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企業の抱える雇用リスクは計り知れません。事例をもとに考えましょう

企業の抱える雇用リスクは計り知れません。事例をもとに考えましょう

近年、仕事やプライベートなどに問題を抱えてうつ病に罹患してしまう人が増加傾向にあります。さらに新型コロナの影響により誰にも相談できず一人で業務上の問題を抱え混んでしまう方も多いようです。ブラック企業などの社会問題などの背景もあり、時間外労働や休日出勤などに対しての法整備もすすみ職場環境は改善に向かっておりますが、依然として多くの問題を抱えております。

今回は実際にうつ病に罹患した社員を退職勧告した結果、安全配慮義務違反に問われてしまった事案をもとに、労務トラブルの問題点とそれに対応する民間の保険についても触れていきたいと思います。

【目次】

1.退職勧奨が安全配慮義務違反に

2.判決の要旨と損害額

3.雇用慣行賠償責任保険と使用者賠償責任保険

4.今回のまとめ

 

退職勧奨が安全配慮義務違反に

事件の概要【うつ病を罹患】

被告A社は官公庁などからの受託調査研究、業務委託、経営コンサルティングを主な業とする会社である。原告X氏は大学院修士課程在学中にアルバイトで被告A社に勤務した後に平成8年4月1日に被告A社に正社員として採用された。

X氏は、平成18年1月に「廃プラスチック類に係る資源環境情報詳細調査業務報告書」をまとめあげた際に、細かい数字の積み上げや処理状況の推測などが非常に時間のかかる作業で長時間労働が常態化しその結果、平成18年1月20日にうつ病に罹患した。

労基署に労災申請をし平成26年1月31日に業務上疾病として労災認定を受けた。

うつ病後の給料の減額から退職まで

A社はX氏がうつ病に罹患したとして休業し、平成18年11月に復職してから平成26年5月に休職するまでの間、基本給と主任加給を合計額の半分に減額した。また。平成26年6月からは休職となり無給となっている。

X氏は労災認定をされた後、不当に給料を支払わなかった事実、共済掛金を納付しなかった事実、A社が退職を迫った事実があるとして損害賠償請求を提訴した。

判決の要旨と損害額

うつ病の労災認定の妥当性

労基署はX氏の主治医の意見書などの内容を検討しⅩ氏の業務上の心理負荷は総合評価すると「強」となると判断した。X氏に発病した精神障害は業務による心理的負荷が主要な要因として認められると判断した。

給与の減額と出勤状況

X氏は平成18年の1月に復職した際に給与が基本給と主任加給の合計額の半額に減額されている。これは勤務日数が制限されたことや勤務時間についても午後出勤などを調整していたので、その勤務日数や時間に応じて給与を減額することは理解できる。しかし平成21年2月以降は、徐々に勤務日数が増加していき就業時間が半減していたとはいえないにも関わらず、給与を一律に半減し続けておりそこに合理的理由は見いだせない。

また中小企業退職金制度についてもX氏分の掛金が30月未納になっており、A社が納付しなかったことを正当化する法的な根拠などは一切ない。

退職勧奨

平成23年にX氏は上司から退職を勧められており、主治医に相談している。さらに平成26年11月にA社がX氏に出した辞令には、休業期間を延長する事と併せて休業期間満了時には自然退職とする旨が記載されており、A社がX氏に対して退職させたいと考えている意思が伝わってくる。

損害額の判決

➀昇給が遅れた分の損害について

うつ病の罹患により勤務日数や勤務時間が減少した結果、X氏の評価はうつ病にならなかった場合と比較して低くなっていたと推認される。よって本来のペースで昇格出来なかったことは明白であるため、損害額は1000万円と認定された

②給与自体の減額

給与自体の減額についても、うつ病の発症の原因が業務に起因しているためX氏の勤務時間が減少したことも会社に責任があると考えられる。その結果、約2127万円の損害額が認められた。

③退職を迫った点

A社による安全配慮義務違反による精神的苦痛を慰謝する費用として損害額30万円が認められた。

A社は合計約3157万円の損害額の支払いを命じられる判決が出ました。数年前の判例という事もあり、法的根拠があいまいな部分も認められる判決との事で、損害額はかなり従業員側に有利な判決になっているとの見解もあるようです。

※労働新聞参照

雇用慣行賠償責任保険と使用者賠償責任保険

上記のような事例の雇用トラブルに対応する保険としては、雇用慣行賠償責任保険と使用者賠償責任保険などで対応することが出来ます。

雇用慣行賠償責任保険

セクハラやパワハラ、不当解雇などで従業員と会社が業務上の待遇や職場環境などをめぐってトラブルが発生し、会社が従業員により訴えられた時に対応できる保険になります。

例えば、パワハラを受けた従業員が弁護士や社労士さらにユニオン(労働組合)などに依頼しそこから訴状が届いた場合に会社側の弁護士費用や和解に向けた慰謝料などに備える保険になります。

ただし未払い賃金や未払いの残業代や退職金など本来会社が払わなければならない賃金は補償の対象外となります。

※詳しく保険会社のHPなどでご確認ください

使用者賠償責任保険

労災事故などで従業員の身体に損害が発生した場合に、会社が労災事故に対しての慰謝料や逸失利益を請求された場合の損害賠償に備える事が出来る保険になります。

死亡案件や業務が原因で両目の失明や常時介護が必要になるような重大な事故が発生した場合には1億円を超えるような損害賠償を請求されるケースもあります。

今回のうつ病の事案では、業務が原因でうつ病を発症という身体障害が発生しているので使用者賠償責任保険も補償の対象となっております。

今回のまとめ

近年では徐々に労働法の改正がすすみ、ますます労働者を守る法律が増えてきております。

一歩間違えればどの企業でも訴訟に発展するような雇用トラブルが発生する可能性がございます。当然、保険に加入したり弁護士と顧問契約を結ぶなどの対応も必要かと思いますが、一番大切な事は、従業員が生き生きと活躍できる職場づくりかと思います。

時代の変化に合わせて従業員の満足度や充実感が高まる会社を目指して、同時に業務効率や生産性も向上していければ良いですね。

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