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交通事故で障害を負う、賠償金毎月受け取りたい

交通事故で障害を負う、賠償金毎月受け取りたい

交通事故の被害者など不法行為によって損害を被り、加害者から金銭にて損害賠償を受ける際は、一般的には一括払いで受けとります。実は、賠償金を一括で受け取るよりも毎月定額で受け取る方が多くの金額をもらう事が出来ます。なぜなら一括で受け取った場合、受け取った賠償金を3%で運用したと仮定するので、見込まれる運用益を賠償金の総額から控除されるからです。今回は、交通事故の損害賠償金を一時金ではなく、月に一度の定期で受け取りを求めた事例をご紹介しながら損害賠償金等について、触れていきたいと思います。

【目次】

1.定期金賠償の請求

2.ライプニッツ係数について

3.今回のまとめ

 

定期金賠償の請求

交通事故で脳挫傷を負った子の両親が、保険会社らに月1回の定期的な損害賠償の支払いを求めた事案の上告審。一時金の場合は利息控除の減額がある。最高裁は、損害の実態に即した公平な賠償を実現する観点から相当と認められる場合に逸失利益は定期払いの対象となるとした。また後遺障害の程度など事情が著しく変化したときは損害額のかい離を是正するための訴えも可能としている。(労働新聞社 労働判例集参照)

☆事案の概要

被害者のAちゃん(当時4歳)は、Y1の運転する大型貨物自動車の事故により脳挫傷等の傷害を負い、高次脳機能障害の後遺症が残り労働能力を全部喪失した。Aちゃんの両親は、Y1と車両の所有者であるY2および保険会社のY3に対して後遺障害による逸失利益を請求した。就労可能期間の始期である18歳になる月の翌月から終期である67歳になるまでの間の損害について、一時金による損害の支払いではなく定期金として支払う事を求めて提訴した。原審(札幌高裁 平成30・6・29)は、定期金賠償を認めた。それに対してYらは不服として上告した。

☆定期金による賠償も認められている

民法は、不法行為に基づく損害賠償の方法につき、一時金による賠償によらなければならないものとは規定していない。また定期金で賠償金を支払う場合において、将来的な時間的経過によりその算定に基礎となった後遺障害の程度、賃金水準その他の事情に著しい変更が生じ、算定した損害の額との間に大きなかい離が生ずる場合は額の変更も可能としている。以上によれば、交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合においては、上記の目的および理念に照らして相当と認めるときには定期金による賠償の対象となる。

☆逸失利益の支払いは就労可能期間の18歳から67歳まで

被害者やその家族は事故による賠償金の受取に際して、就労可能期間の終期(67歳)まで受け取ることができる。一時払いであれば、損害賠償金にライプニッツ係数をかけた額をまとめて受取る。定期金として受取る場合は、仮に交通事故等の被害者が67歳になる前に死亡してしまった場合でも遺族が引き続き被害者が67歳の年になるまで受け取ることができる。

☆定期金払いはそもそも判例が少ない

定期金としての受取を認めた上記の判例は、後遺障害による逸失利益の損害賠償金の支払い実務に大きな影響を与えると考えられます。人身被害の支払いに関して介護費用等については定期金払いの判例も増えていますが、後遺障害による逸失利益については一時金で支払う方式が確定されていたからです。

ライプニッツ係数とは

☆一時金で受け取るメリットとデメリット

一時金で受け取るメリットとしては、確実にまとまった金額をすぐに受け取れるということです。逆に長期にわたり定期金で受け取る場合は履行確保の問題があり確実に受け取れるかの否かのリスクがあります。

逆に一時金で受け取るデメリットとして、中間利息控除の問題があります。一時金の場合、将来得られるであろう利益を前倒しで受け取る形になるから、その間の利息相当額(法定利息による)が控除されてしまいます。実際には前倒しで受け取ったからといって。法定利率のような高利回りで運用できるわけではないので、この考え方にも疑問が残ります。昨年の民法改正により、法定利率が5%から3%に変更されその結果控除される額は縮小されることになりましたが、それでもかなりの額が減額されます。ライプニッツ係数を使って計算されますのでライプニッツ係数についても触れていきたいと思います。

☆ライプニッツ係数

たとえば就労可能期間が30年間であれば、法定利率が5%の場合は逸失利益の年額にライプニッツ係数15.3725を乗じて損害額が算出され、法定利率が3%の場合は逸失利益の年額に19.6004の係数を乗じます。一括ではなく毎年の定期金とすると中間利息は控除されないので、逸失利益の年額に30を乗じることになります。この点からも、今後は定期金払いの請求が増加する可能性があると考えられます。

受取金額の違い

例)逸失利益が年額100万円で、就労可能期間が30年の場合

・法定利息5% ライプニッツ係数15.3725場合 受取総額1537万2500円

・法定利息3% ライプニッツ係数19.6004場合 受取総額1960万400円

定期金払い  ライプニッツ係数はなし    受取総額3000万円

今回のまとめ

今回は、損害賠償金の支払い方法の違いによる賠償金の総額の変化についてご紹介していきました。自動車事故で加害者となってしまうリスクについては、想像できますが違う場面でも損害賠償事故の加害者となってしまう可能性があります。特に企業経営の場合は、労災訴訟や第三者賠償など様々なリスクがありますので対応する保険にしっかりと加入しておくことが重要となります。

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