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企業の安全配慮義務と高額賠償事故事例について

企業の安全配慮義務と高額賠償事故事例について

企業には安全配慮義務があり労働者に安全な職場を提供する義務があります。解りやすいところでは、建設業で高所作業を行う際に落下防止の措置を取る必要があったり、製造業では安全が確保できない機械の使用や危険な使用方法での機械操作を禁止しています。

厚生労働省は近年の働き方改革で過労死などの撲滅を掲げており、労働時間についても「事業者は厚生労働省で定める方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければならない(労働安全衛生法66条の8)」と定めており事業主が長時間労働を把握していて、放置していた場合は重大な過失ありと捉えられてしまいます。

今回は、裁判例などをもとに安全配慮義務について触れていきたいと思います。

【目次】

1.歯科技工士の遺族が院長に対して損害賠償請求

2.業務災害、過労死の賠償金1億円超の時代へ

3.今回のまとめ

 

歯科技工士の遺族が院長に対して損害賠償請求

福岡地裁は平成31年4月16日の判決は、歯科医院において長時間労働を強いられていた歯科技工士が自殺したところ遺族が当該歯科医院の院長に対して損害賠償請求を行ったものである

※労働新聞 令和3年10月25日 参照

・警備システムもとに長時間労働を認定

長時間労働の認定に関して、当該歯科医院では労働時間について客観的な資料に基づいて把握していなかった。その為、実際の労働時間を正確に把握する事は困難な状況にあったが被災した歯科技工士は全従業員のなかで最初に出勤し、最後に帰宅していた。

そこで歯科医院の警備システムには、警備システムが解除された時間(出勤した時間)と作動された時間(帰宅した時間)が記録されていたためこれを基に労働時間が認定された。

1日当たりの休憩時間を一律2時間と判断しても、長時間労働の程度は直近6か月間の間で1月当たり145時間を超えることが多かったなど過労死ラインを超えている事は明らかだった。

・裁判の争点は会社側に過失が認められるかどうか

労災認定があったからといって直ちに安全配慮義務違反に基づき企業に対しての損害賠償請求が認められる訳ではありません。発生した労災事故に対しての企業側の過失が認められる必要があります。

過失とは、損害発生に対する予見可能性および結果回避可能性があったにもかかわらず、損害発生を防止できなかった際に認められるというのが一般的です。

歯科技工士の裁判例では「被告は従業員の労働時間を客観的資料に基づいて把握しておらず、労働時間に関する聞き取りなど、労働時間を特定する措置も特段講じていなかったものであるから被告による労働管理は不十分であるというほかない」として企業側の労働時間の管理や聞き取りなどによる把握が不十分だったことなどが、企業側の過失として重視した。

その上で、被災者(歯科技工士)の労働時間を適正に管理しない結果、同人が長時間労働に従事して死亡に至ることを予見することが可能であったというべきであると判断して安全配慮義務違反に基づいて損害賠償請求を認めた。

使用者責任が認められるには、企業側の故意または過失が認められることが重要でこのことが労災認定との大きな相違点でもある。今回の判例のように、企業側が労働時間の状況の把握義務を尽くしていない場合には、企業側の過失が認定される可能性が高いようです。

労働災害、過労死の賠償金1憶円超の時代へ

労働災害関連 高額判例・和解 各5選

判決

和解

※AIG損害保険㈱ パンフレット参照

 

労災事故が発生した際に企業(経営者)は十分な備えができていますか?

業務災害により従業員が不慮の死を遂げた場合には、逸失利益・葬祭費用・慰謝料・諸経費等を合計した額を請求されてしまう可能性があります。

近年、民法改正等(ライプニッツ係数の改定)や重度後遺障害事故だった場合は将来にわたる介護費用等も含まれる可能性もある為、さらに高額化する傾向にあります。

・賠償金額の例

Mさん(31歳 年収600万) 妻(30歳) 子供2人(7歳 4歳)

※ライプニッツ方式によりAIG損害保険㈱による算出

今回のまとめ

企業の安全配慮義務は従業員を一人でも雇用した場合に発生する企業の責任になります。正社員だけで無く、パートやアルバイト、建設業等では下請け人の業務に対しても安全に働ける職場を提供する義務が生じています。安易に考えず、従業員の職場の環境を整えることは今後の企業経営にとって非常に重要なことだと思います。

また、万が一の労災訴訟に備えて労災上乗せ保険や使用者責任保険で企業や経営者をお守りすることが可能です。気になる方はお気軽にご連絡ください。

 

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