名古屋市の損害保険・生命保険代理店なら保険ポイント「お知らせ・コラム」ページ

お知らせ・コラム

経営者様必見!職場で役立つ最新の労働判例をご紹介します

経営者様必見!職場で役立つ最新の労働判例をご紹介します

企業経営者の皆様が日々の経営の中で起こり得るリスクやトラブルについて、これまでコラムでも様々なお話をさせていただきました。今回は、最近の労働判例をご紹介することで、経営上気を付けるべきポイント、昨今の労働問題の傾向などを理解していきたいと思います。

【目次】

1.行方不明者として自然退職扱いされた従業員が地位確認訴訟を提起

2.国籍を誹謗中傷された社員が会社に損害賠償請求した事例とは

3.社内公募留学、帰国後すぐに退職。会社は負担した費用を返してもらえる?

4.今回のまとめ

 

行方不明者として自然退職扱いされた従業員が地位確認訴訟を提起

事件のあらまし

企業Aは、Bを雇用し介護施設の機能訓練指導員として給与24万円を支払っていました。しかしその後Bが同僚にセクハラをはたらいたとして、企業AはBの業務を介護一般職に変更しそれに伴い、給与も6万減となりました。それに腹を立てたBは、翌日より無断欠勤を繰り返し、企業Aが電話や訪問などをするも14日以上連絡が取れなくなりました。企業Aの出勤の督促にBが応じなかったため、同社は就業規則にある「14日以上連絡が取れず、解雇手続きをとらない時は14日を経過した日を退職とする」という規定に従い、Bを自然退職としました。それに対しBが自分の地位確認の訴えを起こしました。

【判決の要旨】

東京地裁は、Bの地位確認請求を認め(一部容認)よってBの退職扱いは無効となりました。14日以上連絡が取れなかったという企業Aの主張ですが、実際はBからは無断欠勤の3日後に「休暇等届」と題すファックスと、次月の勤務シフトをメールで送るように請求があったこと、さらに無断欠勤から1週間後にはメールにて再度休職の申し出や今後のやりとりは全てメールで行いたいという要望があったことから、「14日間まったく連絡をとれなかった、行方不明であったとはいえず、雇用契約は当然には終了していない。よって自然退職は認められない」という判断のようです。

会社としては困った社員であっても、ただ連絡が取れないというだけでは就業規則の退職要件をきちんと満たしているといえず、安易に退職させることは難しいという一例ですね。

国籍を誹謗中傷された社員が会社に損害賠償請求した事例とは

事件のあらまし

C企業の従業員であるD(外国籍を有する者)が原告として会社を訴えました。従業員として勤めていた2年間の間、C企業は教育の一環と称して、外交問題を主題とし、特定の国家や政府関係者を強く批判したり、在日を含む外国籍や民族出自を有する者に対し「死ねよ」「嘘つき」「野生動物」などと激しい人格攻撃の文言を用いて侮辱したりしました。さらに「それに比べて日本人は素晴らしい」などと日本国籍やその民族出自を賛美して優越性を述べたりするなどの文書を会社内で繰り返し配布し、原告Dの上司である本部長はDだけでなくDの家族にもその文書を読ませるように強要したとのことです。原告Dは、外国籍を持つ社員の法的権利が損なわれ、また差別的扱いを自分たちも受ける恐れがあるとし、会社が人格的利益を侵害しているとし損害賠償を請求しました。

判決の要旨

裁判所は、会社で教育の一環と称してそのような行為が日常的かつ反復継続して行われることは、外国籍をもつ従業員が国籍による差別的取り扱いを受けると恐れるのはもっともであるとし、原告の訴えを認め、会社に損害賠償の支払いを命じました。

本件は、企業の思想や政治的信条に関連した言動が問題となった事案ですが、本件のように特定の従業員に対して向けられた言動でなくても職場における労働者にとって心の静謐が乱される状況(環境的ハラスメント)は生じる可能性があります。それが直ちに違法となるわけではありませんが、企業の職場環境を整える必要性を喚起させる事案であるといえます。

社内公募留学から帰国後、すぐ自己都合退職された。会社は負担した費用を返してもらえる?

事件のあらまし

証券会社Mは社内公募制度で海外留学制度を設けています。留学先はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなどで学費や渡航費、現地での生活費、家賃などを全て会社が負担します。進学先はMBA(経営学修士)を取得できる大学やロースクール、公共政策大学院などで、会社での自身の将来的なキャリアを踏まえて応募することになっていました。同社で働く従業員Fはこの公募制度を利用し候補生に選抜され、2年間アメリカの大学院で学んだ末にMBAを取得しました。しかし帰国後同社の業務に復帰し3か月がたったころ、Fは突然自己都合により証券会社Mを退職し、同業他社に転職しました。

証券会社Mは留学中に同社が負担した費用約3000万円を返還するようにFに求めましたがFが拒否したため訴訟に移行しました。

同社は「帰国後5年間以内に自己都合退職をした場合は留学費用の一切を返還する必要がある」とガイダンス等で説明済みであり、かつ誓約書に署名捺印していることを主張し、対してFは、返済義務を負う可能性のある金額の目安や上限が定められておらずその誓約書が無効であると争いました。

判決の要旨】

裁判所は「帰国後5年間勤務した場合に返済を免除する特約が付いた消費貸借契約」が成立していると判断し同社の請求を認め、元従業員Fに3000万円の支払いを認めました。

 

こういったトラブル防止のためには、留学研修後の早期退職の場合における費用等の返還範囲、返還方法、上限規定などについて明確かつ合理的な規定を整備したうえで、これらに基づく自由意志での自発的な申し込みであることを書面で具体的に明らかにしておく必要があります。

今回のまとめ

近年労働問題、労使問題が訴訟に発展する割合は飛躍的に増えており、今後もこの流れはとまることはないでしょう。こういった解雇トラブルやハラスメントトラブルが起こってからでは、企業としてダメージは免れません。裁判にかかる費用や労力、賠償金支払いの資力など、企業側の準備はできていますか?私たち保険会社が取り扱う雇用慣行賠償責任補償では、いざというときの弁護士など専門家への相談、賠償責任が生じた際の損害賠償金、争訟費用など、雇用にまつわるトラブルへの対処をしっかりすることができます。もっと詳しく話を聞いてみたいという方は、ぜひお近くの保険代理店などでご相談ください。

 

雇用リスクに関する保険をお探しの方はいらっしゃいますか?株式会社保険ポイントでは保険専業プロ代理店として主に法人様、個人事業主様の保険を取り扱っております。経験豊富な弊社スタッフがわかりやすく丁寧にご案内します。どんなことでもお気軽にお問い合わせください。

TEL>052-684-7638

メール>info@hokenpoint.co.jp

 

お電話でもメールでもどちらでもお待ちしております。