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高血圧や糖尿病を有する従業員の病気労災の実例とは

高血圧や糖尿病を有する従業員の病気労災の実例とは

労災の認定基準では、高血圧や糖尿病などの持病などのリスク要因を有する従業員が「業務上の過重負荷」を受けたことによって発症した脳・心臓疾患は業務上の疾患として取り扱うとされています。業務上の過重負荷の基準は以下の3つがあり、

1.発症直前から前日までの間において「異常な出来事」に遭遇したこと

2.発症に近い時期(発症前おおむね一週間)において特に過重な業務に就労したこと

3.発症前の長時間(概ね6ヵ月間)わたって著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

病気労災の判例として、長時間労働の事例が取り上げられるケースが多いですが、その中でも今回は「1」の業務上の異常な出来事によって労災認定がおこなわれた事例についてご紹介していきたいと思います。

【目次】

1.基礎疾患(高血圧症・糖尿病症)を有するタクシー業務員の脳出血発症と業務起因性

2.熱中症や冷凍コンテナ内作業の労災認定

3.今回のまとめ

 

基礎疾患(高血圧症・糖尿病症)を有するタクシー業務員の脳出血発症と業務起因性

事案の概要

タクシーの乗務員として会社Aに勤務していた50代男性のXが運転していた車両が吹雪による吹き溜まりに埋まり走行不能となったことから、車両を脱出させるために除雪作業を行った。温暖な車内から気温がマイナス4度前後、最大瞬間風速毎秒20M前後の吹雪の中に3度出て、十分な防寒着も除雪道具も無いまま合計45分程度の除雪作業を行った後に脳出血を発症し労働することが出来なくなった。労働者災害補償保険法と労働基準法に基づき国に対して労災保険給付の請求を行ったものの、「業務上の疾病」と認められず不支給と判断されたため、その取消しを求めて提訴した事案です。

判決のポイント

ポイント①異常な出来事に該当するのか?

厚生労働省労働基準局長通達・平成13年12月12日「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」に基づいて、脳や心疾患の業務起因性の労災給付の判断は行われます。

今回のタクシーの運転手の遭遇した事故と除雪作業が、労災の認定基準の判断において冒頭で述べた発症直前から前日までの間において「異常な出来事」に遭遇したことに当てはまるか、否かが一つ目のポイントとなります。

事故前後の気象状況は通常の業務や日常生活において遭遇することが稀な異常な災害とみとめられ、X氏に強い精神的負荷がかかり除雪し脱出する作業を余儀なくされたことで相当程度に強い身体的負荷がかかったとも認められる。よって今回の事故及び除雪からの脱出作業は労災の認定基準でいう「異常な出来事」と認められた。

ポイント②業務による過重負荷と疾病の間に相当な因果関係があるのか?

判例では、高血圧や糖尿病等の私的リスクファクターの状態からすると本件事故当日までにはX氏の脳の細動脈の状態が一定程度悪化していたことは推認できる。しかし自然の経過により血管が破綻する直前まで進行していたとみることは困難であるとして、「疾病は本件事故及び脱出作業によってX氏の血圧が急激に上昇し、脳の細動脈の血管病変が自然の経過を超えて著しく増悪した結果発症したと認められる」としてX氏の脳出血と業務上の異常な出来事との間に相当の因果関係があると認めた。

【札幌地裁平成29年5月15日判決】

熱中症や冷凍コンテナ内作業の労災認定

異常気象下での作業による労災認定

外気温よりも20度前後低いコンテナ内に入って、積荷の積み替え作業を開始したことによって血圧が急激に上昇したとし、低温環境下での作業が心臓疾患の発症要因であるとしました。したがって会社としては防寒衣類の着用、連続作業時間中の採暖、寒暖差がある場所への出入りの頻度などの具体的な状況によっては、可能な限り寒暖差を減らす措置を講じなければならないことになります。

熱中症での労災認定

暑熱環境下でも類似の判断がなされた裁判例があります。これは気温が30度を超え湿度が高い環境下での玉掛け作業は精神的にも肉体的にも相当の負担を伴うものであるとして、致死性不整脈による死亡との因果関係を認めたものです。

したがって会社としては、熱中症予防対策も兼ねて、水分補給や定期的な休憩を取らせるようにし、作業時間を減らすなどの配慮をすることが必要です。

今回のまとめ

ご紹介した事例のように、業務中の温度変化や特殊な環境や想定外の出来事で身体や精神に負荷がかかり、持病の悪化や脳・心疾患が発病し病気労災の認定を受けることがあります。温度変化以外にも「異常な出来事」の例として極度の心理的負荷がかかるようなハラスメントを受けた例や目の前で同僚が亡くなる悲惨な事故を目撃した例などが挙げられます。

健康診断などを利用し従業員さんの個々の健康状態を出来る限り把握し、通常よりも過酷な状況下での作業が想定される場合は、休憩を頻繁に取ったり服装や作業時間帯なども工夫し会社として最大限の努力が必要とされます。

 

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