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ハラスメントによる訴訟の事例と雇用リスクの保険について

ハラスメントによる訴訟の事例と雇用リスクの保険について

会社を成長させるためには優秀な人材の確保が必要です。一方雇用に関するトラブルは日々多数発生しています。今回は高松刑務所で起きたハラスメントによる訴訟の事例を参考に、雇用リスクの保険について取り上げていきます。

【目次】

1.女性刑務官が受けたハラスメントについて

2.雇用に関するトラブルにむけた雇用リスクの保険の準備とは

3.今回のまとめ

 

女性刑務官が受けたハラスメントと消滅時効の起算点について

高松刑務所で起きた訴訟事件を取り上げます。※安全スタッフ参照 原告Xは、高松刑務所の女性刑務官(法務事務官看守部長)であったが、上司であるC(女)からパワハラを受け、また、刑務所の処遇部門における首席矯正処遇官であったB(男)からセクハラを受け、その結果うつ病を発症したとして主張し、被告国(Y)に対して、国家賠償法1条1項による損害賠償請求、安全配慮義務違反による損害賠償請求をした事案です。一審判決(徳島地裁令和2年4月)は、Xの請求が消滅時効にかかっているとして、Xの請求を棄却しました。本件はその訴訟審判決です。

判決の要旨とは

1.上司Cによるパワハラ行為

拘置区女区でXと一緒に仕事をしていたCは、女子用の更衣室などで、Xに会うたびに「私はお前の事嫌いやけん」とか「話しかけるな、質問するな、見て覚えろ」などと、きつい言葉で申し向けたり、手を組んで、仕事をしているXに対し、「お前、出来てないから」などときつい言葉を投げかけたりしました。さらにXは、平成25年11月22日の執務時間中に、Cから小部屋に呼び出されて、「私仕事せんやつ大嫌いやけん。お前は刑務官の服を着たお人形さんや。今は新人やけん許されるけど、ちゃんとやらんかったら見捨てられるぞ」などと約30~40分間にわたり、罵倒されたことが認められました。しかしながら、Xの仕事の能力や勤務態度に大きな問題があったという指摘は、Cがほぼ一方的に証言しているにすぎず、これを裏付けるような確たる証拠はなく、かえってXはこれまで処分を受けたことはもちろん始末書を書かされたり、能力不足や勤務態度不良を理由として研修を受けさせられたりしたこともありませんでした。そうであるにもかかわらず、このような叱責方法は、具体的にXの仕事の問題点を指摘して改善を求めるという指導ではなく、男性職員が仕事をしない女性職員を揶揄する「お人形さん」との言葉を用いて、一方的にXを侮辱し、責め立てるもので、時間的にも約30~40分と常軌を逸した時間であり、指導の域を超えたいわゆるパワハラ行為あるいはいじめに当たり、違法であるといえます。

2.Bのセクハラ行為について

平成25年12月20日に行われた刑務所柔道部の忘年会の二次会の帰り道に、BはXの手を握って歩き、また、Xを抱きしめ「こんな気持ちになったのは初めてだ」と述べて頬に一回キスをするなどの行為を行ったこと、Xは、Bのそのような行為に驚き、精神的に混乱したが、その後も、Xの手を握ったままXを自宅付近まで送ったことが認められます。国賠法1条1項の「職務を行うについて」とは、公務員の職務執行行為そのものではなく、これと密接に関連を有する行為も含まれると解されるところ、本件については、本件セクハラ行為が刑務所柔道部の忘年会の二次会の帰路に行われたもので、忘年会自体は柔道部所属の刑務所職員相互の親睦を図る目的で開催されたことは明らかであり、二次会も、当時特にXと交際していたわけでもないBが忘年会の延長線上で、部下でもあるXを誘ったものであって、私的な飲み会ということはできないから、二次会の帰路にされた本件セクハラ行為は、職務の遂行に密接に関連する行為として、「職務を行うについて」されたと認めるのが相当です。

3.消滅時効の起算点

不法行為による損害賠償請求権の時効の起算点は、「被害者が損害を知った時」であるところ(国賠法4条、民法724条)、これは被害者が損害の発生を現実に認識したときとされる。これを本件についてみるに、Xは、本件パワハラ行為および本件セクハラ行為が相まってうつ病を発症し、それがY(国)の安全配慮義務違反によって、より悪化して、平成27年4月7日に自殺未遂をし、平成30年10月31日にXのうつ病が公務に起因すると認定されたものと主張して本件損害賠償請求をしていることは明らかであるところ、Xが、本件パワハラ行為、本件セクハラ行為によってうつ病を発症したことを知ったのが、公務起因性の認定のされた平成30年10月31日であるところ、Xが本件パワハラ行為および本件セクハラ行為による損害を現実に認識したのは同日というべきであるから、平成30年10月31日をもって、国賠法1条1項に基づく慰謝料請求権の消滅時効の起算点と認めるのが相当です。仮にそうでないとしても、Xにおいてうつ病が自殺を余儀なくされる程度のものであることを知ったのは自殺未遂をした平成27年4月7日というべきであるから、その日をもって慰謝料請求権の消滅時効の起算点と認めるのが相当です。

雇用に関するトラブルにむけた雇用リスクの保険の準備とは

公務員の場合ですと国となりますが、いち企業が万が一雇用リスクを抱えてしまった場合は自助努力で弁護士費用から賠償費用まで賄う必要に迫られる可能性もあります。働き方の多様化も進む現代においては、従業員と企業間のトラブルも多様化しております。そのようなリスクに対応する保険として雇用リスクの損害保険がございます。保険会社の商品にもよりますが、労災の上乗せ保険の特約として付帯も可能ですので気になった企業様は一度確認してみてください。

今回のまとめ

ハラスメントは一筋縄ではなく、ありとあらゆる要素が絡み合って訴訟に発展することがあります。企業様はそれらを未然に防ぐこと、意識を変えて行動を変えていくことは急務ではありますが、それでもどうしようもない事態になった時のために保険もございます。雇用リスクは日に日に身近に潜んでいる可能性を感じつつ、備えも固めてまいりましょう。

 

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