらに広がっていくかもしれません。
今回のまとめ
「健康第一」「元気なのが一番」と、世の中のほとんどの人が感じており、その考え自体は間違いではないかもしれません。企業を経営されるうえでも、従業員にはできるだけ健康な身体でいてほしいと願うのが本音です。ただほんの少しでいいから「それが全てだろうか」と問い直してみてはどうでしょう。なぜならいま現在も、就労する人達の1/3は何らかの疾病をもちながら働いており、「いっさいの不安なく健康」な人というのは、実はそれほど存在しません。だからこそ、自分の症状とうまく向き合うこと、周りの人と不安や悩みを共有しながら「病気」と「働く」ことの調和を考えていくことが大切なのです。また企業側も、従業員の「もし就業中に自分が病気になったら仕事を辞めなくてはいけないのか?」という不安に応えられる仕組みづくりを整えておくと良いでしょう。たとえば福利厚生制度の一環として、「労災の上乗せ保険」に加入しておくことは、ワークシックバランスのとれた企業であるというアピールになります。もし病気になったらしっかり療養して、元気になったらまた活躍してほしいという企業経営者の思いは、従業員の皆さんにとって「この会社でいつまでも働き続けたい」という思いへとつながっていきます。
病気を抱えていたとしても、本人の仕事の能力とは関係ありません。周囲からの理解を得られれば、職場の戦力として自分らしく活躍できます。もうそろそろ「病気をマイナスにとらえない」働く社会を私たちは作っていくべきなのではないでしょうか。
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