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PL保険だけで大丈夫?リコールに対する備えについて

PL保険だけで大丈夫?リコールに対する備えについて

小林製薬(大阪市)の「紅麹」成分入りサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で厚生労働省と大阪市は2024年3月30日午前、食品衛生法に基づき、紅麹原料を製造した同社の大阪工場に立ち入り検査を始めました。紅麹原料から検出された天然化合物「プベルル酸」が原因の可能性があり厚生省と市は製造工程を詳しく調べ原因の究明を進めるとのことです。同社によると29日時点でサプリ「紅麹コレステヘルプ」を摂取した5人が死亡、114人が入院し約680人が通院(予定を含む)しています。これまでの調査で23年4月~10月に製造したサプリ用の紅麹原料に健康被害に繋がる可能性がある「未知の成分」が含まれていました。未知の成分について同社と厚生省は29日「プベルル酸」とみられると公表しました。(読売新聞オンライン 2024年3月30日)

 

【目次】

1.PL保険だけで大丈夫?

2.食品リコール(自主回収)情報の届出義務

3.今回のまとめ

 

PL保険だけで大丈夫?

紅麹サプリの問題がニュースとなっておりますが、食品、化粧品、医薬部外品の製造や販売を扱う企業の備えとしてPL保険に加入するだけで大丈夫なのでしょうか?一般的にPL保険と呼ばれる国内賠償保険では、被害者から請求された損害賠償金や訴訟に要した費用などは補償の対象となりますが、製品の回収に要した費用などはPL保険では補償の対象とならない可能性が高いです。リコールリスクに関しては別途、補償を準備する必要があります。

リコールリスクに対する備え

一般的に生産物品質補償では下記の費用に備える事が出来ます(保険会社により補償内容が異なる場合もあります)

・回収に要した費用

・喪失利益

・事態収束後に出す安全宣言の費用

・代替品を製造・供給するために発生した残業代等

・専門家への相談費用、検査分析の費用等

・争訟費用

こんな事態に備えます

・第三者による異物混入事故

第三者(従業員を含みます)の害意ある行為により、生産物に対して異物混入脅迫が行われた場合、または異物を混入されたもしくはその恐れがある場合に備えます

(例)販売している菓子に毒物を混入したという脅迫電話があり至急回収することになった

・偶然な汚損事故

製品規格書等で含有を予定していない物質の混入や含有が禁止されている物質等の偶然な異物混入、食品のポジティブリスト違反、食品への食中毒菌の混入が発生した場合に備えます。

(例)提供した食材にブドウ球菌がみつかったこのままだとお客様が食中毒になりそうだ

(例)工場のラインで輪ゴムが誤って食品に紛れ込んだことが判明し、社告を掲載し、回収することになった

・生産物の容器・包装および表示の瑕疵による事故

賞味期限等の誤表示・表示漏れ、成分等の誤表示・表示漏れ・法令等に定める場合の表示順序の誤り、容器・包装とは異なる内容物の封入・梱包、健康被害を生じさせる容器・包装の瑕疵、容器・包装のポジティブリスト違反が発生した場合などに備えます。

食品リコール(自主回収)情報の届出義務

018年に食品衛生法及び食品表示法が改正され、2021年6月1日から食品リコール(自主回収)を行う場合、食品衛生法及び食品表示法に基づきリコール情報を行政へ届出することが義務化されました。それにより食品等の自主回収(リコール)に関する情報を一元的にシステムで確認できるようになりました。リコール情報を消費者へ速やかに提供し対象食品の飲食を防止し、健康被害の発生を防ぐとともに行政機関によるデータ分析、改善指導を通じ、食品衛生法、食品表示法違反の防止を図ります。(愛知県HP参照)

食品衛生法違反又は違反のおそれのあるもの

(例)

・腸管出血性大腸炎に汚損された生食用野菜、ナチュラルチーズなど加熱せずに飲食する食品

・シール不良等により、腐敗、変敗した食品

・硬質異物(ガラス片、プラスチック等)が混入した食品

・一般細菌数や大腸菌群などの成分規格不適合の食品

・添加物の使用基準に違反した食品など

食品表示法違反のもの

(例)

・小麦粉を使用しているにもかかわらず、「小麦」のアレルゲン表示が欠落した食品

・消費期限について、本来表示すべき期限より長い期限を表示した食品など

今回のまとめ

2000年の雪印の低脂肪乳を飲んだ人が次々に食中毒を起こした事件や、2011年に5人が死亡した焼肉チェーン店の集団食中毒事件、そして今回の紅麹の問題など食品による健康被害が重大な社会問題に発展することがあります。食の安全を守るために、食品を扱う企業は製品管理や消費期限の管理、原材料はもちろん梱包する容器にまで細心の注意を払っています。そのため、かび臭かったり、些細な匂いの変化や変色などがあれば、健康被害がでていなくても自主回収の対象となります。大手企業だけでなく、中小零細企業でも全国に商品を展開している企業では、自主回収となればかなりの費用負担となります。またスーパーなどの取引先や一般の消費者の信頼を失わないためにも、万一、販売した食料品等に異変が発生した場合には速やかに対応する必要があります。リコール(自主回収)に備える補償について気になる方は是非、お問合せ下さい。

 

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