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注意したいマタハラの事例と男性の育休取得について

注意したいマタハラの事例と男性の育休取得について

マタハラ(マタニティーハラスメント)とは、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり妊娠・出産を理由として解雇や雇い止めや自主退職の強要などで不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する言葉です。

今回はマタハラで企業側が慰謝料を支払った例のご紹介になります。マタハラに限らず、パワハラ、セクハラ、モラハラなどで訴えられるケースの内容を見ると企業側が法令や社会情勢などに疎く、無知により知らないうちにハラスメントを行ってしまっているケースも散見されます。

今回はマタハラの事例を紹介しながら注意点と関連情報として男性の育休取得促進についても触れていきたいと思います。

【目次】

1.出産後一年以内の解雇でマタハラ認定

2.嫌がらせ型のマタハラの事例

3.今回のまとめ

 

出産後一年以内の解雇でマタハラ認定

出産後一年以内に労働者を解雇した結果、マタハラ認定により無効となった事案があります。

事例

社会福祉法人で保育士として働いていた労働者が、育児休業からの復帰直前での解雇を不服とした裁判で、東京高等裁判所は解雇を無効とした一審判決を維持した。

一審に引き続き、バックペイなどに加え慰謝料30万円の支払いを命じている。男女雇用機会均等法が禁止している一年以内の解雇にあたるなど、労働者の精神的苦痛は大きかったと判断し、慰謝料請求を命じた。社会福祉法人側は解雇日がたまたま産後1年以内だったと主張したが同高裁は「出産を理由とした解雇でないとの証明がない」と退けている

経緯

平成24年5月にパートとして入職し、平成25年に社員登用試験を受け正社員となった。子供の出産のため平成29年に4月から産休に入り、5月に無事出産し産後休業と育児休業を取得した。平成30年の3月に5月から短時間勤務で復職したい意向を伝えたが、同法人の理事長は復職を拒否し解雇理由証明書を交付した。証明書には解雇理由として「労働者と園長と保育観が一致しないことにより復帰願望を叶えることが出来ず法人都合による解雇に至った」との記載があった。

労働者は解雇は違法かつ不当行為に該当するとして、労働契約上の地位の確認と慰謝料の支払いなどを求め裁判を起こした。

判例のポイント

男女雇用機会均等法第9条4項は、出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効と定めている。ただし、事業主が解雇は妊娠・出産などを理由としたものではないと証明できた時はこの限りではないとしている。

今回の判例のポイントは、解雇の理由が妊娠・出産ではなく別の原因により解雇に至った事を法人側が証明できるか否かでした。事業主は解雇は労働者が園長に対して不適切な言葉を繰り返し、職場環境を著しく悪化させたことが理由だと主張した。園児にまで悪影響を及ぼしており解雇に代わる有効な手段はないと強調している。

しかし裁判所はこの主張に対し、労働者が保育方針や決定に対し園長に対して意見をしていたことは認めるが、指示に従わず批判的な言葉を繰り返した事実はなかったと評価している。その結果、法人側の主張に対し「妊娠・出産を理由としない解雇であると証明できていない」と退けている。

嫌がらせ型のマタハラの事例

男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法では、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、事業主に防止措置を講ずることを義務付けています。

労働者個人の問題として片づけるのではなく、雇用管理上の問題と捉え適切に対応することが求められます。以下、厚生労働省が職場でのマタハラの事例として紹介している典型的な例になります。

マタハラの典型的な例

・産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みをとるなら辞めてもらう」と言われた。

・時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。

・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。

・上司や同僚から「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」や「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し言われた。

・上司や同僚が「自分だけ時短勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ」と繰り返し言われ、就業するのに支障が生じる状況となっている。

【出典 厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部】

ひと昔前であれば大きな問題にならなかったような会話も、ハラスメントに繋がる可能性があります。言動に注意することはもちろんのこと、育児と仕事の両立についての考え方も変えていく必要がありそうです。

今回のまとめ

日本の社会において、数十年前まで専業主婦が一般的であり、女性は家庭を守ることが第一とされてきました。未だに妊娠や出産で育児休業を取得することで会社での昇進などにマイナスの影響を与える事もあります。しかしそのような考え方は、時代の流れにより少しずつ変化してきています。先日、厚生労働省は男性の育児休業取得促進のため、育児休業取得の枠組み創設と育児休業を取得しやすい雇用環境整備などを進めるために、育児・介護休業法改正案を通常国会に提出しました。

使用者に妊娠・出産の申し出をした労働者への育児休業制度の周知と取得意向の確認を義務付ける事などが盛り込まれております。近い将来、女性の育児休業取得だけでなく男性の育児休業取得が当たり前になる時代が来るかもしれません。男性の育児休業取得を拒否して労働裁判などに発展してしまう可能性もあります。

今後、企業にとって必要なことは男性女性で判断せずに、皆が活躍できる新しい職場環境の構築を目指していく事だと思います。

 

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