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【名ばかり管理職は居ませんか】該当者がいないか注意しましょう
管理職と聞けば、聞こえは良いかもしれませんが、それが『名ばかり管理職』だったばあいは大変な注意が必要です。近年、会社独自の基準や判断で、「管理職扱い」されているのにも関わらず、待遇も変わらず残業代も支払われないという問題での労働者からの告訴の事例もあがってきています。経営者としては避けなくてはならない「名ばかり管理職」。意識は無くてもついつい任命してしまっている!?なんてことはないでしょうか。
【目次】
1.名ばかり管理職とはどういうものか
2.名ばかり管理職で残業代145万円の不払いによる送検事例
3.名ばかり管理職を見分けるチェックリスト8項目
4.名ばかり管理職に当てはまる方がいるときの対応手順
5.今回のまとめ
名ばかり管理職とはどういうものか
「名ばかり管理職」とは、労働基準法等で定められた管理監督者としての要件を満たさないにも関わらず、会社独自の基準で「管理職扱い」されてしまっている人のことを指します。特にここ最近では、「働き方改革」の流れで残業削減がうたわれている中ですので、この「名ばかり管理職」という問題に対して、より情報感度も高まっている経営者の皆様も多いことでしょう。
名ばかり管理職で残業代145万円の不払いによる送検事例
では実際に名ばかり管理職と任命され、残業代の不払いによる送検事例を見ていきましょう。
労働者の告訴で発覚となった「名ばかり管理職」の残業代計145万円の不払いによる送検事例
長野・松本労働基準監督署は、労働者一人に計145万円の残業代を支払わなかったとして、R社と同社の代表取締役を書類送検した。同社は自動車販売・製造業を営んでいる。その社長はH28年7月16日からH29年12月15日までの間、労働者の一人に対し、時間外労働に対する割増賃金の計145万288円を所定の支払日に支払わなかった。同社はその労働者を管理監督者として扱っていた。待遇としては年俸制で他の労働者より少し高くなっていたが、出退勤の自由や経営の重要事項への関与などの要件から照らし合わせると、管理監督者とはいえなかった。同社は36協定の締結や届出もしておらず、違法な時間外労働も認められた。その社長は「管理監督者であり支払う必要がないと考えていた」と供述している。
※労働新聞社 記事参照
36(サブロク)協定とは何か
ちなみに36協定とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。労働基準法第36条により、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働および休日勤務などを命じる場合、労働組合などと書面による協定を結び労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。これを一般的に「36(サブロク)協定」といいます。また、この届出は、労働者がたった一人であっても届け出が必要です。万一「36協定届」を労働基準監督署に届け出ずに労働者に時間外労働をさせた場合、労働基準法違反となるので注意しましょう。
名ばかり管理職を見分けるチェックリスト8項目
まずは管理監督者とはどのようなものか、該当する4つの要件をみていきましょう。
「管理監督者」に該当する4つの要件とは
法的な管理監督者の要件をまとめると、下記の4点をおおむね満たしていることが必要となります。
1.経営者と一体の立場にあり、企業全体の経営に関与していること
2.採用や、部下に対する人事考課などの権限を持っていること
3.出退勤について管理を受けていないこと
4.賃金面で、その地位にふさわしい待遇を受けていること
以上の4点を満たさないにも関わらず名目上「管理監督者」として扱われてしまう場合、「名ばかり管理職」であると考えられるでしょう。
では、より具体的に、「名ばかり管理職」の疑いがある場合、社内で下記のチェックリストを通して、自分が該当しているものが無いかどうか、ぜひ確認なさってみてください。
・自分の店舗内や支店内の意思決定はできるが、本社の経営方針には口出しができない
・経営者からのトップダウンの指示を部下に伝えるだけである
・採用の一次面接は行うが、採用の決定は自分より上の上司や経営者がおこなっている
・実務上のリーダーではあるが、部下の評価や人事異動に関与はしていない
・決まった時間に出社する必要があり、決まった時間になるまでは退社できない
・始業時刻に遅れたら賃金から遅刻控除されてしまう
・残業代をもらっている部下のほうが賃金の総支給額が多い
・役職手当が付いていても、5千円や1万円など少額である
以上のいずれかに当てはまると「名ばかり管理職」の疑いがあり、もし半分以上当てはまる場合はほぼ間違いなく「名ばかり管理職」であると考えられるでしょう。
「名ばかり管理職」に当てはまる方がいるときの対応手順
もしもご自身の会社のなかに「名ばかり管理職」に該当する方がいるときには、しっかりと当人と向き合って話し合いましょう。万一にも会社が聞く耳をもってくれないとなると、当人は労基署や弁護士へ相談し、労働信販や訴訟を提起する流れになってしまう場合もあります。早め早めの対応が、優秀な人材の確保に繋がります。また、最悪のケースに備えて雇用リスクの保険に加入しておくと安心です。セクハラ、パワハラ、不当解雇に関わる問題に対して弁護士費用や賠償金の準備をすることが可能となります。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。身近なところに「名ばかり管理職」というのは発生してしまうかもしれません。もしかしたらそれは経営者として、その方への将来への期待のあらわれであったり、乗り越えてほしい試練だったりかもしれませんが、重要なのは当人の気持ちです。心のすれ違いを起こさぬためにも上記のチェックリストを参考に見直してみるのも良いのではないでしょうか。
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