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自宅で火災が発生!延焼した隣家への賠償責任と補償

大分県で2025年11月に発生した大規模火災の報道は記憶に新しいと思います。180棟以上の建物に延焼し、死傷者もでています。このような火災事故は全国各地で発生しており、愛知県内、名古屋市内でも発生しています。自宅で発生した火災が隣家に延焼し、損害を与えてしまった時の損害賠償責任について気になっているという方も多いのではないでしょうか?今回は、自宅が火元となった場合の責任と補償に関する情報を提供させていただきます。
【目次】
1.法律上の賠償責任と補償
2. 会社が火元となったケースはどうなる?
3. 今回のまとめ
1.法律上の賠償責任と補償
火災の原因トップ5は「たばこ」「たき火」「コンロ」「放火」「電気機器」となっており、ここ数年順位に変動はありません。最近はリチウムイオン電池搭載製品(特にモバイルバッテリ-)からの出火も急増しているため、火災事故の加害者になる可能性は今まで以上に高まっているのかもしれません。では法律上の責任はどうなっているのでしょうか。自宅が火元となり、近所の住宅建物や家財が類焼してしまった場合でも、故意または重大な過失がなければ「失火の責任に関する法律」により、その損害について法律上の賠償責任を負わないとされています。
失火の責任に関する法律
民法709条の規定※は、失火の場合にはこれを適用せず。但し、失火者に重大な過失ありたるときはこの限りにあらず。 ※「不法行為による損害賠償」の規定
これは「失火法」と言われています。この「失火法」により法律上の賠償責任が生じなかったとしても、隣家を燃やしてしまったり、消火活動により隣家に水漏れ損害を与えてしまった場合に「お詫び」や「お見舞い」だけで済ますことは難しいというのが現実です。さらに「失火法」があるからといって全ての火災事故について法律上の責任を負わない、という訳ではありません。出火原因に重大な過失があった場合は、隣家の損害について法律上の賠償責任を負担する必要があるのです。火災保険は基本的に所有する建物や家財の損害を補償する保険です。火災保険に加入していても、隣家の損害までは補償されません。ここで隣家に損害を与えてしまった場合に備えることができる火災保険の特約を紹介させていただきます。
類書損害特約
自宅からの出火により近所の住宅建物や家財が類焼し、類焼先の火災保険で充分に復旧できない場合、法律上の賠償責任が生じないときであっても、修復費用の不足分を補償することができる特約です。
個人賠償責任補償特約
住宅の所有・使用・管理、または日常生活に起因する偶然な事故により、他人にケガをさせたり他人の物に損害を与えたことによる法律上の損害賠償責任を補償する特約です。
※AIG損保「AIGの火災保険 類焼損害特約/個人・受託品賠償責任補償特約(国内補償)」ちらしより
これらは火災保険の特約として付帯できますが、個人賠償責任特約については自動車保険や傷害保険などの特約で備えることも可能です。火災事故を発生させないように注意を払うことに加えて、思いもよらず加害者になってしまったときに最悪の事態を回避するためには備えておくべき補償と言えるかもしれません。
2.会社が火元となったケースはどうなる?
中華料理店で火災が発生し、強風により周囲の建物に次々と燃え広がり140棟以上の家屋を焼失させ、莫大な損害を発生させたという事故は10年以上経った現在でも記憶に残っている、という方は少なくないのではないでしょうか。火元が会社であっても「失火法」は適用されますが、火元に「重大な過失」がある場合は適用されません。過去に重大な過失として認められた事例には、
油を使った調理中の放置
寝たばこ
石油スト-ブのそばに蓋のない容器に入ったガソリンを置いた
などがありますが、法⼈は個⼈よりも「重⼤な過失」が厳しく問われる傾向があり、失⽕法が適⽤されずに賠償責任が発⽣する可能性が個⼈と比較すると⾼くなっています。特に爆発が原因の場合、失火法は適用されません。過去に大量のスプレ-缶が爆発した事例もありますので、業種を問わず備えておく必要があるのです。
また、火災や爆発が発生したものの近隣に物理的な損害を与えていないという場合でも、近隣が店舗や施設であれば営業を妨げることとなり利益喪失を発生させる可能性もあります。賠償責任保険では、このような財物の損壊を伴わない使⽤不能による逸失利益や事業中断について、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害も補償されます。建物や設備什器といった財物への備え(火災保険)だけでなく、第三者に対する賠償責任への備え(賠償責任保険)も同時に備えておくことをお勧めいたします。
※AIG損保「事業倍書・費用総合保険パンフレット」より
3.今回のまとめ
リチウムイオン電池搭載製品(特にモバイルバッテリ-)による火災は過去最多となっていることからも、自宅や会社また自分自身が火元となり、近隣の住宅や店舗・施設へ損害を与えてしまう可能性は全くない、とは言い切れなくなってきています。加害者となってしまった場合に備えて、個人としては火災保険に「類焼損害特約」や「個人賠償責任保険特約」を付帯する、事業者としては火災保険「類焼損害特約」を付帯することに加えて、賠償責任保険へ加入しておく、といった対策をしておくと安心です。とはいえ、ここ最近は保険に加入していても補償しきれないほどの損害を発生させる大規模な火災に発展したケースも多く見られます。保険への加入だけでなく、適切な保険金額を設定しておくことも重要です。この機会に現在加入している保険の補償内容を見直してみてはいかがでしょうか?
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