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アスベスト除去作業における賠償責任

アスベスト除去作業における賠償責任

アスベスト(石綿)は極めて細い繊維(繊維1本の直径は髪の毛の5000分の1程度)で、熱や摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいことから様々な建物に使用されてきました。しかし、中皮種(胸膜や腹膜等にできる悪性腫瘍)や肺がん、石綿(アスベスト)肺などの原因となることがわかり、1975年から労働安全衛生法により段階的に使用が禁止され、現在では新たな使用が全面的に禁止されています。今回はアスベストに関する最新の情報を提供させていただきます。

【目次】

1. 大気汚染防止法の改正

2. アスベスト除去作業中の飛散事故と賠償責任保険

3. 今回のまとめ

 

大気汚染防止法の改正

国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会 アスベスト対策部会(第6 回2012年9月3 日)配布資料によると、石綿(アスベスト)が大量に輸入された1970年代~1990年代に建てられた建築物の老朽化により、0.1重量%以上のアスベストを含む民間建築物の解体数は2028年をピークに増加し続けると予想されています。既に全国的にアスベストの飛散事故が把握されており、令和3年4月から大気汚染防止法が改正され、石綿飛散防止対策が強化されました。

アスベストが原因となる病気には、

・中皮種 潜伏期間⇒20~50年

・肺がん(原発性肺がん) 潜伏期間⇒15~40年

・石綿(アスベスト)肺 潜伏期間⇒15~20年

・びまん性胸膜肥厚 潜伏期間⇒30~40年

などがありますが、いずれも潜伏期間が長いという特徴があります。このようなアスベストばく露による健康被害(身体障害)には公的補償があります。公的補償については、ばく露の可能性のある建設会社や製造業の従業員は政府労災により補償され、その家族や第三者の健康被害には「石綿健康被害救済制度」による給付がなされます。

アスベスト除去作業中の飛散事故と賠償責任保険

業務に起因するアスベストによる健康被害は政府労災の補償対象であるため、労災上乗せ保険(業務災害総合保険)においても治療費や入通院日額、休業補償については免責事項(保険金をお支払いできない場合)には該当していません。しかし、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害賠償金、争訟・弁護士費用などを補償する「使用者賠償責任補償」弁護士への相談費用については「アスベストが原因の病気」は免責事項(保険金をお支払いできない場合)となっています。同様に建設工事の遂行・施設の管理による対人・対物事故や財物の損壊を伴わない使用不能損害(業務遂行・施設リスク)、引き渡した工事の目的物、製造・販売した資材等による対人・対物事故や財物の損壊を伴わない使用不能損害(生産物・完成作業リスク)を補償する賠償責任保険においても「石綿またはその代替物質等の発がん性およびその他の有害な特性」は免責事項(保険金をお支払いできない場合)となっています。アスベストはその潜伏期間の長さから、ばく露してから賠償請求されるまで長期にわたります。そのため一般的な民間の保険では免責事項となっています。つまりアスベストによる賠償責任については、保険では対応できないということになります。しかしながら今後増加していくアスベスト除去等の工事において、アスベストが飛散することによる事故が発生する可能性は十分あり得ます。

◆アスベストの除去作業中に養生シ-ト内の鉄骨が集塵機に落下し、破損したことで排気口からアスベストが飛散し、近隣店舗の商品に付着してしまった

◆アスベストの除去作業中に鉄鋼の溶断による火花で養生シ-トが破れ、アスベストが飛散して隣接家屋に付着してしまった

◆アスベスト除去作業中に隔離シ-ト内の外壁が崩れたことで養生シ-トを破り、アスベストが飛散して近隣家屋に付着してしまった

アスベスト飛散事故の一例ではありますが、このようなアスベスト飛散事故が発生した場合、近隣店舗や家屋に支払う見舞金や見舞品の費用や事故により付着したアスベストの除去作業費用、集塵機や隔離シ-ト等の物理的損害といった様々な費用が発生します。事故を起こさないことはもちろんですが、防止対策を徹底すると同時に事故が発生した場合にどのような費用を負担することになるのかも把握しておく必要があります。

※石綿飛散防止対策については、環境省サイト内の「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル(2014.3)」https://www.env.go.jp/content/000086803.pdfに詳細が記載されていますのでご参考ください。

今回のまとめ

賠償責任保険においてアスベスト除去作業による賠償責任は免責事項となっていますが、アスベストが工事場外へ飛散した場合に被保険者が負担する費用の一部を補償することができるプランを取り扱っている保険会社もございます。冒頭でも触れましたが、アスベストの飛散事故は既に全国的に把握されており、アスベストが工事中に飛散し、近隣からクレ-ムを受けた経験があるという建設業者の方も少なくありません。ビル建設・木造建築・内装・リノベ-ション・リフォ-ムを主業として一部解体やアスベスト除去を行う建設業の皆さまにとっても気になる補償ではないでしょうか。大気汚染防止法を順守することは大前提ではありますが、保険金をお支払いするための条件や上限額などがございます。アスベスト飛散リスクについて詳しく知りたい、という方はお近くの保険代理店へのご相談をお勧めいたします。

 

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